地球上生命体の動的な生命活動について、マクロレベルからミクロレベル、生態レベルから個体レベル、ゲノムレベルから遺伝子レベルまで理解できる。また、生体における主な高分子の構造と機能の他に、主に「遺伝子」や「遺伝」について理解できる。さらには、生体高分子、特に遺伝子・ゲノムの構造と機能についての理解をベースに、科学的および討論のできる論理的思考を培う。
また、分子生物学の基礎として、次のような目標を到達していただく:(1) 分子生物学の発展に重要な発見について説明できること、(2) DNAの構造と機能について説明できること、(3) DNAの複製反応について説明できること、(4) DNAの遺伝子情報発現・調節機構について説明できること、(5) DNA・ゲノム・遺伝子の定義を説明できること、(6) メンデル遺伝の基礎を理解できること、(7) バイオテクノロジーの基礎的実験について説明できること、(8) 進化について、遺伝子〜ゲノムレベルでの説明ができること、である。
人間が消費するようなものの生産の過程や消費の過程で、用いられる・含まれる化学物質が人間そのものや周りの生き物の遺伝子や身体にどのような影響をもたらしてしまうかを検討するのに、生命体の動きを分子レベルで理解する分子生物学の知識が必要である。従って、本科目から学ぶ様々な知見が将来の様々な職場で役立つ。
概要:
地球上生命体の生命活動の全ては、遺伝子でコントロールされている。1年性の総合理科や2年生の生物学で学んだ地球上生命体が行う生命現象は化学原理が司ることを理解することが本授業の目標である。従って、本科目では、生命現象について分子・細胞・個体レベルまで学ぶ。即ち、複雑な生命現象を分子のレベルで理解する他、ゲノムや分子進化や遺伝子の働きをコントロールメカニズム、遺伝子工学技術など分子生物学・分子遺伝学・ゲノム生物学の基礎について学び、生命科学の動的な現象について主に分子レベルでのメカニズムやからくりについて、分子生物学の基礎と応用の学習を通して学ぶ。
授業の進め方・方法:
a. 授業ノートをしっかりとること。
b. 質問時間を設けるため、解らないことがあれば授業時間内にみんなのまえで質問すること。
c. 教科書以外の参考図書からのコピーや論文の別刷りなど、理解するのに便利な資料を適宜配布する。
d. この科目は学修単位科目のため:
(1)レポート課題を課する場合もある。
(2)毎回、最低120分間の、定期的な予習・復習を含む自習を行うことを想定して授業を進める。
注意点:
a. 生物学、総合理科の復習を事前に行うこと。
b. 授業中に取ったノートだけではなく、教科書や配布資料をしっかり復習すること。
c. 必要に応じて、インターネットや図書館を用いて授業で習ったことに関係する情報を調べること。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
オリエンテーリング;生物の基本概念と基本構造(1) |
地球上生命体と生命現象について理解するために、生物の分類と系統や多様性と多様化についても含めて、生命体の特徴について学ぶ。ここから、分子生物学・分子遺伝学を中心とする現代生命科学はどんな学問なのか、そして生命現象の研究の位置づけについて理解する。
|
2週 |
生物の基本概念と基本構造(2) |
地球上生命体と生命現象について理解するために、生物の分類と系統や多様性と多様化についても含めて、生命体の特徴について学ぶ。ここから、分子生物学・分子遺伝学を中心とする現代生命科学はどんな学問なのか、そして生命現象の研究の位置づけについて理解する。
|
3週 |
生物多様性と進化 |
地球上生命体と生命現象について理解するために、生物の分類と系統や多様性と多様化についても含めて、生命体の特徴について学ぶ。ここから、分子生物学・分子遺伝学を中心とする現代生命科学はどんな学問なのか、そして生命現象の研究の位置づけについて理解する。
|
4週 |
生命体の遺伝情報:DNAとRNA・遺伝・遺伝子・ゲノム・セントラルドグマ |
遺伝情報を担うDNAとRNAや、生命体の分子的基礎単位であるタンパク質について、それぞれの役割とその性質を、歴史的な実験結果を基に考察する。また、生命体の遺伝情報の1セットであるゲノムについても学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
5週 |
遺伝現象に関わる生体高分子:核酸とタンパク質 |
遺伝情報を担うDNAとRNAや、生命体の分子的基礎単位であるタンパク質について、それぞれの役割とその性質を、歴史的な実験結果を基に考察する。また、生命体の遺伝情報の1セットであるゲノムについても学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
6週 |
生命体の遺伝情報:遺伝情報の複製 |
