到達目標
分析化学は、天然や人工の物質の化学的組成を定性的・定量的に識別するための方法(論)を開発・確立することを目的とする化学の一分野である。また、分野を問わず生産部門、研究・開発部門で使われる分析操作、分析技術を理解するために必須な知識を学習する科目である。次の到達目標を設定する。
(1)沈殿反応・錯イオンにおける濃度計算等ができる。
(2)抽出の基礎を理解し、計算ができる。
(3)酸化還元反応における濃度計算、電位の計算ができる。
分析化学で修得した知識は,石油化学,食品,医薬品製造などの品質管理や分析業務の業務で役立ちます。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
沈殿反応・錯イオンにおける濃度計算等ができる。 | 沈殿反応・錯イオンにおける濃度計算が十分できる。 | 沈殿反応・錯イオンにおける濃度計算ができる。 | 沈殿反応・錯イオンにおける濃度計算ができない。 |
抽出の基礎を理解し、計算ができる。 | 抽出の基礎を十分理解し、計算ができる。 | 抽出の基礎を理解し、計算ができる。 | 抽出の基礎を理解しておらず、計算ができない。 |
酸化還元反応における濃度計算、電位の計算ができる。 | 酸化還元反応における濃度計算、電位の計算が十分できる。 | 酸化還元反応における濃度計算、電位の計算ができる。 | 酸化還元反応における濃度計算、電位の計算ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
2年生に引き続き溶液内化学反応を履修する。錯イオン、沈殿反応、酸化還元反応などの溶液反応の学習と液-液抽出についてその原理について学習する。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業が中心となる。それらの知識、計算法を解説し、必要に応じて具体的な問題演習を行う。必要に応じて口頭試問、小テストを実施し、各自の理解度を把握してもらう。定期試験を70%、口頭試問、小テスト、課題、レポートなどを30%を基準に年間を通じて総合評価する。
前期
第1週
ガイダンス、2年生までに学習した内容について、到達度をチェックする。
第2週~第6週
沈殿平衡、溶解度積、共通イオン効果、分別沈殿、金属陽イオンの系統的定性分析、沈殿滴定などについて学習する。
第7週~第8週
錯体の生成、ルイスの酸・塩基、配位子、キレート、錯生成定数、全生成定数、逐次生成定数などについて学習する。
第9週、第10週
期末試験を行い、理解度を評価する。答案返却と解説を行う。
第11週~第14週
錯生成に対する存在化学種の濃度依存性、pHの影響、金属指示薬とキレート滴定、錯生成による沈殿の溶解について学習する。
第15週~第16週
期末試験を行い、理解度を評価する。答案返却と解説を行う。
後期
第1週~第4週
2相間分配平衡と溶媒抽出、有機酸の分配、金属錯体の分配平衡、溶媒抽出による金属イオンの分離について学習する。
第5週~第7週
イオン化傾向、電池の校正、電池図式、起電力、酸化数、半反応、酸化還元反応、標準酸化還元電位、ネルンストの式について学習する。
第8週~第9週
期末試験を行い、理解度を評価する。答案返却と解説を行う。
第10週~第14週
ネルンストの式を用いて起電力の計算、電極反応の平衡、酸化還元平衡に与える共存物質の影響、水溶液の電位、酸化還元滴定について学習する。
第15週~第16週
期末試験を行い、理解度を評価する。答案返却と解説を行う。
注意点:
事前学習
指定した教科書(可能であれば参考書も)の該当部分を事前に読んでおくこと。
事後学習
教科書、参考書、ノートにより、講義時に学習した内容を復習しておくこと。課題を与えられた場合には、期限までにレポートを提出すること。次回の授業時に小テストを行うことがあるので、備えておくこと。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 到達度チェック |
2年生までの学習内容の復習を行う。溶液内の化学平衡について理解できる。
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2週 |
沈殿平衡と分別沈殿(1) |
沈殿平衡と溶解度積について理解し、関連する計算ができる。
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3週 |
沈殿平衡と分別沈殿(2) |
共通イオン効果について理解し、関連する計算ができる。
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4週 |
沈殿平衡と分別沈殿(3)
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分別沈殿について理解し、関連する計算ができる。
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5週 |
沈殿平衡と分別沈殿(4)
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金属陽イオンの系統的定性分析について理解できる。
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6週 |
沈殿平衡と分別沈殿(5)
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沈殿滴定について理解し、関連する計算ができる。
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7週 |
錯生成平衡とキレート滴定(1)
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錯体の生成、ルイスの酸・塩基、配位子、キレートについて理解できる。
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8週 |
錯生成平衡とキレート滴定(2)
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錯生成定数、全生成定数、逐次生成定数について理解し、関連する計算ができる。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
これまでの項目に関して試験し、到達度を把握する。
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10週 |
中間試験の返却と解説
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各自の答案の評価により、理解度を把握すること。解説により、各自の問題点を把握し、不足していたことを補うこと。
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11週 |
錯生成平衡とキレート滴定(3)
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存在化学種の濃度依存性について理解し、関連する計算ができる。
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12週 |
錯生成平衡とキレート滴定(4)
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pHの影響について理解し、関連する計算ができる。
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13週 |
錯生成平衡とキレート滴定(5)
