生物応用化学実験Ⅳ

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 生物応用化学実験Ⅳ
科目番号 0062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 8
教科書/教材 プリント配布,K-SEC高学年分野別教材
担当教員 楠部 真崇,岸本 昇,土井 正光,綱島 克彦,奥野 祥治,河地 貴利,スティアマルガ デフィン,西本 真琴,森田 誠一,舟浴 佑典

到達目標

化学・バイオ関連の製造および研究開発に関わる職場で必要不可欠な実験に関する知識を学修する科目である。
1. 実験器具,装置を正しく用いて,目的物質の合成,分離,同定や必要とされるデータの測定ができる。
2. 実験により得られた結果をレポートにまとめることができる。
3. 役割を分担し共同で実験ができる。
4. 現在の研究成果に基づき新しい実験を提案できる。
生物応用化学実験IVで修得した技術と知識は,石油化学,食品,医薬品製造などの品質管理や分析業務の業務で役立ちます。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物質工学物性系実験:物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,アドバイスを受けながらそれらの基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができない。
物質工学合成系実験:有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。アドバイスを受けながら有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができない。
生物工学系実験:アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アドバイスを受けながらアミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができない。
物質工学応用実験:研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えをほぼ理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
この科目は、生物応用化学科で習得するための基本的知見と技術について、実験形式で授業を行うものである。全15週の内、7週の授業が、製薬・化学・化粧品・研究・コンサルティング等の企業で業務していた教員がオムニバスで担当する。
<COC>
物質工学コース:物質工学の基礎となる物性系(分析化学,物理化学,化学工学など)および合成系(無機化学,有機化学など)系の各分野の特色ある実験器具,装置の取り扱いを実習する。また,生物工学系分野(生物化学など)の基本的な実験操作も併せて行う。さらに,物質工学系の種々の応用実験における実験方法,データの解析方法も実習する。
生物工学コース:アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの生体物質を中心に生物工学分野の実験器具,装置の取り扱いや実験操作を応用も 含めて行う。また,物質工学(物性,合成)系の基礎実験と生物機能を理解する上で必要となるそれらの生物工学的実験 も行う。さらに,生物工学系の種々の応用実験における実験方法,データ解析法の実習も行う。
授業の進め方・方法:
3班に分かれ3分野(物性系,合成系,生物工学系)の実験を7週(56時間)毎にローテーションする。後半9週は応用実験を行う。
[評価方法の詳細]
1. ①実験レポ-ト(生物工学系:60%,合成系:70%,物性系:80%,応用実験:50%),および②実験取組(実験ノート、実験操作等) (生物工学系:40%,合成系:30%,物性系:20%,応用実験:50%)で評価する。
2. 上記4分野の評価の平均を最終成績とする。
注意点:
事前学習:各回の実験内容について実験書を熟読し,実験実施に必要な事項を調査し,ノートにまとめる。
事後学習:実験内容をレポートにまとめ,期限までに提出する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 合成系実験(1),錯体の合成と光吸収 種々の配位子を用いて遷移金属錯体を合成し、その光吸収スペクトルを測定できる。
2週 合成系実験(2),電気化学平衡と電気分解 半電池より電気化学セルを構成し、その電極電位を測定できる。電気分解を行い、過電圧を測定できる。
3週 合成系実験(3),セラミックスの調製と機能評価 酸化チタン等の酸化物半導体を調製し、その導電特性や光応答を測定できる。
4週 合成系実験(4),アゾ色素の合成,エーテルの合成 ジアゾ化とカップリングによりアゾ色素を合成できる。
ウィリアムソンエーテル合成法でエーテルを合成し,精製できる。
5週 合成系実験(5),エステルの合成 フィッシャーエステル合成法でエステルを合成し,蒸留により精製できる。
NMR,IR,MSスペクトルを用いて分子構造の帰属ができる。
6週 合成系実験(6),芳香族求電子置換反応(応用化学コース)
         β-カロテンの単離(生物化学コース)
芳香族求電子置換反応を実施できる。再結晶により生成物を精製できる。(応用化学コース)
ニンジンからβ-カロテンを抽出し,カラムクロマトグラフ ィーにより精製できる。(生物化学コース)
7週 合成系実験(7),アルデヒドの還元(応用化学コース)
         カフェインの単離(生物化学コース)
アルデヒドの還元でアルコールを合成できる。カラムクロマトグラフィーにより生成物を精製できる。(応用化学コース)
紅茶葉からカフェインを抽出し,昇華により精製できる。(生物化学コース)
8週 物性系実験(1),原子吸光分析 原子吸光法の原理を理解し、絶対検量線法および標準添加法による金属イオン濃度の定量ができる。
2ndQ
9週 中間試験期間