DNAの複製反応や半保存的複製について、歴史的背景から定義までしっかり理解できるように学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
7週 |
生命体の遺伝情報:遺伝情報の複製と突然変異及びその修復のメカニズム |
DNAの複製反応に起きる突然変異や、その修復のメカニズムについて学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
8週 |
バイオテクノロジー:PCRとDNAの配列解析 |
DNA複製反応を根本とする、近代生命科学を支えてきたPCR及びDNA配列解析の技術について学ぶ。
|
2ndQ |
9週 |
中間試験 |
今まで勉強したものについての理解度をテストする。試験時間が50分とします。残りの40分は、試験問題の解答やそれらについての授業・議論をする。
|
10週 |
生命体の遺伝情報:遺伝子発現(転写・翻訳)(1) |
DNA情報からタンパク質になるまでの流れである「セントラルドグマ」の詳細な分子的機構の流れについて学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
11週 |
生命体の遺伝情報:遺伝子発現(転写・翻訳)(2) |
DNA情報からタンパク質になるまでの流れである「セントラルドグマ」の詳細な分子的機構の流れについて学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
12週 |
生命体の遺伝情報:遺伝子発現(転写・翻訳)(3) |
DNA情報からタンパク質になるまでの流れである「セントラルドグマ」の詳細な分子的機構の流れについて学ぶ。 遺伝情報を担うDNAから、生命体の主成分の分子であるタンパク質になるまでの分子反応について学び、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
13週 |
ウイルスの感染メカニズムからみるセントラルドグマ |
HIVや新型コロナウイルスなどレトロウイルスや、ジェミニウイルスなどのDNAウイルスの感染メカニズムについて学び、遺伝子情報の複製や発現の流れ、即ちセントラルドグマの流れについて、振り替えて、その理解を深める
|
14週 |
ゲノムとは:ゲノム構造と進化(1) |
ゲノムの定義をより深く理解するために、その構造や進化について学ぶ。特に、ゲノム重複や遺伝子倍化のメカニズムについて、学ぶ。
|
15週 |
期末試験 |
今まで勉強したものについての理解度をテストする。試験時間が50分とする。
|
16週 |
答案返却・解説 |
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
ゲノムとは:ゲノム構造と進化(2) |
ゲノムの定義をより深く理解するために、その構造や進化について学ぶ。ゲノム上の遺伝子構造や、ゲノム情報を決定技術についても学ぶ。
|
2週 |
細胞分裂と細胞周期 |
地球上生命体の基本単位である細胞の、増殖や分裂のメカニズムについて、分子レベルまで学び、理解する。
|
3週 |
生物の増殖(生殖)・恒常性 |
生殖により、自分自身と同じものを産み出す能力(自己増殖能力)を持っているのは、地球上生命体の基本属性の一つである。ここで、細胞分裂や受精に絡めて、単細胞生物から二倍体の多細胞生物の基本的な生殖について学ぶ。
|
4週 |
古典的遺伝学の基礎(1) |
遺伝現象を理解するためにメンデル遺伝について学び、ぢえん現象についての理解を深める。即ち、「分子」と「生命」を繋ぐ「遺伝」についての原理を学ぶことで、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する。
|
5週 |
古典的遺伝学の基礎(2) |
遺伝現象を理解するためにメンデル遺伝について学び、ぢえん現象についての理解を深める。即ち、「分子」と「生命」を繋ぐ「遺伝」についての原理を学ぶことで、「遺伝情報」という抽象的なものと、物理的の実態をもつ「生命体」との繋がりについて理解する
|
6週 |
古典的遺伝学と分子遺伝学 |
遺伝現象を理解するためにメンデル遺伝について学び、ぢえん現象についての理解を深める。さらに、メンデル遺伝と分子生物学を融合する「分子遺伝学」についても学び、「分子」と「生命」を繋ぐ「遺伝」の原理を理解する。
|
7週 |
個体と環境の相互作用 |
生物は、外界から受けた影響に対して、適応と順応をして、生存率を上げていく。これらのメカニズムについて、マクロレベルから分子・遺伝子レベルまで、勉強する。
|
8週 |
中間試験 |
今まで勉強したものについての理解度をテストする。試験時間が50分とする。残りの40分は、試験問題の解答やそれらについての授業・議論をする。
|
4thQ |
9週 |
シグナル伝達経路 |
