物理化学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物理化学
科目番号 0066 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 W.J.ムーア著,細矢・湯田坂訳,ムーア基礎物理化学(上),東京化学同人
担当教員 西本 真琴

到達目標

化学における基礎知識として,溶液諸性質の熱力学,化学反応速度論の考え方,および量子化学の基礎事項を理解し、化学の基本である化学結合の基礎を理解する。また、その知識の応用について学習する。
物理化学で修得した知識は,石油化学,食品,医薬品製造などのさまざまなプロセスに役立つほか、製造現場などにおける化学反応の理解に役立つ。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
溶液の性質溶液の性質について説明ができ、様々な条件下で計算ができる。溶液の性質について理解し、簡単な計算ができる。溶液の性質に関する簡単な計算が十分にできない。
化学反応速度論化学反応速度論について説明でき、計算ができる。化学反応速度について証明することができる。化学反応速度式を立てることができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
3年生での学習内容を基礎にして,溶液の熱力学的性質,化学反応速度を学習する。
物理化学は幅広い分野で用いられる基礎知識である。例えば、3年生に引き続き学習する熱力学はエネルギーの出入りや熱エネルギーと力学的エネルギーの変換などを学ぶため、工場における機器や装置など、さまざまなプロセスの基礎知識となる。また、反応速度論では製品などを化学反応で得る場合の基礎知識となるなど、重要である。
授業の進め方・方法:
溶液の性質および化学反応速度を学習する。溶液論では,溶液の諸性質を熱力学的立場から学習する。反応速度論では,反応が進行する速さについての定量的取扱いを学習し,速度論的に見た化学反応の特色を学ぶ。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、理想溶液と希薄溶液ー溶液の組成、部分モル体積 溶液の組成が計算できる。部分モル体積が計算できる。
2週 理想溶液と希薄溶液ー気液平衡関係、化学ポテンシャルと蒸気圧 化学ポテンシャルを理解している。
気液平衡関係が説明できる。
3週 理想溶液と希薄溶液ー理想溶液(ラウールの法則) ラウールの法則を理解している。
4週 理想溶液と希薄溶液ー理想溶液(ラウールの法則) ラウールの法則を理解し、説明できる。
5週 理想溶液と希薄溶液ー気体の溶液への溶解度(ヘンリーの法則) ヘンリーの法則を理解し、説明できる。
6週 理想溶液と希薄溶液ー相律、圧力−組成図 相律について理解し、自由度の計算や平衡状態を説明できる。
2成分の状態図(P-x, y)を理解して、気液平衡を説明できる。
7週 理想溶液と希薄溶液ー温度−組成図、分留 2成分の状態図(T-x, y)を理解して、気液平衡を説明できる。
分留について説明できる。
8週 理想溶液と希薄溶液ー溶液中への固体の溶解 凝固点降下および沸点上昇について説明でき、溶質の分子量を計算できる。
2ndQ
9週 中間試験 前期第1週目〜第8週目までを理解し、計算ができる。
10週 理想溶液と希薄溶液ー浸透圧 浸透圧について理解し、溶質の分子量を説明できる。
11週 理想溶液と希薄溶液ー束一性のまとめ 束一的性質を説明できる。
蒸気圧降下や沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より溶質の分子量を計算できる。
12週 実在気体と溶液ーフガシティー フガシティーと化学ポテンシャルの関係を理解し、計算することができる。
13週 実在気体と溶液ー活量 活量について理解している。
フガシティー、活量をラウールの法則およびヘンリーの法則に適用できる。
14週 実在気体と溶液ー理想溶液からのずれ 2成分の状態図(P-x, y)を用いて、理想溶液からのずれを説明できる。
15週 期末試験 前期7週目および10週目〜14週目までを理解し、計算ができる。
16週 試験答案返却・解答解説
後期
3rdQ
1週 化学反応速度の定義と表現  反応速度の定義を理解し、反応速度の求め方を説明できる。
2週 反応次数 反応次数について理解し、計算することができる。
3週 1次反応速度式・原子核反応と放射線 1次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。
放射線の種類と性質を説明でき、放射性元素の半減期と安定性を説明できる。
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。
4週 2次反応速度式 2次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができる。
5週 2次反応速度式 2次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。
6週 反応速度の温度依存性 反応速度の温度依存性について、アレニウスプロットから説明できる。
7週 遷移状態理論 代表的な触媒反応を説明できる。
遷移状態理論(活性錯合体理論)を説明できる。
8週 中間試験 後期1週目〜7週目までを理解できる。
4thQ
9週 可逆反応 可逆反応について理解している。
10週 可逆反応,化学緩和 可逆反応について理解し、説明できる。
化学緩和について理解し、反応速度定数が計算できる。
11週 逐次反応、併発反応速度式 逐次反応、併発反応等について理解し、説明できる。
律速段階近似、定常状態近似等を理解している。
12週 逐次反応、併発反応速度式 逐次反応、併発反応等について理解し、説明できる。
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。
13週 触媒作用 触媒の性質などを理解し、代表的な触媒反応について説明できる。
14週 触媒作用 触媒の性質などを理解し、活性化エネルギーとの関係を説明できる。
15週 期末試験 後期9週目〜14週目までを理解し,計算できる。
16週 試験答案返却・解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4後3
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4後3
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前2,前3,前4,前11
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前3,前4,前5,前7,前11,前12,前13,前14
束一的性質を説明できる。4前3,前4,前10,前11
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4前3,前4,前8,前11,前13
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4前8,前10,前11
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前6
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4後1,後2
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4後1,後2
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4後3,後4,後5
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4後9,後10,後11,後12
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4後11,後12

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
応用能力201030