物理化学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理化学
科目番号 0043 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 W.J.ムーア著,細矢・湯田坂訳,ムーア基礎物理化学(上),東京化学同人
担当教員 西本 真琴

到達目標

気体の性質および熱力学の諸法則を理解し,化学反応に対する熱力学的計算・解析を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
気体の法則気体の諸性質について説明でき、単位変換や分子運動などを組合せて計算ができる。単位変換、気体の状態方程式、分圧や組成を計算ができる。単位変換や気体に関する計算が十分にできない。
熱力学法則熱力学第一〜第三法則を説明でき、様々な条件下で適用して計算ができる。熱力学第一〜第三法則を理解し、適用して計算ができる。熱力学第一〜第三法則を十分に適用できず、計算ができない。
平衡と組成化学平衡について十分な説明ができ、平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算、平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性を計算できる。平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算でき、平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性を計算できる。平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーを使って計算することおよび平衡定数に対する圧力の影響や平衡定数の温度依存性の計算が十分にできない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
熱力学を中心に学習し, エネルギーに関する諸法則と化学反応の関係を学習する。
授業の進め方・方法:
物理化学では,様々な化学反応を理解し,色々な点から化学反応を検討する上で必要となる基礎知識(学力)を勉強する。3年生の講義では,化学熱力学を中心に学習する。化学物質の性質および化学反応について,熱力学的な見方,考え方を中心に勉強する。
注意点:
授業前には必ず教科書を読んでくること。一度読んだだけでは分からないことの方が多いかもしれないが,気にする必要はない。ただし,分からないからといって,そのままにしておいては進めない。この科目は,暗記型勉強では学力がつかない科目なので,教科書を初め参考書等を繰り返し読んで考えてみることが大切である。
授業前に予め目を通しておくことで授業内容の理解が深まり,効率的に授業を受けられる。
教科書以外の事項も説明するので,必ずノートを取ること。計算問題については,ある程度「慣れ」が必要な部分もあるので,簡単に思える問題であっても必ず自分で計算してみること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,物理化学の分野と概要, 単位と次元 物理量について理解している。
2週 単位と次元,SI単位と単位換算 様々な単位で表される物理量の単位変換が計算できる。
3週 単位換算, 気体の法則 単位変換ができ, 複雑な物理量の計算ができる。
気体の法則を理解している。
4週 理想気体状態式,理想気体混合物,分圧計算 理想気体状態方程式を説明できる。理想気体混合物について、組成と分圧の関係を理解している。また、分圧の計算ができる。
5週 分子運動論,実在気体 気体の分子速度論から圧力を定義し、理想気体の状態方程式を証明できる。
実在気体の特徴が説明できる。
6週 ファンデルワールス式,ファンデルワールス式を用いる計算 van der Waals式が説明でき、これを用いて計算することができる。
7週 臨界状態の特色,対応状態原理 対応状態の特色を理解し、対応状態原理を説明できる。
8週 熱力学法則の概要,熱と仕事の概念,温度 熱力学法則の概要を理解し、熱と仕事の概念を説明できる。
2ndQ
9週 中間試験 前期1週目〜8週目までの内容を理解し、計算できる。
10週 分子運動(並進運動, 回転運動, 振動運動) 分子の並進運動、回転運動、振動運動について説明できる。
11週 分子運動と運動の自由度 物質を構成する1個1個の分子が持つエネルギーの意味と分子運動の様子を理解し、説明できる。
12週 熱力学第1法則 熱力学第一法則の定義と適用方法を説明できる。
13週 エネルギーとPV仕事 PV仕事について説明できる。またPV仕事が計算できる。
14週 内部エネルギー 内部エネルギー変化を計算できる。
15週 期末試験 前期10週目〜15週目までの内容を理解し、計算できる。
16週 試験答案返却・解答解説
後期
3rdQ
1週 温度と熱平衡,熱容量, エンタルピーとその計算 熱容量、エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。
エンタルピーの温度依存性を計算できる。
2週 相変化 相変化におけるエンタルピー変化について計算できる。
3週 化学反応に対する第1法則(1) 化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。
4週 化学反応に対する第1法則(2), 結合エネルギー 化学反応におけるエンタルピーを計算できる。
5週 熱力学第2法則, エントロピーの概念 熱力学第二法則法則の定義と適用方法を説明できる。
6週 エントロピー変化の計算 純物質の絶対エントロピーの計算ができる。
7週 熱力学第3法則,化学反応のエントロピー変化および計算 熱力学第三法則の定義と適用方法を説明できる。
化学反応のエントロピー変化について理解し、計算できる。
8週 後期中間試験 後期1週目〜7週目までの内容を理解し、計算できる。
4thQ
9週 自由エネルギー変化 自由エネルギー変化について理解している。
10週 相平衡と自由エネルギー変化 相平衡と自由エネルギー変化について理解し、クラペイロン・クラウジウス式を用いて計算ができる。
11週 化学平衡と自由エネルギー変化の計算 反応における自由エネルギー変化について理解している。
平衡の記述を説明できる。
12週 平衡(諸条件の影響), 平衡定数の温度依存性 ルシャトリエの法則を説明できる。
平衡定数の温度依存生を計算できる。
13週 平衡組成の計算 平衡状態に達したときの状態や組成を反応の自由エネルギーから計算できる。
14週 自由エネルギー・化学平衡のまとめ 平衡定数に対する圧力の影響を計算できる。
15週 期末試験 後期9週目〜14週目までの内容を理解し、計算できる。
16週 試験答案返却・解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前3,前4,前8
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前5,前8
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前5,前6,前8
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前7,前8
混合気体の分圧の計算ができる。4前4,前8
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前9,前12,後8
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4後1,後2,後8
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4後3,後4,後8
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4後1,後2,後8
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前10,前11,前13,前14,前15,後1,後8
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4後13,後14,後15
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後13,後14,後15
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4後13,後14,後15
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4後1,後5,後7,後8
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4後6,後8
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4後8,後9,後14,後15
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4後10,後14,後15
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4後11,後12,後13,後14,後15
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後13,後14,後15
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前13,前14,前15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
応用能力201030