生命体は、自身の体の内外から様々なシグナルを受容したり出したりして、生命活動行う。ここでそのプロセスについて分子レベルで学ぶ。
|
10週 |
遺伝子発現の制御と調節 |
地球上生物の生命維持活動はすべて、遺伝子の働きで制御される。ここで、遺伝子の働きはどのようにして調節され、制御されるかについて、分子レベルの仕組みについて学ぶ。また、外部環境からの応答にはどのようにして遺伝子の働きが調節されるかについてを学ぶ。
|
11週 |
動物の発生・植物の発生 |
地球上生命体は、多様な形を示している。この多様な形姿は、遺伝子・ゲノムに刻まれる遺伝情報によりコントロルされる。このセクションでは、そのような様々な形姿を作るのにどのようにして遺伝子が動くのか、そしてそのような「形態形成」システムがどのようにして進化してきたを学ぶ。
|
12週 |
進化発生学と多様性進化 |
地球上生命体は、多様な形を示している。この多様な形姿は、遺伝子・ゲノムに刻まれる遺伝情報によりコントロルされる。このセクションでは、そのような様々な形姿を作るのにどのようにして遺伝子が動くのか、そしてそのような「形態形成」システムがどのようにして進化してきたを学ぶ。
|
13週 |
分子生物多様性学概論(1) |
地球上生物の多様性はどのように進化してきたについて学ぶ。また、研究に用いられる技術(分子系統学や系統地理学、バイオインフォーマティクスなど)の手法の基礎を学ぶ。
|
14週 |
分子生物多様性学概論(2) |
地球上生物の多様性はどのように進化してきたについて学ぶ。また、研究に用いられる技術(分子系統学や系統地理学、バイオインフォーマティクスなど)の手法の基礎を学ぶ。
|
15週 |
期末試験 |
今まで勉強したものについての理解度をテストする。試験時間が50分とする。
|
16週 |
答案返却・解説 |
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 原核生物と真核生物の違いについて説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 4 | 前4,前5,後10 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 4 | 前4,後2,後3 |
細胞周期について説明できる。 | 4 | 後2,後3 |
分化について説明できる。 | 4 | 後10,後11,後12 |
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 | 4 | 前4,前14,後1,後4,後5,後6,後10 |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 4 | 後3 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 4 | 後7,後9,後10 |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 4 | 前13,後9,後10 |
生物化学 | タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。 | 4 | 前4,前5,前13 |
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。 | 4 | |
単糖と多糖の生物機能を説明できる。 | 4 | |
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。 | 4 | 前4,前5 |
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。 | 4 | 前5 |
ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 4 | 前5,前7 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 4 | 前5,前6 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 4 | 前6,前13 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 4 | 前10,前11,前12,前13,後10 |
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。 | 4 | |
生物工学 | 原核微生物の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,後13,後14 |
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。 | 4 | 前1,前2,前3,後13,後14 |