無機化学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 無機化学
科目番号 0039 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『基礎無機化学』花田禎一著(サイエンス社)
担当教員 綱島 克彦

到達目標

1.原子の構造、および原子や電子の性質を理解できる。
2.化学結合およびその結晶の種類と特徴を理解できる。
3.各無機化合物の性質を周期表との対応関係から理解し、無機化合物の化学工業分野での役割や応用事例を理解できる。
無機化学で修得した知識は,化学工業界における無機化学品に関わる研究開発や製造において、無機物質の原材料や製品などを実際に取り扱う際に役立つ知識となります。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子や電子の性質を周期表との関連で理解できる。原子や電子の基本的な性質を理解できる。原子や電子の基本的な性質を理解できない。
評価項目2化学結合やその結晶の成り立ちを電子の性質から理解できる。化学結合の種類を理解できる。化学結合の種類を理解できない。
評価項目3無機化合物の化学工業分野での役割や応用事例を理解できる。種々の無機化合物の特性を周期表との関連で理解できる。周期表の各族に、どのような元素があるのか理解できる。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
この科目では、無機化学の基礎をまず最初に学び、その後に応用にも視点を広げながらバランスよく学びます。無機化学とは、有機化合物以外のあらゆる物質およびそれを構成する元素の構造、反応性、物性を取り扱う学問分野です。本講では、基礎化学的な原理・原則を基盤にし、無機化合物の性質や応用を理解する上で必要な基礎(原子や電子、化学結合論等)を学びつつ、各無機化合物の製法、性質および応用等の内容を詳しく学習します。これらの中には、無機化学だけでなくあらゆる化学分野での基礎となる重要な内容も含まれるので、十分な理解が必要になります。また、無機化学には有機化学とは切り離せない要素もあり、無機化学と有機化学との関連も重要な視点になる場合もあります。なお、担当教員は企業において無機化学品の研究開発および実用化に携わった経験を有しており、その経験を活かして無機化合物の特性と応用性の視点も授業に織り込みます。本講における学習内容は、化学工業界における無機化学品に関わる研究開発や製造において、無機物質の原材料や製品などを実際に取り扱う際に役立つ知識となります。
授業の進め方・方法:
まず前期には、原子の構造や電子の挙動など化学の基本を復習しながら、原子の構造と性質、原子や分子における電子の役割、化学結合の種類と特徴、結晶の形態と特徴、固体中の電子の挙動等の内容を詳しく学習します。
後期には、各無機化合物の特性を、周期表上の分類にしたがって各論的に学習します。単純な暗記に陥ることなく、周期表の縦横の関係に基づいて理解することが重要なポイントとなります。また、無機化合物の製法や応用についても、無機工業化学的観点から解説します。
定期試験(70%)、小テスト・演習等(30%)を基準として評価する。
注意点:
指定した教科書および演習書の該当部分を事前に読んで予習しておいてください。必要に応じて、参考書を調査してください。教科書、参考書、授業ノートにより学習した内容を復習してください。必要に応じて、参考書を調査してください。適時、小テストを行ったりレポート課題を出すことがあるので、十分に復習をして準備をしておいてください。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 年間の授業計画と、内容の概略説明 無機化学の概要を知ることができる。
2週 基礎化学:原子の質量数と電気量,核種,放射性崩壊,質量欠損 核種の種類と特徴、およびそれらの放射性壊変や質量欠損を理解できる。
3週 基礎化学:水素原子モデル,物質波 ボーアの水素原子モデルや物質波の考え方を理解できる。
4週 基礎化学:波動方程式,電子の軌道,電子殻 物質波の考え方を基礎として電子の挙動や軌道の概念を理解できる。
5週 基礎化学:周期表と電子配置,量子数 周期表と電子配置との関係、および量子数の種類を理解できる。
6週 基礎化学:元素の陽性と陰性,遮蔽 元素の陽性や陰性と周期表との関係や、電荷の遮蔽について理解できる。
7週 基礎化学:イオン化エネルギー,電子親和力 イオン化エネルギー,電子親和力とそれらの周期表の位置関係を理解できる。
8週 基礎化学:電気陰性度 電気陰性度とそれらの周期表の位置関係を理解できる。
2ndQ
9週 中間試験 中間試験
10週 化学結合論:イオン結合,共有結合(多重結合を含む),混成軌道 イオン結合および共有結合の成り立ち、および多重結合と混成軌道を理解できる。
11週 化学結合論:分子軌道法の概要 電子の軌道と分子軌道法の概要を理解できる。
12週 化学結合論:配位結合,金属結合,水素結合,分子間相互作用 配位結合、金属結合の成り立ち、および水素結合や分子間力のような相互作用の概略を理解できる。
13週 固体化学:結晶格子 結晶格子の種類と特徴、およびその簡単な計算方法を理解できる。
14週 固体化学:化学結合と結晶(イオン結晶,共有結晶,金属結晶,分子結晶) 種々の化学結合からなる結晶の種類と特徴を理解できる。
15週 期末試験 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験答案返却・解答解説
後期
3rdQ
1週 無機各論 水素と水素化合物の性質と応用 水素および水素関連化合物の種類と特徴を理解できる。
2週 sブロック元素:アルカリ金属 アルカリ金属およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
3週 sブロック元素:アルカリ土類金属 アルカリ土類金属およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
4週 pブロック元素:希ガス 希ガスおよびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
5週 pブロック元素:ハロゲン ハロゲンおよびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
6週 pブロック元素:酸素族(カルコゲン) 酸素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
7週 pブロック元素:窒素族 窒素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
8週 中間試験 中間試験
4thQ
9週 pブロック元素:炭素族 炭素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
10週 pブロック元素:ホウ素 ホウ素族元素およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
11週 pブロック元素:典型金属 典型金属およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
12週 dブロック元素:遷移金属 遷移金属およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
13週 dブロック元素:遷移金属 遷移金属およびその関連化合物の種類と特徴を理解できる。
14週 fブロック元素:ランタノイド,アクチノイド ランタノイドおよびアクチノイドおよびその関連化合物の
種類と特徴を理解できる。
15週 期末試験 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 試験答案返却・解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4前5
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4前4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4前5
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4前5
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。4前5,前6
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前7,前8
イオン結合と共有結合について説明できる。4前10
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前10
金属結合の形成について理解できる。4前12
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。4前4,前11
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前4,前11
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。4前13
配位結合の形成について説明できる。4前12
水素結合について説明できる。4前12
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前2
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4前2
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4前2
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4前2

評価割合

試験課題等合計
総合評価割合7030100
基礎的能力402060
専門的能力301040