生物応用化学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 生物応用化学実験Ⅱ
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 生物応用化学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 プリント/実験を安全に行うために(改訂版)(化学同人), (続)実験を安全に行なうために(化学同人)
担当教員 綱島 克彦,河地 貴利,スティアマルガ デフィン,森田 誠一

到達目標

化学工業(石油化学,食品製造,医薬品製造など)の製造,品質管理,研究開発などの部門で必要とされる実験技術ならびにデータの取り扱い方を学ぶ。生物応用化学実験Ⅱでは以下の2点を到達目標とする。
(1)生物応用化学に関する基本的実験操作を、理解し行なうことができる。
(2)実験内容から科学レポートを作成することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1教員の助言に基づき、基本的実験操作を、理解し行なうことができる。ある程度の指導があれば、基本的実験操作を、理解し行なうことができる。基本的実験操作を、理解し行なうことができない。
評価項目2教員の助言に基づき、実験内容から科学レポートを作成することができる。ある程度の指導があれば、実験内容から科学レポートを作成することができる。実験内容から科学レポートを作成することができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
1年生で行なった生物応用化学実験Ⅰに引き続き、専門化学の基礎的実験を行う。実験のレポート作成を通じて実験内容や結果をまとめる能力を養い、また、演習や発表会等を行い各実験内容に対する理解や発表能力を深める。
授業の進め方・方法:
化学および生物に関する基礎実験を、生物工学系(生物など)、合成系(有機化学・無機化学など)、物性系(分析化学など)の3分野に分けて学習する。3班に分かれて各分野の基本的な実験操作を習得するとともにそれぞれの実験内容について学習する。
1. 実験レポ-ト(生物工学系60%・合成系70%・物性系:50%),実験取組(実験ノート、実験操作等 (生物工学系: 40%・合成系30%・物性系:50%)で評価する。
2. 最終成績は「生物工学系」,「合成系」,「物性系」の3分野の評価を平均する。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,陽イオン定性分析:1~2属の各陽イオンの性質
1~属の各陽イオンの性質が理解できる。
2週 陽イオン定性分析:3~6属の各陽イオンの性質 3~6属の各陽イオンの性質が理解できる。
3週 陽イオン定性分析:1~3属の陽イオン混合物の分離 1~3属の陽イオン混合物の分離ができる。
4週 陽イオン定性分析:4~6属の陽イオン混合物の分離 4~6属の陽イオン混合物の分離ができる。
5週 陽イオン未知試料分析
陽イオン未知試料分析ができる。
各実験内容に対して整理やまとめができる。
6週 測容ガラス器具の検定
測容器具の取り扱いができる。
7週 中和滴定における一次標準溶液の調製と二次標準溶液の評定
酸塩基中和滴定とpH測定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
8週 中和滴定における一次標準溶液の調製と二次標準溶液の評定
酸塩基中和滴定とpH測定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
2ndQ
9週 <前期中間試験期間>
10週 pH滴定曲線の測定
酸塩基中和滴定とpH測定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
11週 水酸化ナトリウム・炭酸ナトリウム混合物の定量
酸塩基中和滴定とpH測定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
12週 キレート形成反応と金属指示薬の色変化
キレート形成反応と金属指示薬について理解している。
13週 キレート滴定によるCa2+およびMg2+濃度測定(1)
キレート滴定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
14週 キレート滴定によるCa2+およびMg2+濃度測定(2)
キレート滴定を行い、化学量論計算および濃度計算ができる。
15週 滴定実験まとめ
化学量論計算および濃度計算ができる。
16週
後期
3rdQ
1週 生物工学系実験に関する諸注意、器具、顕微鏡の取り扱い、観察方法の説明 実験に必要な器具や装置の取り扱いなどができる。
2週 植物細胞オルガネラの観察(ミトコンドリア、葉緑体、核、原形質流動) 植物の細胞を光学顕微鏡で観察し、オルガネラの形態、膜の性質、染色体の分裂状態などが理解できる。
3週 植物細胞染色体の観察(体細胞分裂)
動物の細胞を光学顕微鏡で観察し、それらの形態、膜の性質、染色体の分裂状態などが理解できる。
4週 植物細胞原形質分離の観察(浸透圧による細胞壁および細胞膜の物質透過性の比較) 浸透圧による細胞状態の変化を観察し、細胞壁と細胞膜の物質透過性が確認できる。
5週 植物細胞の観察(TLC法による光合成色素の分離)
TLC法による光合成色素の分離を行い、植物細胞の観察ができる。
6週 動物組織の観察(横紋筋、軟骨組織)
動物組織を観察し、各組織の構造を理解できる。
7週 微生物培養と観察(カビ3種)
代表的なカビを用いて、微生物の無菌操作および観察を行うことができる。
8週 <後期中間試験期間>
4thQ
9週 微生物培養と観察(酵母3種)
代表的な酵母を用いて、微生物の無菌操作および観察を行うことができる。
10週 生物実験まとめ
各実験内容に対する発表ができる。
11週 合成系実験に関する諸注意、
分子模型による立体構造の把握(1)
実験に必要な器具や装置の取り扱いなどができる。
メタン・エタン・エチレン・シクロヘキサンなど基本的な有機化合物の分子模型を組み立て観察することで立体化学の基礎が身についている。
12週 分子模型による立体構造の把握(2)
アルコール・カルボン酸・アミンなど基本的な有機化合物の分子模型を組み立て観察することで立体化学の基礎が身についている。
13週 アルコールの反応 アルコールのエステル化およびエステルのけん化反応を行い,有機化合物について理解している。
14週 高分子化合物の合成
ポリスチレンおよびナイロンの合成を行い,有機化合物について理解している。
15週 自由実験についての説明 生物応用化学実験Ⅲで行う自由実験についての説明などを行う。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。2前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。3後13,後14
吸引ろ過ができる。3後13
分析化学実験中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。4前7,前8,前10,前11
キレート滴定を理解し、錯体の濃度の計算ができる。4前12,前13,前14
陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。4前1,前2,前3,前4,前5
物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前6,前7,前8,前10,前11
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前1,前2,前3,前4
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。3後7
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。3後5
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。3後5
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3後10
事実をもとに論理や考察を展開できる。3後10

評価割合

提出物実験取組合計
総合評価割合6040100
科学レポートを作成することができる60060
基本的実験操作の理解と実施04040