到達目標
1. 人間生活や科学技術の役割と影響に関心を持ち、幸福とは何かを追究しながら、技術者として社会に貢献する自覚と素養を培う。
2. 社会が技術者に対して求める倫理観とはどのようなものかを把握する。
3. 工学倫理上の事例分析を通じて、倫理的想像力を養う。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1 | 人間生活や科学技術の役割と影響に関心を持ち、自己と他者の双方の幸福を追究しながら、技術者として社会に貢献する自覚と素養が培われている。 | 幸福とは何かを追究する姿勢と、技術者として社会に貢献する自覚および素養が培われている。 | 技術者として社会に貢献する自覚と素養に欠けている。 |
評価項目2 | 社会が技術者に対して求める倫理観を把握した上で、そうした倫理観に沿って自律的に行動できる。 | 社会が技術者に対して求める倫理観とはどのようなものかが把握できている。 | 社会が技術者に対して求める倫理観とはどのようなものかが把握できていない。 |
評価項目3 | 既存事例だけではなく、未知の事例の分析が可能なレベルの倫理的想像力が養われている。 | 既存事例の分析が可能なレベルの倫理的想像力が養われている。 | 倫理的想像力が欠けている。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
本講義では、技術者へ倫理教育が求められるようになっていった歴史的背景を概観した後、技術者に必要とされる倫理観や、技術者が技術の専門家としての責任を果たそうとするときに直面するであろう倫理的に困難な状況について学ぶ。最終的に、「公衆の安全・衛生・福利」の確保および増進をはかる際に必然的に求められる、自身の専門分野におけるELSI (Ethical, Legal, and Social Implication [倫理的、法的、社会的諸問題])に関する感受性、および専門技術者としての倫理観を身につけることを、 本講義の主たる目的とする。
※実務との関係
この科目は上記目的に照らして、全 15週のうち3回の授業において、実務経験を有する弁理士を特別講師として招き、知的財産権に関する授業を実施する。
授業の進め方・方法:
講義を中心とするが、授業中に議論も行う。事例分析の際、グループディスカッションを行う。また、最終の3回は弁理士による知的財産権の講義を行う。
注意点:
関連科目:現代社会と法、政治経済、公共
点数配分:平常レポート(+発言・グループディスカッション) 60%、学期末レポート40%を目安として評価する。
再試験:行わない。
評価基準:60点以上を合格とする。
学修単位の履修上の注意
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス:シラバスをもとにした講義概要の説明、工学倫理導入 |
本授業の概要と目的、評価方法等が理解できる。また工学倫理という分野の特性について理解できる。
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2週 |
科学技術における「安全」、失敗から学ぶことの大切さ:畑村『失敗学』 |
"How safe is safe enough?" (どれほどの安全水準であれば十分安全か?) という普遍的問いについて、自身の考え方を整理し、それを他者に説明できる。失敗学の基本的主張が理解できている。
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3週 |
事例分析「スペースシャトルチャレンジャー号爆発墜落事故」グループ討議 |
「スペースシャトルチャレンジャー号爆発墜落事故」の分析を通じて、望まざる事件・事故を未然に防ぐために、技術者の倫理観がいかに重要であるかを理解する。
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4週 |
プロフェッションと倫理規程 |
専門職としての工学倫理を理解している。倫理規定の重要性と内容について理解している。
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5週 |
製造物責任:技術者に拘わる法規と倫理規則:製造物責任法(PL法)を中心に |
技術者を取り巻く法規と倫理規則について、基本的な知識を身につけている。企業において製造物責任に対処することの難しさが理解できている。
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6週 |
安全性問題と倫理:功利主義と義務論、技術者の自律 |
技術者にとって極めて重要とされる「自律」の概念について、自身の考えを整理し、他者に対して説明することができる。
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7週 |
安全性問題と組織内における技術者の行動:ビデオ教材「技術者の自律」グループ討議 |
それぞれの人物の立場から物事を考えることの大切さが理解できている。「自律」という抽象的理念から、具体的行動案が導出できている。
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8週 |
組織内における技術者と倫理的行動の障害 |
現実の場面で倫理的な行動をとろうとした際に障害となる要因について理解し、そうした障害をなくすための対策がとれる。
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4thQ |
9週 |
ビジネス倫理と技術者倫理、内部告発:事例分析「ギルベインゴールド」 |
内部告発が許される条件について、自身の考えを整理し、他者に対して説明することができる。倫理的想像力をフィージブル(実行可能)な 行動案の策定に昇華させられている。
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10週 |
作り出すことと守り続けることの違い:インフラの劣化と事故、維持・保守管理にまつわる様々な困難 |
非技術者からは理解されにくい維持・保守管理の重要性と、そうした作業に特有の倫理的・経済的・政治的困難について把握できている。またそうした困難な状況を、他者に対して説得力をもって説明できる。
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11週 |
ビデオ教材「ソーラーブラインド」視聴および解説、倫理的意思決定支援ツール「セブンステップガイド(SSG)」概説、グループ討議 |
倫理的意思決定支援ツール「セブンステップガイド(SSG)」の概要を理解できている。SSGに沿って倫理的意思決定が行われている。
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12週 |
技術者が幸福を感じる社会を目指して:工学倫理と技術者の誇り、未来志向的な責任 |
工学倫理は、決して技術者の行動を一方的に制約するための鎖などではなく、技術者自身が幸福な人生を歩むための指針を提供するものであることを理解する。
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13週 |
(1)知的財産権を知る
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『発明品は過去の技術の積み重ね』。それならマネして作って販売してみていいの??といった素朴な疑問から、権利を取得する意義など、知的財産権に関する基礎知識を学ぶ。
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14週 |
(2)権利侵害と訴訟 |
各法域(特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法)の裁判例等を通じて、知的財産権と技術者倫理の理解を深める。
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15週 |
(3)知的財産権と技術者倫理
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発明者として必要な技術者倫理の理解を深めた上で、一般消費者の立場における知的財産権についても考察する。
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| グループディスカッションやプレゼンテーションの取組を総合的に評価 | レポート | | 合計 |
総合評価割合 | 20 | 80 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 80 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 |