到達目標
1.各無機化合物の性質を、周期表との対応関係から理解できる。
2.錯体の立体構造と電子構造の概要を理解できる。
3.酸化還元反応と電極電位との関連を理解できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
酸化還元反応と電極電位との関連を理解できる。 | 平衡電位と電極反応論の概念を理解できる。 | ネルンストの式を理解して起電力を計算できる。 | 酸化と還元の違いが理解できない。 |
錯体の立体構造と電子構造の概要を理解できる。 | 結晶場理論、配位子場理論の概要を理解できる。 | 配位結合と錯体の種類を理解できる。 | 配位結合を理解できない。 |
各無機化合物の性質を、周期表との対応関係から理解できる。 | 種々の無機化合物の特性を周期表との関連で理解できる。 | 周期表の各族に、どのような元素があるのか理解できる。 | 周期表の族の種類を理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
この科目では、無機化学の基礎と応用をバランスよく学びます。無機化学とは、有機化合物以外のあらゆる物質およびそれを構成する元素の構造、反応性、物性を取り扱う学問分野です。本講では、1~2年生で学習した基礎化学の原理・原則を基盤にし、無機化合物の性質や応用を理解する上で必要な基礎分野(電気化学および錯体化学)を学びつつ、各無機化合物の製法、性質および応用等の内容を詳しく学習します。これらの中には、無機化学だけでなくあらゆる化学分野での基礎となる重要な内容も含まれますので、十分な理解が必要になります。また、無機化学には有機化学とは切り離せない要素もあり、無機化学と有機化学との関連も重要な視点になります。なお、担当教員は企業において無機化学品の研究開発および実用化に携わった経験を有しており、その経験を活かして無機化合物の特性と応用性についても解説します。
授業の進め方・方法:
各無機化合物の特性を、周期表上の分類にしたがって各論的に学習します。単純な暗記に陥ることなく、周期表の縦横の関係に基づいて理解することが重要なポイントとなります。また、無機化合物の製法や応用についても、無機工業化学的観点から解説します。
錯体化学の基礎を学習します。金属錯体は無機化合物の代表的な化合物群であり、基礎および応用ともに極めて重要です。したがって、錯体の構造や基礎的な性質を体系的に学習しておく必要があります。学習するにあたっては、配位子の種類、立体化学、結合論(結晶場、配位子場)の視点が重要なポイントになります。電気化学の基礎を学習します。電気化学と聞くと難解で特殊な分野という印象を受けるかもしれませんが、電気化学とは電子授受の現象を取り扱う化学分野であり、酸化還元反応を考える上で極めて重要な学問体系です。無機化合物の性質や応用を理解しようとするとき、その構成原子の価数に注目する必要があることを考えると、電気化学は無機化学を理解する上で避けて通れない重要な化学分野であることがわかります。学習するにあたっては、電子受授とポテンシャルエネルギー(電位)との関係を理解することが重要なポイントになります。また、平衡論と速度論の2つの視点も重要です。電池反応や電気分解についても解説します。
定期試験(70%)、小テスト・演習等(30%)を基準として評価する。
注意点:
指定した教科書および演習書の該当部分を事前に読んで予習しておいてください。必要に応じて、参考書を調査してください。教科書、参考書、授業ノートにより学習した内容を復習してください。必要に応じて、参考書を調査してください。適時、小テストを行ったりレポート課題を出すことがあるので、十分に復習をして準備をしておいてください。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
年間の授業計画と、内容の概略説明 |
無機化学の概要を知る。
|
2週 |
無機各論 水素と水素化合物の性質と応用 |
水素および水素関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
3週 |
sブロック元素:アルカリ金属 |
アルカリ金属およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
4週 |
sブロック元素:アルカリ土類金属 |
アルカリ土類金属およびその関連化合物の種類と特徴を学 ぶ。
|
5週 |
pブロック元素:希ガス |
希ガスおよびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
6週 |
pブロック元素:ハロゲン |
ハロゲンおよびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
7週 |
pブロック元素:酸素族(カルコゲン) |
酸素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
8週 |
pブロック元素:窒素族 |
窒素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
2ndQ |
9週 |
中間試験 |
中間試験
|
10週 |
pブロック元素:炭素族 |
炭素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
11週 |
pブロック元素:ホウ素 |
ホウ素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
12週 |
pブロック元素:典型金属 |
典型金属およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
13週 |
dブロック元素:遷移金属 |
遷移金属およびその関連化合物の種類と特徴を学ぶ。
|
14週 |
fブロック元素:ランタノイド,アクチノイド |
ランタノイドおよびアクチノイドおよびその関連化合物の 種類と特徴を学ぶ。
|
15週 |
期末試験 |
期末試験
|
16週 |
試験答案返却・解答解説 |
試験答案返却・解答解説
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
錯体化学の基礎 Werner型錯体:定義,配位結合,配位数 |
錯体の定義と種類を学ぶ。
|
2週 |
配位子の種類,命名法 |
配位子の種類と命名法を学ぶ。
|
3週 |
錯体の立体化学:立体構造,異性体 |
錯体の異性体を立体化学的に理解する。
|
4週 |
錯体の結合論:結晶場理論,配位子場理論,軌道の縮重 |
結晶場理論、配位子場理論を通して配位結合を理解する。
|
5週 |
錯体の安定性:安定度定数,反応性 |
錯体の安定度定数や反応性を学ぶ。
|
6週 |
有機金属錯体の概論 |
有機金属錯体の種類と特徴を知る。
|
7週 |
錯体の応用 |
錯体の応用事例とその原理を学ぶ。
|
8週 |
中間試験 |
中間試験
|
4thQ |
9週 |
電気化学の基礎 電解質溶液論:溶液の電気伝導,イオン 伝導,電気伝導率 |
電解質溶液論の基礎、イオン伝導を理解する。
|
10週 |
電解質溶液論:電離平衡,強電解質と弱電解質 |
強電解質と弱電解質との違いを理解する。
|
11週 |
電子移動化学:酸化と還元,電極反応,電気化学セル |
酸化還元反応を電気化学反応として理解する。
|
12週 |
電子移動の平衡論:電極電位,電気化学ポテンシャル |
電極電位の考え方を理解する。
|
13週 |
ネルンストの式,電位と電位差 |
ネルンストの式と平衡電位の考え方を学ぶ。
|
14週 |
電子移動の平衡論と速度論:電池と電気分 |
電池と電気分解の概要と違いを学ぶ。
|
15週 |
期末試験 |
期末試験
|
16週 |
試験答案返却・解答解説 |
試験答案返却・解答解説
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
配位結合の形成について説明できる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
錯体化学で使用される用語(中心原子、配位子、キレート、配位数など)を説明できる。 | 4 | |
錯体の命名法の基本を説明できる。 | 4 | |
配位数と構造について説明できる。 | 4 | |
代表的な錯体の性質(色、磁性等)を説明できる。 | 4 | |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
物理化学 | 電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 課題等 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
総合的理解 | 70 | 30 | 100 |