エネルギーエレクトロニクス

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 エネルギーエレクトロニクス
科目番号 0048 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(電気電子システムコース) 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 適宜資料を配付,回路解析シミュレータPSIMを利用
担当教員 石飛 学

到達目標

各種エネルギー変換デバイス,パワー半導体デバイスおよび電力の変換方法に関する基礎知識を習得するとともに,課題への取り組みを通じて,省エネルギー技術の嘘と本当を見分ける力を身につける。また,身近なところから省エネルギー対策に取り組んでいくための基礎知識を習得する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 今後人類が地球と共存していくためには,化石燃料への依存を減らし,代替エネルギー源の開発,自然エネルギーの有効利用,省エネルギー技術の開発と導入といったエネルギーの確保,貯蓄と利用に関して真剣に考えていかなければならない。一方,エネルギーを扱う機器には高品質,高信頼性及び小型・軽量であることが強く要求され,これらを同時に満たすのは簡単なことではない。
 そこで,エネルギーとエレクトロニクスの接点領域に存在する技術について幅広い立場から学ぶ。それぞれの研究分野や日常において,環境問題へのアプローチを再度見直してもらうきっかけになれば嬉しい。
授業の進め方・方法:
 PFC機能を有する充電回路を例として取り上げ,エネルギー及び電力形態を変換するための各種デバイス,変調・制御方式及び駆動技術など,エレクトロニクスによるエネルギー変換及び制御に関する各種技術について回路シミュレータによる演習等取り入れながら講義を行う。またこれらに関する課題を提示するので,担当した課題の調査及び報告をしてもらう。
注意点:
 広い領域に渡る内容となりそれぞれ調査報告も行ってもらうが,エネルギーの有効利用にポイントを置いて各テーマに取り組んでほしい。また,授業で取り上げる各種デバイスや回路方式について,動作を丸暗記せず,電力のやり取りや転流動作を波形から読み取るなど,視覚的に原理を理解するよう努めてほしい。
 複合領域の応用分野なので,次の授業に必要な基礎科目を復習の上,授業に臨むこと。
 また,シミュレータを用いて,授業で出てきた回路の確認を随時行うこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション,スイッチング電源とは? エネルギーエレクトロニクスとはどんな分野か紹介する。また,エネルギーエレクトロニクスの要となるスイッチング電力変換回路の電力制御方法について学ぶ。各種パルス変調方式にも触れる。
2週 回路の過渡現象 回路の単発過渡現象について復習する。
3週 太陽電池とMPPT回路 まず、太陽電池の等価回路を例にモデリングの必要性を学ぶ。次に,太陽電池の効率的な使い方(最大電力点追従(MPPT)制御等)と双方向チョッパの動作について学ぶ。
4週 PFC機能を有する充電回路(蓄電デバイス,高調波問題) 各種2次電池及び電気二重層キャパシタ(EDLC)の特性を紹介する。ここで,バランス充電回路についても触れる。また,商用電源を利用する際に伴う,高調波問題に触れる。
5週 PFC機能を有する充電回路(PFCコンバータ) 回路シミュレータ(PSIM)の使い方を紹介する。次にPSIMを使いながら,PFCコンバータの動作について学ぶ。
6週 PFC機能を有する充電回路(スイッチングデバイス) 各種スイッチングデバイスの特徴及び原理とハイパワー化技術を学ぶ。省エネ技術として注目されるワイドギャップ半導体にも触れる。
7週 PFC機能を有する充電回路(ドライブ回路の考え方) スイッチングデバイスのドライブ方法を学ぶ。絶縁の必要性と絶縁方法,各回路定数の決め方,保護方法及びブートストラップ回路について扱う。抵抗,キャパシタ及びダイオードの使い方にも触れる。
8週 PFC機能を有する充電回路1/2(OPアンプ,コンパレータ) PSIMを使いながら,OPアンプとコンパレータの基本動作を確認する。
2ndQ
9週 PFC機能を有する充電回路2/2(OPアンプ,コンパレータ)
10週 PFC機能を有する充電回路(OPアンプ2,フィルタ) OPアンプによる平均値回路からLCフィルタの基本,分波器及びスナバについて解説する。また,コンパレータによるPWM信号発生回路にも触れる。
11週 PFC機能を有する充電回路(PI制御,EMC対策) OPアンプを用いてP制御及びPI制御について学ぶ。また電力及びエネルギー変換に伴い発生するノイズの基礎とその対策について学ぶ。
12週 課題発表 ソフトスイッチング等の省エネ技術,藻類を利用したバイオ燃料,潮流発電・地熱発電とその課題,脱電気技術,リチウムイオンキャパシタ,エネルギーハーベスト等の課題を用意するので,各自選択した課題について調査し,発表&ディスカッションを行う。
13週 課題発表
14週 課題発表
15週 原発代替に関する技術、各種アプリケーション スマートグリッドや分散協調電源システムについて解説する。また,家電や自動車分野を取り上げ,最近の話題,省エネルギーについて認識を深める。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
専門的能力201030