10週 物性系実験(2),二次反応速度 微分法および積分法により二次反応速度定数を決定できる。アレニウスプロットから頻度因子、活性化エネルギーを求めることができる。
11週 物性系実験(3),気液平衡 平衡蒸留操作を行い、温度組成線図、x-y線図を作成できる。二相間の平衡、理想溶液およびラウールの法則を説明できる。
12週 物性系実験(4),伝熱係数 二重管熱交換器の総括伝熱係数を求めることができる。境膜理論を理解し、伝熱係数に影響をあたえる因子を説明できる。
13週 物性系実験(5),管路の圧損失 レイノルズ数と流れの状態の関係を説明できる。円管における圧力損失を測定し、管摩擦係数とレイノルズ数の関係を説明できる。
14週 物性系実験(6),ガスクロマトグラフィー ガスクロマトグラフィーの原理を説明できる。検量線の作成と未知試料の定量ができる。クロマトグラムより理論段数を求め、理論段数に影響を与える実験条件について議論できる。
15週 物性系実験(7),物性系実験のまとめ 指定された実験テーマについて、プレゼン資料を作成して発表でき、討論できる。
16週
後期
3rdQ
1週 生物工学系実験(1),生体分子の構造 アミノ酸、単糖、脂肪酸の分子模型を作製し、個々の構造と物性の相関について説明できる。
2週 生物工学系実験(2),アミノ酸とタンパク質の分離と定量 ヘモグロビンとバリン誘導体のカラムクロマトグラフィーによる分離と定量ができる。
3週 生物工学系実験(3),微生物のスクリーニングと純粋培養 環境中から微生物を単離し、純粋培養することができる。
4週 生物工学系実験(4),遺伝子DNAの抽出 培養した微生物からDNAを抽出することができる。
5週 生物工学系実験(5),タンパク質の抽出,分離 卵白から酵素(リゾチーム)を抽出、精製、定量そして活性測定といった操作ができる。
6週 生物工学系実験(6),生体分子の構造解析 酵素(リゾチーム)の電気泳動や液体クロマトグラフィーの操作ができる。
7週 生物工学系実験(7),遺伝子増幅とアガロースゲル電気泳動 抽出したDNAとプライマーを用いて、アガロースゲル電気泳動でPCR反応結果を確認することができる。
8週 中間試験期間
4thQ
9週 応用実験(1), K-SEC高学年分野別教材を用いた講習,応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
10週 応用実験(2),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
11週 応用実験(3),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
12週 応用実験(4),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
13週 応用実験(5),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
14週 応用実験(6),卒業研究発表会の聴講 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
15週 応用実験(7),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前8,前13
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後7,後8
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前8,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後7,後8
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4前4,前5,前7
蒸留による精製ができる。4前5
吸引ろ過ができる。4前4,前6,前7
再結晶による精製ができる。4前6
分液漏斗による抽出ができる。4前4,前5,前6,前7
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4前7
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4前5,前6,前7
収率の計算ができる。4前4,前5,前6,前7
分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前5,前8,前14,後6
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4前4,前7,後5
物理化学実験分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4前10
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4前11
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4前10
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4前11,前12,前13
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4前11
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4前13
生物工学実験滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4後3
適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4後2,後4,後5
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4後2,後4
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

実験レポート実験取組合計
総合評価割合6535100
基礎的能力6535100