物理学特論B

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物理学特論B
科目番号 0031 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 システム創成工学専攻(情報システムコース) 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 特に指定しない。必要に応じて、授業中にプリント等を配布する。参考文献:「電磁気学Ⅱ」バーガー・オルソン著、小林澈郎・小林幸子訳、培風館
担当教員 稲田 直久

到達目標

シラバスの講義内容が理解できることが到達目標である。すなわち、相対性理論の考え方、特殊相対性理論の原理に従ったローレンツ変換の導出、ローレンツ変換の物理的な意味の理解(ここまでを前半・後期中間試験とする)、さらに特殊相対論の枠組みにおける力学を理解することが目標となる。天文・宇宙に関する講義や一般相対性理論の考え方に関する講義も行うので、その内容に対する基本的な理解を得ることも目標とする(ここまでを後半・学年末試験とする)。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1力学と電磁気学の基本的事項が理解でき、特殊相対性理論の考え方に基づいたローレンツ変換の導出が理解できる。また、ローレンツ変換から導出される時間の遅れやその実験的検証を理解・説明することができる。力学と電磁気学の基本的事項が理解でき、特殊相対性理論の考え方に基づいたローレンツ変換の導出が理解できる。力学と電磁気学の基本的事項が理解できず、特殊相対性理論の考え方に基づいたローレンツ変換の導出も理解できない。
評価項目2特殊相対性理論に基づいた力学を理解することができ、その演習問題が解ける。一般相対性理論への拡張の必要性や、天文学・宇宙論の基礎事項についても理解できる。特殊相対性理論に基づいた力学を理解することができ、その簡単な演習問題が解ける。特殊相対性理論に基づいた力学を理解することができず、簡単な演習問題も解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

JABEE基準 (c) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-1 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
量子力学や統計力学と並んで現代物理学の重要な一角を占める「アインシュタインの相対性理論」について学び、物理学に対するより深い知識や理解を得ることを目的とする。また、相対性理論を学ぶにあたって重要となる力学や電磁気学の基礎にも触れ、さらには特殊相対性理論に関する演習問題に取り組むことで、本科(あるいはそれに相当する学年)で身に着けた知識や計算力をより盤石のものとしたい。併せて、相対性理論の応用の1つである天文学や宇宙論に関連する講義も行い、その“楽しさ”にも触れることも目的とする。
授業の進め方・方法:
「相対性理論」という物理学の枠組みを導入するにあたって特に重要となるニュートン力学と電磁気学の基礎からスタートし、特殊相対性理論の考え方、および特殊相対論的な枠組みにおける力学について講義を行う。さらに、一般相対性理論の基礎について講義を行い、一般相対性理論の重要な具体的応用例である観測的宇宙論のトピックについても紹介したい。
注意点:
関連科目 
・力学、電磁気学、熱力学等の全ての基礎物理学の科目
学習指針
・事前学習:関連科目のうち特に重要である力学と電磁気学については、合計3週程度、その基礎的な内容についての講義を行うことを予定しているが、あらかじめ理解できているところ、理解できないところを明らかにしておくこと。
・事後発展学習:各単元(各週)において課題を課すので、各自それに取り組んで次の授業時に確認を受けること(単なる課題ではなく「レポート」としての提出を求める場合もある)。また、第10週あるいは14週に関する内容をレポートとしてまとめ、提出すること。
・本講義は学生諸君との「議論」を行いながら進めることを前提としたいため、講義中にこちらから質問を投げかけることがあり、また講義中の質問も歓迎する(ただし、回答に時間のかかるものは授業後に対応することもある)。
・本講義は特に教科書等は定めず、必要に応じて授業中にプリント等を配布する予定である。

学修単位の履修上の注意

以下の課題を総合的に評価し、成績の30%に組み入れる。
・各単元(各週)において課される課題に取り組み、次の授業時に取り組み状況の確認を受けること(単なる課題ではなく「レポート」としての提出を求める場合もある)。
・第10週に予定されている演習課題、あるいは第14週の内容に関する事項をレポートまたは課題としてまとめ、指定された日時までに提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 導入 講義全般にわたる導入を行う。本講義の目的、授業の進め方、評価の方法などについて理解する。
2週 力学の基礎 運動の法則(ニュートン力学の基本法則)を理解する。
3週 ニュートン力学の相対性 ガリレイ変換・慣性力について理解する。
4週 電磁気学の基礎 電磁気の法則の概要を理解し、マクスウェル方程式から電磁波の波動方程式が導出できることを理解する。
5週 特殊相対性理論1 運動の法則と電磁気の基本法則の間にある矛盾を理解する。
6週 特殊相対性理論2 特殊相対性理論の根幹となるローレンツ変換の導出を理解する。
7週 特殊相対性理論3 時間の遅れおよびその実験的検証、ローレンツ収縮、速度の合成について理解する。
8週 後期中間試験 中間試験を行い、前半の内容について総合的に復習する。
4thQ
9週 特殊相対論的力学 特殊相対性理論の枠組みにおける力学の構築について理解する。
10週 演習 特殊相対性理論に関する総合的な演習問題に取り組む。
11週 一般相対性理論の基礎 特殊相対性理論を一般化する必要性について理解する。
12週 観測天文学の基礎1 観測天文学の基礎(実際に行われている天文観測の様子や望遠鏡の構造に関することなど)について理解する。
13週 観測天文学の基礎2 観測天文学の基礎(天体までの距離の測定、恒星の進化、銀河や銀河団など)について理解する。
14週 宇宙論の基礎 最新の宇宙論(重力レンズ現象や系外惑星探査など)について理解する。
15週 学年末試験 期末試験を行い、本講義全体を総合的に復習する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他課題に対するレポート評価合計
総合評価割合700000030100
基礎的能力30000001040
専門的能力20000001030
分野横断的能力20000001030