化学における基礎知識として,溶液諸性質の熱力学,化学反応速度論の考え方,および量子化学の基礎事項を理解し、化学の基本である化学結合の基礎を理解できる。また、その知識を応用することができる。
概要:
3年生での学習内容を基礎にして,溶液の熱力学的性質,化学反応速度,および量子化学の基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
前期は,溶液の性質および化学反応速度を学習する。溶液論では,溶液の諸性質を熱力学的立場から学習する。反応速度論では,反応が進行する速さについての定量的取扱いを学習し,速度論的に見た化学反応の特色を学ぶ。
後期は,量子論の基礎として,波動関数,分子エネルギー,光の性質,および分子軌道計算を学習し,化学反応の基本である化学結合の基礎を学習する。
注意点:
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,熱力学の復習,熱力学関数関係,溶液の組成, 部分モル体積 |
溶液の組成が計算できる。部分モル体積が計算できる。
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2週 |
気液平衡関係, 化学ポテンシャルと蒸気圧 |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 化学ポテンシャルを理解している。 気液平衡関係が説明できる。
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3週 |
ラウールの法則 |
ラウールの法則を理解し、説明できる。 (2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。)
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4週 |
ヘンリーの法則 |
ヘンリーの法則を理解し、説明できる。(2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。)
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5週 |
相律, 束一的性質 |
相律について理解し、自由度の計算や平衡状態を説明できる。 束一的性質を説明できる。 蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。
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6週 |
束一的性質 |
束一的性質を説明できる。 蒸気圧降下や沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より溶質の分子量を計算できる。
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7週 |
化学反応速度の定義と表現, 反応速度の求め方 |
反応速度の定義を理解し、反応速度の求め方を説明できる。 反応次数について理解し、計算することができる。
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8週 |
1次反応速度式・原子核反応と放射線 |
1次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。 放射線の種類と性質を説明でき、放射性元素の半減期と安定性を説明できる。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
前期第1週目〜第8週目までを理解し、計算ができる。
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10週 |
原子核反応と放射線 |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。
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11週 |
2次反応速度式・反応速度の温度依存性 |
2次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。 反応速度の温度依存性について、アレニウスプロットから説明できる。
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12週 |
逐次反応、可逆反応、併発反応速度式 |
逐次反応、可逆反応、併発反応等について理解し、説明できる。 律速段階近似、定常状態近似等を理解し、説明できる。
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13週 |
触媒作用 |
触媒の性質などを理解し、活性化エネルギーとの関係を説明できる。
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14週 |
遷移状態理論 |
代表的な触媒反応を説明できる。 遷移状態理論(活性錯合体理論)を説明できる。
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15週 |
期末試験 |
前期7週目および10週目〜14週目までを理解し、計算ができる。
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16週 |
試験答案返却・解答解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス 粒子の波動性 古典的波動方程式 |
粒子の波動性や古典的波動方程式が理解できる。
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2週 |
シュレディンガー方程式と一次元の箱の粒子 |
シュレディンガー方程式と一次元の箱の粒子が理解できる。
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3週 |
波動関数の性質(1) |
波動関数の性質について理解できる。
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4週 |
波動関数の性質(2) |
波動関数の性質について説明できる。
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5週 |
1次元並進運動(1)並進の波動関数 |
並進の波動関数について理解できる。
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6週 |
1次元並進運動(2)エネルギーの量子化 |
エネルギーの量子化について理解できる。
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7週 |
1次元並進運動(3)共役系の自由電子モデル |
共役系の自由電子モデルについて理解できる。
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8週 |
中間試験 |
後期1週目〜7週目までを理解できる。
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4thQ |
9週 |
原子スペクトルと Bohrモデル |
原子スペクトルと Bohrモデルについて理解できる。
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10週 |
水素原子 |
水素原子について理解できる。
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11週 |
変分法の原理 水素分子イオン |
変分法の原理について理解できる。
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12週 |
水素分子イオン |
水素分子イオンについて理解できる。
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13週 |
分子軌道と化学結合 |
分子軌道と化学結合について理解できる。
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14週 |
LCAO-MO法,ヒュッケル分子軌道計算(1) |
LCAO-MO法について理解できる。 ヒュッケル分子軌道計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
後期9週目〜14週目までを理解し,計算できる。
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16週 |
試験答案返却・解答解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 物理化学 | 放射線の種類と性質を説明できる。 | 4 | 前9,前15 |
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。 | 4 | 前9,前15 |
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。 | 4 | 前10,前15 |
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。 | 4 | 前10,前15 |
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。 | 4 | 前2,前8,前9 |
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。 | 4 | 前3,前4,前5,前6,前8 |
束一的性質を説明できる。 | 4 | 前5,前6,前8 |
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | 前5,前8 |
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。 | 4 | 前6,前8 |
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。 | 4 | 前5,前8 |
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | 前7,前9,前10,前11,前14,前15 |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | 前9,前10,前11,前15 |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | 前9,前10,前11,前15 |
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。 | 4 | 前12,前13,前15 |
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。 | 4 | 前12,前13,前14,前15 |