数理科学

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 数理科学
科目番号 0027 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(機械制御システムコース) 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:特定の教科書は指定しませんが、自学自習に役立つような参考書は適宜紹介します。           参考書:中村滋 著,「数学史の小窓」,日本評論社 (2015年);山田裕史 著,「組合せ論プロムナード」,日本評論社 (2009年); 高崎金久著,「線形代数と数え上げ」,日本評論社(2012年);高崎金久著,「線形代数とネットワーク」,日本評論社(2017年);佐藤文広 訳,「整数の分割」,数学書房(2006年)
担当教員 飯間 圭一郎

到達目標

本科で体系的に学んできた数学は人類が長い歴史の中で積み重ねてきた文化的活動の一部分です。本講義では、先人の歩んだ道筋を追体験し、その成果を深く理解することを目的です。その経験を通して、実際に諸君が数学を使う場面(数理現象を扱う場面)で適切な判断ができるようになることが最終的な目標です。
(1)3次および4次方程式の解の公式を導き,具体的な方程式の解が計算できる。
(2)母関数を用いて様々な数列の一般項および和公式(バーゼルの問題)を導き出せる。
(3)様々な分割数の母関数から種々の分割恒等式(関数等式)を導き出せる。
(4)グレブナー基底に関する基礎知識を習得し、簡単なイデアルのグレブナー基底が計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
代数方程式の解法3次4次方程式の解の公式を導出できる。3次4次方程式の解の公式を用いて,具体的な方程式が解ける。3次4次方程式には解の公式が存在している事実を認識していない。
数列の母関数バーゼルの問題が解ける。解析関数のマクローリン展開が計算できる。解析関数のマクローリン展開が計算できない。
分割恒等式ロジャース-ラマヌジャン恒等式が解ける。分割数の母関数から分割恒等式を導き出せる。分割数の母関数が計算できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では,微分積分(数列と冪級数展開),線形代数(線形写像,ベクトル空間),代数方程式の解法,整数の分割などからいくつかの具体的な話題,特に古来考えられてきた話題を取り上げ,本科で学んだ知識がどのように活用されているかを解説していく。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心です。講義ごとに演習問題に取り組み,各自の理解度を確認します。
注意点:
関連科目:本科の数学系科目は,本講義を理解する基礎となります。
学習指針:数学の理解には自分の手を動かして考える経験が不可欠です。講義の復習をていねいに行い,課題には積極的に取り組むことで理解を深めて下さい。
自己学習:講義で扱った題材をきっかけに図書館等で参考書にあたって様々な計算例や具体例を調べて下さい。履修するなら,このことを意識し,自らの知識の幅を広げるよう努力して欲しいです。
事前学習:シラバスを読み関連する内容を予習してきて下さい。  事後発展学習:講義で演習プリントを配布するので解答を書き次の授業時に提出して下さい。

学修単位の履修上の注意

本科目は学修単位ですので、授業時間以外においても、それ相当の時間を本科目の勉強に当てて下さい。授業を受けて、課題を提出するだけでは不充分です。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 線形代数から代数学へ(1) 数、数ベクトル空間,次元,線形写像(変換),固有値,固有ベクトル(固有空間),対角化,ジョルダン標準形の復習。
2週 線形代数から代数学へ(2) 多項式の割り算,剰余の定理,因数定理,解と係数の関係,2次方程式の解の公式の復習。
3週 高次方程式(1) 3次方程式の解の公式を導き,公式を用いて方程式を解く。
4週 高次方程式(2) 4次方程式の解の公式(フェラーリ)を導き,公式を用いて方程式を解く。
5週 高次方程式(3) 4次方程式の解の公式(オイラー)を導き,公式を用いて方程式を解く。
6週 高次方程式(4) 5次以上の方程式の解の公式に関する話題にふれ,代数学(特に群論,環論,体論)を学ぶ動機づけを行う。
7週 代数学の基礎(1) 群,環,体,加群を定義し,様々な例に触れる。
8週 代数学の基礎(2) 可換環のイデアルと剰余環を定義し,様々な例に触れる。
2ndQ
9週 代数学の基礎(3) 単項式順序,グレブナー基底を定義し,ブッフバーガーアルゴリズムを用いてグレブナー基底を計算する。
10週 代数学の基礎(4) グレブナー基底を用いて,直規約なジョルダン標準形のテンソル積のジョルダン分解の計算に挑戦する。
11週 数列と関数(1) 形式的冪級数(母関数)について学び,具体的な数列の母関数を計算する。
12週 数列と関数(2) オイラーの方法でリーマン・ゼータ関数の値を求める。
13週 整数の分割(1) 整数の分割に関する基本事項を学ぶ。
14週 整数の分割(2) 割り算アルゴリズムを用いて,多変数多項式の割り算の余りと整数の分割をつなぐ。
15週 整数の分割(3) グレブナー基底を用いて,シューアの関数等式を導く。またロジャース-ラマヌジャン恒等式に挑戦する。
16週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題合計
総合評価割合50000050100
基礎的能力50000050100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000