エネルギーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 エネルギーエレクトロニクス
科目番号 0038 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(電気電子システムコース) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 適宜資料を配付,回路解析シミュレータPSIMを利用(評価版をフリーダウンロード可)
担当教員 石飛 学

到達目標

各種エネルギー変換デバイス,パワー半導体デバイスおよび電力の変換方法に関する基礎知識を習得する。さらに電力の有効利用に関する各種技術を学ぶ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1任意のスイッチング回路に対し,微分方程式を用いずに単発過渡現象を扱える。基本スイッチング回路に対し,微分方程式を用いずに単発過渡現象を扱える。基本スイッチング回路の単発過渡現象も扱うことができない。
評価項目2抵抗,キャパシタおよびダイオードの特徴を十分に理解の上,任意回路において素子の選択ができる。任意回路において,抵抗,キャパシタおよびダイオードの選択ができる。任意回路において,抵抗,キャパシタおよびダイオードの選択ができない。
評価項目3電力変換のメカニズムがわかった上で,任意のスイッチング回路が構成できる。電力変換のメカニズムを理解し,基本スイッチング回路の構成ができる。基本スイッチング回路が構成できない。
評価項目4状態平均化を用いて,任意回路の読解ができる。状態平均化を用いて,基本回路の読解ができる。状態平均化を用いて,基本回路の読解ができない。
評価項目5各種デバイスのv-i特性から,等価回路を導出できる。太陽電池の等価回路を導出できる。太陽電池の等価回路も導出できない。
評価項目6MPPT制御回路が構築できる。MPPT制御の説明ができる。MPPT制御を説明できない。
評価項目7蓄電デバイスの特徴を理解の上,適した充放電制御方法を選択できる。蓄電デバイスに適した充放電制御方法を選択できる。蓄電デバイスに適した充放電制御方法を選択できない。
評価項目8PFCコンバータの制御回路を構築できる。PFCコンバータの動作を説明できる。PFCコンバータの動作を説明できない。
評価項目9スイッチングデバイスの過渡特性を理解の上,適したドライブ回路とパワー回路を構築できる。スイッチングデバイスに適したドライブ回路を構築できる。スイッチングデバイスに適したドライブ回路を構築できる。
評価項目10適したノイズ対策を行うことができる。各ノイズ対策の説明ができる。ノイズ対策の説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2c) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
人の生活は,光,熱および動力を中心としたエネルギーを消費することで成り立っている。その大部分を扱いやすい電気エネルギーが担っており,各種エネルギーと電気エネルギーの相互変換および電気エネルギーの状態変換技術に支えられている。これらの技術は各種パワーデバイスと回路の技術であり,高効率,小型・軽量と安定動作が特に要求される。そこで,要となるスイッチング電源を中心に各種技術を学ぶ。
授業の進め方・方法:
スイッチング電源を軸に置きながら,エネルギー変換デバイス,パワーデバイスについて学ぶ。各種エネルギーおよび電力変換技術について,回路シミュレータによる演習や調査等を行いながら理解を深める。受講メンバーの傾向に合わせて内容を変更することもある。
注意点:
広い領域に渡る内容となりそれぞれ調査報告も行ってもらうが,エネルギーの有効利用にポイントを置いて各テーマに取り組んでほしい。また,授業で取り上げる各種デバイスや回路方式について,動作を丸暗記せず,電力のやり取りや転流動作を波形から読み取るなど,視覚的に原理を理解するよう努めてほしい。欠課時数が講義時間の1/3を超えた場合には評価対象とせず,単位を認めない。

授業時間に行うグループワークの補填とまとめ,各自の調査課題を次の授業までに完了させておく必要がある。またその内容について報告してもらうので,準備をしておくこと。

学修単位の履修上の注意

授業時間外を利用して,グループワー1クのまとめ,各自調査を行って報告すること。
〇以下の項目についてグループワークを行い,結果をまとめて報告
 ・部分的な共振現象について,パターンを導出し,体系化(15%)
 ・複エネルギー回路の過渡現象について,シミュレーション解析を通して,傾向をまとめる(15%)
 ・文献を通して,スイッチング関数と状態平均化法についてまとめる(15%)
 ・電力変換メカニズムの体系化(15%)
 ・シミュレーション解析を通して,PFCの動作原理(制御方法)を抽出(20%)
〇以下の項目は各自調査の上,報告(20%)
 ・パワーデバイスの特徴と故障モード
 ・ポインティングベクトルと回路のエネルギー伝送

以上について,課題点(内,報告書等60%,発表等40%)として評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション,エネルギーおよび電力変換システム エネルギーエレクトロニクスとは何か理解し,電気エネルギーを扱うシステムの概要をつかむ。
2週 スイッチング電力変換回路の基礎,モード解析法 AC-DC,DC-DC,DC-AC,AC-AC変換を行う基本回路と,チョッパからの進化について理解する。また,モード解析法を思い出す。
3週 抵抗,キャパシタ,ダイオードの特徴と選択方法 抵抗,キャパシタおよびダイオードの使い方を身につける。
4週 電力変換のメカニズム 電力変換のメカニズムを理解し,回路システムの構成およびパルス変調方式を選択および説明できる。
5週 スイッチング回路の読解術Ⅰ 単エネルギーおよび複エネルギー回路の単発過渡現象をを修得する。
6週 理解度確認テスト これまで学んだ技術を定着させる。
7週 スイッチング回路の読解術Ⅱ 状態平均化による回路の読解術を修得する。
8週 太陽電池の等価回路とMPPT回路 太陽電池の等価回路を例にモデリングの必要性を理解する。また太陽電池の能力を引き出す方法を修得する。
2ndQ
9週 蓄電デバイス,高調波問題 各種2次電池および電気二重層キャパシタの特性を理解する。また,バランス充電回路と商用電源を利用する際に伴う高調波問題について理解する。
10週 PFC機能を有する充電回路(PFCコンバータ) PSIMを使いながら,PFCコンバータの動作を理解する。
11週 スイッチングデバイスのハイパワー化と過渡特性 スイッチングデバイスをハイパワー化する方法について理解する。またシミュレーションを通して,ソフトスイッチングの基本も身につける。
12週 スイッチングデバイスの過渡特性Ⅱ スイッチングデバイスの過渡特性を調査の上,理解する。
13週 スイッチングデバイスのドライブ回路 絶縁の必要性と絶縁方法,各回路定数の決め方,保護方法およびブートストラップ回路について理解する。
14週 P制御,PI制御
ノイズ基礎
ノイズの基礎について,またOPアンプ回路を用いてP制御およびPI制御について理解する。
15週 理解度確認テスト これまで学んだ技術を定着させる。
16週 現在の課題 家電,自動車,スマートグリッドや分散協調電源システムにおける課題を認識する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

理解度確認テスト課題(報告書等)課題(発表等)合計
総合評価割合5030200100
基礎的能力401515070
専門的能力10155030