応用物理

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 応用物理
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 知能機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 [教科書] 高専の応用物理,小暮陽三(森北出版) [参考書] 総合物理1-力と運動・熱-, 総合物理2-波・電気と磁気・原子-(数研出版)
担当教員 孝森 洋介

到達目標

(1)熱とは何かを理解し,熱・仕事・エネルギーの関係性について説明できる
(2)質点,質点系,剛体の力学をベクトルと微積分を用いて説明できる
※物理は専門科目の基礎となる科目です。基本をおさえることが専門科目のより深い理解につながり,専門をいかした仕事に就いたときに役立ちます。また,一見,専門科目とは関係がないようなことでも役立つこともあります。専門との関連性がなさそうなことでも「教養」として身につけることを目的とし学習しましょう。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学第一法則を理解し様々な熱機関の熱効率を計算することができる熱力学第一法則を理解し簡単な熱機関の熱効率を計算することができる熱力学第一法則に関する計算ができない
質点の力学微分・積分・ベクトルを用いた質点の力学の応用問題が解ける微分・積分・ベクトルを用いた質点の力学の基礎問題が解ける微分・積分・ベクトルを用いた質点の力学の基礎問題が解けない
質点系の力学2質点系の力学をより多い質点からなる質点系へ応用した問題が解ける2質点系の力学に関する基礎問題が解ける2質点系の力学に関する基礎問題が解けない
剛体の力学微分・積分・ベクトルを用いた剛体の力学の応用問題が解ける微分・積分・ベクトルを用いた剛体の力学の基礎問題が解ける微分・積分・ベクトルを用いた剛体の力学の基礎問題が解けない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
(1)「熱」について学び,熱・仕事・エネルギーの関係を理解する
(2)質点の力学をベクトル・微積分を用いて理解する
(3)質点系の力学(特に2質点系)をベクトル・微積分を用いて理解する
(4)剛体の力学をべクトル・微積分を用いて理解する
(5)1・2年生の「物理」で学習した内容について復習する
授業の進め方・方法:
講義で物理概念を学習し,問題演習によりその理解を深める
注意点:
事前学習:指定の教科書・参考書を用いて,次回の授業範囲を予習し専門用語の意味などを理解しておくこと。
事後学習:授業で行った演習問題を再度解きなおす,ノートを見返すなどをし,復習をすること。
定期試験は期末試験のみ実施し,中間試験は行わない。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション,熱力学概観, 理想気体の状態方程式 気体の法則に関する計算問題が解ける
2週 熱力学第1法則(1)熱容量,熱量保存の法則 熱容量,熱量保存の法則に関する計算問題が解ける
3週 熱力学第1法則(2)気体分子運動論,温度と内部エネルギー 気体分子運動論を説明できる。内部エネルギーの計算ができる
4週 熱力学第1法則(3)熱力学第1法則 熱力学第一法則を理解し計算することができる
5週 熱力学第1法則(4)気体が外へする仕事,定圧変化 定積変化と定圧変化について熱力学第一法則を用いた計算ができる
6週 熱力学第1法則(5)定積変化,定圧変化,等温変化,断熱変化,小テスト 各変化について熱力学第一法則を用いた計算ができる
7週 熱力学第1法則(6)熱機関と熱効率 熱機関の熱効率を説明することができる
8週 熱力学第1法則(7)熱機関と熱効率,不可逆変化 いくつかの熱機関について熱効率を計算することができる。不可逆変化を具体例をあげて説明することができる
2ndQ
9週 速度と加速度(1)微積分とベクトルの復習 微分・積分・ベクトルの基本的な計算問題が解ける
10週 速度と加速度(2)位置,速度,加速度 位置・速度・加速度を微積・ベクトルで表すことができ計算して求めることができる
11週 運動の法則(1)運動の法則,具体的な運動(落体の運動,摩擦力と運動) 落体の運動と摩擦力による運動の運動方程式を微分方程式としてみて解くことができる
12週 運動の法則(2)具多的な運動(空気抵抗ありの自由落下,単振動) 空気抵抗ありの自由落下と単振動の運動方程式を微分方程式としてみて解くことができる
13週 仕事とエネルギー(1)運動エネルギーと仕事,小テスト 運動方程式を積分することで運動エネルギーと仕事の関係を得ることができる
14週 仕事とエネルギー(2)保存力による仕事と位置エネルギー,力学的エネルギー保存則 位置エネルギーの表式から微分により力が得られることを理解し計算することができる。力学的エネルギー保存則に関する計算問題が解ける。
15週 期末試験
16週 試験返却・解説 試験返却と解説を行い復習する
後期
3rdQ
1週 質点系の力学(1)試験の講評,質点系と重心 質点系の重心を計算することができる
2週 質点系の力学(2)運動量保存則,2質点系の運動(運動量保存則) 2質点系の運動量保存則に関する問題が解ける
3週 質点系の力学(3)2質点系の運動(糸でつながれた2質点系) 糸でつながれた2質点の運動方程式を書き解くことができる
4週 質点系の力学(4)2質点系の運動(ばねでつながった2質点系) ばねでつながれた2質点の運動方程式を書き解くことができる
5週 質点系の力学(5)ベクトルの外積,角運動量,力のモーメント ベクトルの外積を計算することができる。角運動量と力のモーメントを外積で表し計算ができる
6週 質点系の力学(6)回転の運動方程式,角運動量保存則,小テスト 回転の運動方程式を表し,角運動量保存則を導くことができる
7週 中心力による回転運動(1)中心力による運動と角運動量保存則 中心力による運動では角運動量が保存することを計算で導くことができる
8週 中心力による回転運動(2)万有引力による運動(運動方程式) 万有引力による運動の運動方程式を解くことができる
4thQ
9週 剛体の力学(1)質点系と剛体 剛体が質点系として理解し説明することができる。剛体のつりあいの問題が解ける
10週 剛体の力学(2)固定軸まわりを回転する剛体の運動方程式 剛体の運動方程式を書き簡単な運動について解くことができる
11週 慣性モーメントの計算(1)棒,輪 棒と円環の慣性モーメントが計算できる
12週 慣性モーメントの計算(2)長方形板,円盤 長方形板と円盤の慣性モーメントが計算できる
13週 慣性モーメントの計算(3)円柱,球殻,球,小テスト 円柱,球殻,球の慣性モーメントが計算できる
14週 剛体の力学(3)自由な運動(円柱が転がる運動) 円柱が転がる運動について運動方程式を立て解くことができる
15週 期末試験
16週 試験返却・解説 試験返却と解説を行い復習する

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前9,前10,前11
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前11,前12
力のモーメントを求めることができる。3後5
角運動量を求めることができる。3後5,後6
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後6
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後11
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後10
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前1
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前2
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前2
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前8
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前6
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前4,前5,前6
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前8
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前8
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前7
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。4前9,前10
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。4前9,前10
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4前11
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4前11
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4前11
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4後6,後7
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4後6,後7
仕事の意味を理解し、計算できる。4前13
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。4前14
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4前13
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4前14
動力の意味を理解し、計算できる。4前13
運動量および運動量保存の法則を説明できる。4後2,後6
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4後10
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4後12,後13

評価割合

期末試験小テスト合計
総合評価割合60400100
総合評価割合60400100