エネルギーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 エネルギーエレクトロニクス
科目番号 0037 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(電気電子システムコース) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 適宜資料を配付,回路解析シミュレータPSIMを利用(評価版をフリーダウンロード可)
担当教員 石飛 学

到達目標

以下の項目を修得する。
・電力変換のメカニズムを理解してスイッチング回路を構成
・複エネルギー回路の動作を読める
・各種エネルギー変換デバイス,パワーデバイスに関する基礎知識
・電力の有効利用に関する各種技術

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1電力変換のメカニズムがわかった上で,任意のスイッチング回路を構成できる。電力変換のメカニズムを理解し,基本スイッチング回路の構造がわかる。電力変換のメカニズムを理解できない。
評価項目2要求に合った複エネルギー回路を構築できる。微分方程式を使わずに,複エネルギー回路の動作を読むことができる。複エネルギー回路の動作が読めない。
評価項目3抵抗,キャパシタおよびダイオードの特徴を十分に理解の上,任意回路において素子の選択ができる。抵抗,キャパシタおよびダイオードの選択ができる。抵抗,キャパシタおよびダイオードをどう選んだらいいのかわからない。
評価項目4蓄電デバイスの特徴を理解の上,高速かつ安全なハイブリッド充電方法を設計できる。蓄電デバイスに適した充放電制御方法を選択できる。蓄電デバイスに適した充放電制御方法が選択できない。
評価項目5各種デバイスのv-i特性から,等価回路を導出できる。等価回路を使って,太陽電池の動作を説明できる。等価回路を使って,太陽電池の動作を説明できない。
評価項目6MPPT制御回路が構築できる。MPPT制御の説明ができる。MPPT制御がわからない。
評価項目7PFCコンバータの制御回路を構築できる。PFCコンバータの動作を説明できる。PFCコンバータの動作がわからない。
評価項目8適したノイズ対策を行うことができる。各ノイズ対策の説明ができる。ノイズ対策について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
人の生活は,光,熱および動力を中心としたエネルギーを消費することで成り立っている。その大部分を扱いやすい電気エネルギーが担っており,各種エネルギーと電気エネルギーの相互変換および電気エネルギーの状態変換技術に支えられている。これらの技術は各種パワーデバイスと回路の技術であり,高効率,小型・軽量と安定動作が特に要求される。そこで,要となるスイッチング電源を中心に各種技術を学ぶ。
授業の進め方・方法:
スイッチング電源を軸に置き,エネルギー変換デバイス,パワーデバイスについて学ぶ。各種エネルギーおよび電力変換技術について,回路シミュレータによる演習や調査等を行いながら理解を深める。受講メンバーの傾向に合わせて内容を変更することもある。
注意点:
履修にあたって,「電力変換回路」の知識が必要となるので,これを習得していることを前提とする。また,授業で取り上げる各種デバイスや回路方式について,動作を丸暗記せず,電力のやり取りや転流動作を波形から読み取るなど,視覚的に理解できるよう努めてほしい。欠課時数が講義時間の1/3を超えた場合には評価対象とせず,単位を認めない。
事前学習:授業時間に行うグループワークのまとめ,各自の調査課題を次の授業までにやっておく必要がある。
事後学習:グループワークの穴を各自補填しておくこと。

学修単位の履修上の注意

グループワーク(授業時間外を含む)による課題を報告してもらい,評価に加える。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション,電力&エネルギー変換システムとは? エネルギーエレクトロニクスとは何か,また,電気エネルギーを扱うシステムの概要を理解できる。
2週 スイッチング電力変換回路の基礎(AC-DC,DC-DC変換) AC-DC,DC-DC変換を行う基本回路の動作がわかる。
3週 スイッチング電力変換回路の基礎(DC-AC,AC-AC変換),モード解析法 モード解析を使って,DC-AC,AC-AC変換を行う基本回路の動作がわかる。
4週 電力変換のメカニズム 電力変換のメカニズムを理解し,回路システムの構成およびパルス変調方式を選択および説明できる。
5週 スイッチング回路の読解術Ⅰ  単エネルギー回路の単発過渡現象を思い出し,説明できる。
6週 スイッチング回路の読解術Ⅱ 部分的に共振する回路現象を説明できる。
7週 スイッチング回路の読解術Ⅲ 微分方程式を使わずに,複エネルギー回路の動作を読むことができる。
8週 理解度確認テスト これまで学んだ技術を定着させる。
2ndQ
9週 抵抗,キャパシタ,ダイオードの特徴と選択方法
フィルタの基礎
抵抗,キャパシタおよびダイオードを適切に選択し,使うことができる。またフィルタの基礎がわかる。
10週 蓄電デバイス  各種2次電池の基本特性を理解し,適切な充電方法がわかる。
11週 太陽電池の等価回路とMPPT回路 モデリングの必要性が理解できる(太陽電池の等価回路を例に)。また太陽電池の能力を引き出す方法がわかる。
12週 P制御,PI制御を行うアナログ回路 OPアンプ回路を用いて,P制御およびPI制御を説明できる。
13週 PFCコンバータ PSIMを使って,PFCコンバータの動作を説明できる。
14週 ノイズ対策の基礎 ノイズ対策の基礎がわかる。
15週 理解度確認テスト これまで学んだ技術を定着させる。履修メンバーによっては,調査レポートにかえる可能性もある。
16週 現在の課題 家電,自動車,スマートグリッドや分散協調電源システムにおける課題を認識する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

理解度確認テスト課題(報告書等)課題(発表等)合計
総合評価割合503020100
基礎的能力15151040
専門的能力35151060