物理学特論B

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2019
授業科目 物理学特論B
科目番号 0029 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(機械制御システムコース) 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 板書による講義
担当教員 榊原 和彦

到達目標

1.ボルツマン因子の導出の論理と数学的な記述が理解できるようになること。
2.エントロピーと自由エネルギーの概念を理解し,自然界の変化の方向を分析するのに適応できること
3.量子系における状態数の計算原理を理解し,量子統計と対応する分布関数の導出ができること

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱力学過程に加え、数学における全微分の概念を用いて状態量としてのエントロピーを理解する。エネルギーとエントロピーの概念を複合することで自由エネルギーの考え方が理解でき、各種の熱力学過程においてルジャンドル変換による変形が利用できることを理解する。また自由エネルギーを応用して自然界における変化の方向付けを説明できる。熱力学過程から状態量としてのエントロピーを理解する。エネルギーとエントロピーの概念を複合することで自由エネルギーの考え方が理解できるようになる。また自由エネルギーを応用して自然界における変化の方向付けを説明できる。熱力学過程から状態量としてのエントロピーを理解できない。エネルギーとエントロピーの概念を複合することで自由エネルギーの考え方が理解できない。また自由エネルギーを応用して自然界における変化の方向付けを説明できない。
評価項目2量子系における個性の理解をし,状態数の計算ができるようになる。また数学的な知識を使い,分配関数や分布関数を求めることが可能となる。さらに、分配関数から熱力学関数の導出が可能である。量子系における個性の理解をし,準古典系において状態数の計算ができるようになる。また数学的な知識を使い,分配関数や分布関数を求めることが可能となる。量子系における個性の理解をし,状態数の計算ができない。また数学的な知識を使い,分配関数や分布関数を求めることが不可能である。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準 (c) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-1 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
統計力学は、力学・電磁気・量子力学などこれまでに学習した決定論的扱いではなく新たに統計的・確率的視点を導入し、多数の要件が関係した「複雑な」系の取扱いを学ぶ。話題の中心は自然をいかにモデル化し、重要な変数を取り出すか。またどのような考察により、決定論的方程式が解けない場合の振る舞いを知るかという点になる。内容自体は、気体、ゴムの弾性、ボース凝縮、電子の振る舞い等の身近な現象を含め多様な例題を扱い、それらのモデル化と、問題相互の関連性から普遍性を学んでいく。
授業の進め方・方法:
授業方法は板書による講義形式にします。授業中に多くの質問を投げかけますので,がんばって回答してください。また,欠席する場合は事前連絡をすること。
注意点:
関連科目
本科および、専攻科1年までの数学および理科系科目の知識は習得しているものと仮定します。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 統計力学とはなにか1 講義方法、単位認定方法の説明、講義内容の概要を説明する
2週 統計力学とはなにか2 教科書選定、準備方法、発表方法の説明、フラクタルについて
3週 カルノーサイクル カルノーサイクルの構築過程を理解する
4週 エネルギーとエントロピー エントロピーの概念を理解する。
5週 H定理とボルツマン分布 ミクロな視点からのエントロピーと場合の数とボルツマン分布の関係を理解する。
6週 エントロピーと不可逆性 確率論とエントロピー変化の不可逆性を理解する
7週 自由エネルギー 熱力学過程の方向と自由エネルギーの関連を理解する
8週 分配関数 分配関数の定義を理解する。また分配関数から熱力学関数を導出する。そこから不可逆現象の統一的な理解の可能性を探る
4thQ
9週 理想気体 最も単純な応用例として理想気体の統計力学的な取り扱いと熱力学公式の導出が可能となる。
10週 マクスウェル・ボルツマン分布と定数未定法 マクスウェル分布の数学的導出が可能となる。
11週 分配関数の具体例 具体例を用いて分配関数を求める。
12週 フェルミ統計 フェルミ粒子の分布関数が可能となる。
13週 ボーズ統計 ボーズ粒子の分布関数が可能となる。
14週 確率論 中心極限定理と確率論の関係を理解する。
15週 コンピュータの統計力学 最先端の話題として計算論と統計力学の関係を考える。
16週 統計力学の広がり まとめとして統計力学のお応用分野を概観する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

テストレポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力601070
専門的能力201030