物理学特論A

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理学特論A
科目番号 0009 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(機械制御システムコース) 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は特に指定しません。但し、必ず図書館などで自分にあった参考書を探し出し、それを活用しつつ本講義の予習、復習を怠らないようにしてください。 [参考書] 「量子論のエッセンス」松下栄子著 裳華房, 「量子力学 基礎」松居哲生著 共立出版, 「量子力学I」猪木慶治/川合光共著 講談社サイエンティフィック, 「高校数学でわかるシュレディンガー方程式」竹内淳著 ブルーバックス
担当教員 新野 康彦

到達目標

基本的にシラバスの講義内容が理解できることが到達目標である。即ち、量子力学と古典物理学との差異が理解できること、シュレディンガー方程式、固有値と固有関数、物理量と演算子、期待値などの基本的な概念の理解ができること、そして簡単な計算ができることが目標となる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1量子力学と古典力学の差異を理解し、説明できる。 波動関数の物理的意味を理解し、これに関わる固有値と演算子、期待値、交換関係などの意味を理解し、各種問題が計算でき、さらにその物理的意味について説明できる。 無限に深い一次元井戸型ポテンシャル問題において、シュレディンガー方程式を解いて波動関数とエネルギー固有値、期待値などの物理量を求め、さらにその物理的意味ついて説明できる。量子力学と古典力学の差異を知っている。 波動関数の物理的意味を知っており、これに関わる固有値と演算子、期待値、交換関係などの定義を知っており、各種問題が計算できる。 シュレディンガー方程式を立てることができる。 無限に深い一次元井戸型ポテンシャル問題において、シュレディンガー方程式を解いて波動関数とエネルギー固有値、期待値などの物理量を計算できる。量子力学と古典力学の差異を知らない。 波動関数の物理的意味を知らない。 シュレディンガー方程式を立てることができない。 無限に深い一次元井戸型ポテンシャル問題において、シュレディンガー方程式を解くことができない。
評価項目2調和振動子におけるシュレディンガー方程式を、生成消滅演算子などの様々な表現を用いて書き下し、互いに変換することができる。 調和振動子におけるシュレディンガー方程式を解いて波動関数やエネルギー固有値、期待値などの物理量を求め、さらにその物理的意味について説明できる。 水素原子における、極座標表示されたシュレディンガー方程式を知っており、その物理的描像を説明できる。調和振動子におけるシュレディンガー方程式を、生成消滅演算子を用いて書き下すことができる。 調和振動子におけるシュレディンガー方程式を解いて波動関数やエネルギー固有値、期待値などの物理量を計算できる。 水素原子における、極座標表示されたシュレディンガー方程式を知っている。調和振動子におけるシュレディンガー方程式を、生成消滅演算子を用いて書き下すことができない。 調和振動子におけるシュレディンガー方程式を解くことができない。 水素原子における、極座標表示されたシュレディンガー方程式を知らない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準 (c) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-1 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義は量子力学に関する基本概念を学ぶ。具体的には、微視的世界では量子力学によって自然現象が説明されることを学び、いくつかの基本的な事例を量子論的に取り扱い、様々な物理量を計算する。時間が許せば量子情報理論に関する話題について紹介し、簡単な例を使ってその物理的意味について学ぶ。
専攻科生は、現代の科学技術の進展の礎となっている物理学を系統的に学ぶことは実利的であり、且つ、基本的な素養であることを自覚して講義に臨んでほしい。
授業の進め方・方法:
量子力学を展開し、一次元ポテンシャル問題を中心にシュレディンガー方程式を用いてエネルギーなどの物理量の計算方法について講義する。
また時間が許せは、量子情報理論の基本的な概念についても解説する。
注意点:
関連科目
応用物理I,II 物理学特論B 原子分子レベルの物性関係の科目 数学の線形代数や微分積分など

学習指針
量子力学では、ニュートン力学の決定論とは異なり、確率論に支配された世界であるという考え方になど、新しい概念と出合う。これに伴い、一定の計算力も要求される。授業中に発問し、受講者の理解度を確かめつつ講義を進めるので、しっかりと手を動かして積極的に取り組むこと。解いて行く中で初めて微視的世界の描像がおぼろげながら見えてくるので、粘り強く学習を続けて欲しい。

自己学習
微視的な世界はこれまで学んできた「科学的常識」がまったく通用しない世界である。このため量子力学を理解するには、多くの問題に当たり、自ら手を動かしながら理解していくよりほか手段はない。講義中に出された課題レポートのみならず、演習として出題した問題は必ず解くこと。受講生の自主学習のためにいくつかの参考書を挙げておいた。各自自分に合った参考書を探して自主学習に取り組み、講義で学んだことが理解できるように取り組むこと。

学修単位の履修上の注意

講義では毎回宿題として課題レポートが課される。
時間の関係で省略した計算過程や取扱えなかった内容、さらには発展問題などが出題されるので、講義ノート、並びに参考図書等を参考にしながら課題に取り組むこと。
なお、課題レポートは成績評価の30%を占める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 はじめに 授業の進め方、成績評価法を理解できる。
2週 波動と波動関数 量子力学を学ぶ準備として、波動に関する基礎的事項を復習し、習得できる。
3週 量子力学的思考実験 電子におけるヤングの実験を例に取り、その結果から新しい考え方が必要になることが理解できる。
4週 シュレディンガー方程式① 平面波を用いて、量子力学における波動関数が従うべき方程式を発見する流れを理解できる。
5週 シュレディンガー方程式② 波動関数の物理的解釈を理解できる。
6週 固有値と固有関数 物理量と演算子の関係を理解できる。
7週 井戸型ポテンシャル 無限に深い一次元井戸型ポテンシャル問題を例に取り、具体的な計算を行い、その解の物理的意味を理解できる。
8週 中間試験 これまでの内容の理解度を測り、不十分な点を改善できる。
4thQ
9週 ポテンシャル障壁 一次元ポテンシャル障壁問題におけるトンネル効果の物理的意味を理解できる。
10週 調和振動子① 古典力学における調和振動(単振動)の基礎的事項を復習し、習得できる。
11週 調和振動子② シュレディンガー方程式の解法を理解できる。
12週 調和振動子③ 得られた解の物理的意味、特に「量子」の物理的解釈を理解できる。
13週 水素原子① 古典力学における水素原子模型の基礎的事項を復習し、習得できる。
14週 水素原子② シュレディンガー方程式の極座標表示とその構造、そこから導き出される方程式の物理的意味を理解できる。
15週 学年末試験 本講義の内容の理解度を測ることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他課題に対するレポート評価合計
総合評価割合700000030100
基礎的能力700000030100
専門的能力00000000
分野横断的能力00000000