到達目標
気体の性質および熱力学の諸法則を理解し,化学反応に対する熱力学的計算・解析を行うことができる。
3年生で学習する物理化学は、工場における機器や装置などさまざまなプロセスに役立つ知識を学習する。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
気体の法則 | 気体の諸性質について説明でき、単位変換や分子運動などを組合せて計算ができる。 | 単位変換、気体の状態方程式、分圧や組成を計算ができる。 | 単位変換や気体に関する計算が十分にできない。 |
熱力学法則 | 熱力学第一〜第三法則を説明でき、様々な条件下で適用して計算ができる。 | 熱力学第一〜第三法則を理解し、適用して計算ができる。 | 熱力学第一〜第三法則を十分に適用できず、計算ができない。 |
平衡と組成 | 化学平衡について十分な説明ができ、平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算、平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算でき、平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性を計算できる。 | 平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーを使って計算することおよび平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性の計算が十分にできない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
熱力学を中心に学習し, エネルギーに関する諸法則と化学反応の関係を学習する。
物理化学は幅広い分野で用いられる基礎知識である。熱力学はエネルギーの出入りや熱エネルギーと力学的エネルギーの変換などを学ぶため、工場における機器や装置など、さまざまなプロセスの基礎知識となる。
授業の進め方・方法:
物理化学では,様々な化学反応を理解し,色々な点から化学反応を検討する上で必要となる基礎知識(学力)を勉強する。3年生の講義では,化学熱力学を中心に学習する。化学物質の性質および化学反応について,熱力学的な見方,考え方を中心に勉強する。
注意点:
授業前には必ず教科書を読んでくること。一度読んだだけでは分からないことの方が多いかもしれないが,気にする必要はない。ただし,分からないからといって,そのままにしておいては進めない。この科目は,暗記型勉強では学力がつかない科目なので,教科書を初め参考書等を繰り返し読んで考えてみることが大切である。
授業前に予め目を通しておくことで授業内容の理解が深まり,効率的に授業を受けられる。
教科書以外の事項も説明するので,必ずノートを取ること。計算問題については,ある程度「慣れ」が必要な部分もあるので,簡単に思える問題であっても必ず自分で計算してみること。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,物理化学の分野と概要, 単位と次元 |
物理量について理解している。
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2週 |
単位と次元,SI単位と単位換算 |
様々な単位で表される物理量の単位変換が計算できる。
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3週 |
単位換算, 気体の法則 |
単位変換ができ, 複雑な物理量の計算ができる。 気体の法則を理解している。
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4週 |
理想気体状態式,理想気体混合物,分圧計算 |
理想気体状態方程式を説明できる。理想気体混合物について、組成と分圧の関係を理解している。また、分圧の計算ができる。
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5週 |
分子運動論,実在気体 |
気体の分子速度論から圧力を定義し、理想気体の状態方程式を証明できる。 実在気体の特徴が説明できる。
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6週 |
ファンデルワールス式,ファンデルワールス式を用いる計算 |
van der Waals式が説明でき、これを用いて計算することができる。
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7週 |
臨界状態の特色,対応状態原理 |
対応状態の特色を理解し、対応状態原理を説明できる。
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8週 |
熱力学法則の概要,熱と仕事の概念,温度 |
熱力学法則の概要を理解し、熱と仕事の概念を説明できる。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
前期1週目〜8週目までの内容を理解し、計算できる。
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10週 |
分子運動(並進運動, 回転運動, 振動運動) |
分子の並進運動、回転運動、振動運動について説明できる。
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11週 |
分子運動と運動の自由度 |
物質を構成する1個1個の分子が持つエネルギーの意味と分子運動の様子を理解し、説明できる。
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12週 |
熱力学第1法則,エネルギーとPV仕事 |
熱力学第一法則の定義と適用方法を説明できる。PV仕事について説明できる。またPV仕事が計算できる。
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13週 |
内部エネルギー |
内部エネルギー変化を計算できる。
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14週 |
温度と熱平衡,熱容量, エンタルピーとその計算 |
熱容量、エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。 エンタルピーの温度依存性を計算できる。
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15週 |
期末試験 |
前期10週目〜15週目までの内容を理解し、計算できる。
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16週 |
試験答案返却・解答解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
相変化 |
相変化におけるエンタルピー変化について計算できる。
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2週 |
化学反応に対する第1法則(1) |
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。
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3週 |
化学反応に対する第1法則(2), 結合エネルギー |
化学反応におけるエンタルピーを計算できる。
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4週 |
熱力学第2法則, エントロピーの概念 |
熱力学第二法則法則の定義と適用方法を説明できる。 エントロビーについて理解している。
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5週 |
エントロピーの概念,エントロピー変化の計算 |
エントロピーについて説明できる。
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6週 |
エントロピー変化の計算 |
純物質の絶対エントロピーの計算ができる。
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7週 |
熱力学第3法則,化学反応のエントロピー変化および計算 |
熱力学第三法則の定義と適用方法を説明できる。 化学反応のエントロピー変化について理解し、計算できる。
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8週 |
後期中間試験 |
後期1週目〜7週目までの内容を理解し、計算できる。
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4thQ |
9週 |
自由エネルギー変化 |
自由エネルギー変化について理解している。
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10週 |
相平衡と自由エネルギー変化 |
相平衡と自由エネルギー変化について理解し、クラペイロン・クラウジウス式を用いて計算ができる。
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11週 |
化学平衡と自由エネルギー変化の計算 |
反応における自由エネルギー変化について理解している。 平衡の記述を説明できる。
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12週 |
平衡(諸条件の影響), 平衡定数の温度依存性 |
ルシャトリエの法則を説明できる。 平衡定数の温度依存生を計算できる。
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13週 |
平衡組成の計算 |
平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算できる。
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14週 |
自由エネルギー・化学平衡のまとめ |
平衡定数に対する圧力の影響を計算できる。
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15週 |
期末試験 |
後期9週目〜14週目までの内容を理解し、計算できる。
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16週 |
試験答案返却・解答解説 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | 主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。 | 4 | |
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。 | 4 | |
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。 | 4 | |
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。 | 4 | |
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。 | 4 | |
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。 | 4 | |
イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。 | 4 | |
金属結合の形成について理解できる。 | 4 | |
代表的な分子に関して、原子価結合法(VB法)や分子軌道法(MO法)から共有結合を説明できる。 | 4 | |
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 4 | |
配位結合の形成について説明できる。 | 4 | |
水素結合について説明できる。 | 4 | |
代表的な元素の単体と化合物の性質を説明できる。 | 4 | |
物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 30 | 100 |
基礎的能力 | 50 | 20 | 70 |
応用能力 | 20 | 10 | 30 |