電子物性

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 電子物性
科目番号 0047 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(電気電子システムコース) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材
担当教員 關 成之

到達目標

後期中間試験: (1) 原子と分子の構造および性質、(2) 量子力学および化学結合の基礎、
(3) 金属錯体の結合について理解する。
学年末試験: (1) エネルギーバンド理論、(2) 結晶の解析方法、
(3) 格子振動について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
基本事項の理解原子と分子の構造、量子力学の基礎、について十分に理解したうえで、電気陰性度と結合性、異種原子の結合状態について理解し、説明することができる。原子と分子の構造、量子力学の基礎および電気陰性度と結合性について整理して説明することができる。原子と分子の構造、量子力学の基礎および電気陰性度と結合性について説明できない。
金属錯体の結合金属錯体の結合について理解し、説明することができる。加えて、基本事項をもとに考察を加えることができる。金属錯体の結合について整理して説明することができる。金属錯体の結合について説明することができない。
無機固体物質の化学結合状態と物性固体のエネルギー バンド理論と構造、 空間格子と結晶構造について理解し、説明することができる。加えて、これまでの学習内容をもとに考察を加えることができる。固体のエネルギー バンド理論と構造、 空間格子と結晶構造について整理して説明することができる。固体のエネルギー バンド理論と構造、 空間格子と結晶構造について説明することができない。
X線および電子線回折と格子振動X線および電子線回折、格子振動について理解し、説明することができる。加えて、これまでの学習内容をもとに考察を加えることができる。X線および電子線回折、格子振動について整理して説明することができる。X線および電子線回折、格子振動について説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 本講義は本科電気工学科で学習した電気電子材料、半導体工学、および情報工学科で学習した電子・集積回路を基盤としており、材料中における電子の挙動が物性 (電気・磁気・光学特性など) を決定付けることを学ぶ。そして、電気・電子・情報系の分野で利用される機能性材料に対して理解を深めることで、新規デバイスの開発や材料設計を行う際に必要な知識を身に付けられるようにする。
授業の進め方・方法:
電気・電子・情報系で利用される材料をシステム化する技術やリサイクル可能な材料を開発する技術を修得するために、(1) 量子力学の基本的な考え方、(2) 結晶構造の分類や解析手法、(3) 固体材料の電子状態が物性に与える影響に関して講義を行う。また、適宜課題演習やレポートを行うことで講義の理解度を向上させる。さらに、目視出来ない量子論的なミクロな現象や最先端のトピックスに関しては、視聴覚教材を利用することで直感的に学習できるようにする。
講義は板書や配布資料の他に、OHPやビデオなどの視聴覚教材を利用する。また、適宜課題レポートを提出することで、自学自習できるようにする。
注意点:
授業の復習を行い、演習課題に関しても授業や図書館の資料を参考にして取り組むこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 原子と分子の構造 古典および量子論的原子モデル、軌道関数と存在確率、軌道の形、分子軌道について理解する。
2週 量子力学の基礎 不確定性原理とシュレディンガーの波動方程式について理解する。
3週 電気陰性度と結合性 イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について理解する。
4週 異種原子の結合状態 結合分極、電子密度、状態密度について理解する。
5週 金属錯体の結合 (1) 結晶場理論、結晶場分裂について理解する。
6週 金属錯体の結合 (2) 高スピン錯体と低スピン錯体について理解する。
7週 金属錯体の結合 (3) ヤーン・テラー効果、配位子場理論、分子軌道の表記法について理解する。
8週 中間試験 ここまでの内容について、理解度を確かめる。
2ndQ
9週 固体のエネルギー, バンド理論と構造 無機固体物質の化学結合状態が物性に与える影響について理解する。
10週 空間格子と結晶構造 結晶中の原子配置の空間格子による表記法について理解する。
11週 X線および電子線回折(1) 実格子、逆格子、エワルド球について理解する。
12週 X線および電子線回折(2) 明視野像、暗視野像、制限視野回折図形について理解する。
13週 X線および電子線回折(3) 結晶構造因子と消滅則について理解する。
14週 格子振動 一次元格子モデルを用いた格子振動の考察と、格子振動が物性に与える影響について理解する。
15週 期末試験 ここまでの内容について、理解度を確かめる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験演習および課題取り組み合計
総合評価割合80155100
基礎的能力4010555
専門的能力405045