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金属指示薬とキレート滴定について理解し、関連する計算ができる。
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14週 |
錯生成平衡とキレート滴定(6)
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錯生成による沈殿の溶解について理解し、関連する計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
これまでの項目に関して試験し、到達度を把握する。
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16週 |
答案返却・解説 |
各自の答案の評価により、理解度を把握すること。解説により、各自の問題点を把握し、不足していたことを補うこと。
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後期 |
3rdQ |
1週 |
溶媒抽出(1)
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2相間分配平衡と溶媒抽出について理解し、関連する計算ができる。
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2週 |
溶媒抽出(2)
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有機酸の分配について理解し、関連する計算ができる。
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3週 |
溶媒抽出(3)
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金属錯体の分配平衡について理解し、関連する計算ができる。
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4週 |
溶媒抽出(4)
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溶媒抽出による金属イオンの分離について理解し、関連する計算ができる。
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5週 |
酸化還元平衡と滴定(1)
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イオン化傾向、電池の校正、電池図式、起電力について理解できる。
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6週 |
酸化還元平衡と滴定(2)
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酸化数、半反応、酸化還元反応、標準酸化還元電位について理解し、関連する計算ができる。
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7週 |
酸化還元平衡と滴定(3)
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ネルンストの式について理解し、関連する計算ができる。
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8週 |
中間試験 |
これまでの項目に関して試験し、到達度を把握する。
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4thQ |
9週 |
中間試験の返却と解説
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各自の答案の評価により、理解度を把握すること。解説により、各自の問題点を把握し、不足していたことを補うこと。
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10週 |
酸化還元平衡と滴定(3)
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ネルンストの式を用いて起電力の計算法について理解し、関連する計算ができる。
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11週 |
酸化還元平衡と滴定(4)
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電極反応の平衡について理解し、酸化還元平衡定数に関連する計算ができる。
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12週 |
酸化還元平衡と滴定(5)
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酸化還元平衡に与える共存物質の影響について理解し、関連する計算ができる。
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13週 |
酸化還元平衡と滴定(6)
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水溶液の電位、酸化還元滴定について理解し、関連する計算ができる。
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14週 |
酸化還元平衡と滴定(7)
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酸化還元滴定について理解し、関連する計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
これまでの項目に関して試験し、到達度を把握する。
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16週 |
答案返却・解説 |
各自の答案の評価により、理解度を把握すること。解説により、各自の問題点を把握し、不足していたことを補うこと。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | いくつかの代表的な陽イオンや陰イオンの定性分析のための化学反応について理解できる。 | 4 | 前2,前13 |
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。 | 4 | 前10 |
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。 | 4 | 前13,前14 |
錯体の生成について説明できる。 | 4 | 前2,前3 |
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。 | 4 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7 |
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。 | 4 | 後6,後7 |
キレート滴定についての原理を理解し、金属イオンの濃度計算ができる。 | 4 | 前7 |
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。 | 4 | 後13,後14 |
評価割合
| 試験 | 口頭試問、小テスト、課題等 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 70 | 30 | 100 |