化学工学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学工学
科目番号 0068 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『物質工学入門シリーズ 基礎からわかる化学工学』(石井宏幸・成瀬一郎・衣笠巧・金澤亮一 著,森北出版)
担当教員 岸本 昇

到達目標

化学工業界で用いられている各種化学装置の設計および運転には、単位操作に関する基礎理論を学習し,計算能力を習得することが必要不可欠である。次の到達目標を設定する。
当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができる。(C)
当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。  (C)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
当該単位操作の基礎的理論・事項当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて十分に説明することができる。当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができる。当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができない。
当該単位操作の基礎的計算当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題をほぼ完全に解くことができる。当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学工業界で用いられている各種化学装置の設計および運転に必要な単位操作に関する基礎理論を学習し,計算能力を習得する。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業が中心となる。具体的な問題演習を行う。必要に応じて小テストを実施し、各自の理解度を把握してもらう。

第1週~第2週
化学工業と化学工学の関わりについて,解説・説明を行う。単位操作の概念を学び,化学工学における基礎事項(物質・熱収支,物性と平衡,単位,次元)について学習する。また,プロセス制御の概要も説明する。
第3週~第10週
化学工業では,流体を移動させる操作(流動操作)がしばしば用いられる。最も基本的なベルヌイの法則,円管内流れ,摩擦損失,輸送動力などについて学習し,流動操作に関する基本的問題についての考え方・計算法を演習を通して習得する。
第11週~第18週
化学プロセスには,加熱・冷却など熱の出入りを伴う操作が多い。ここでは,主として伝導伝熱,対流伝熱および放射伝熱について学習する。総括伝熱係数,簡単な熱交換器など伝熱プロセスについての計算を演習する。
第19~第20週
蒸発は固体などの不揮発成分を溶解している溶液を加熱・沸騰させ,溶媒を取り出し,溶液を濃縮する操作である。ここでは,その基礎的事項を学習し,基本的な蒸発操作に関する考え方を演習問題を解く事により習得する。
第21週~第29週
化学産業において欠かすことのできない蒸留操作について学習する。もっとも簡単な気液平衡,単蒸留,水蒸気蒸留などを学び,実際的に化学プラントで用いられている連続精留法の理論的計算法,熱収支,効率に関する計算法を習得する。
第30週
これまでに学習した各単位操作の知識を基にして,いくつかの実際的化学プロセスについて,設計計算演習を行い,まとめとする。
注意点:
事前学習
 指定した教科書(可能であれば参考書も)の該当部分を事前に読んでおくこと。
事後学習
教科書、参考書、ノートにより、講義時に学修した内容を復習しておくこと。課題を与えられた場合には、期限までにレポートを提出すること。次回の授業時に小テストを行うことがあるので、備えておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 はじめに,基礎事項(1) 3年生で学習した,単位(SIなど),物質収支,熱収支に関して,理解し,計算できるかを復習し、確認する。
2週 基礎事項(2) 物質収支を踏まえながら,バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。
3週 流動操作と装置(1) 流体,流量,流速,管径,流束について理解し,計算ができる。
4週 流動操作と装置(2) 流体,流量,流速、管径,流束について理解し,計算ができる。
5週 流動操作と装置(3) 管内流れのエネルギー収支,エネルギー損失,流体輸送動力,ベルヌーイの式について理解し、計算できる。
6週 流動操作と装置(4) 流体の粘性,ニュートンの粘性法則、流れの状態(層流・乱流),レイノルズ数について理解し,計算ができる。
7週 流動操作と装置(5) 圧力損失、ハーゲン・ポアズイユの式,ファニングの式に関して理解し,計算ができる。
8週 流動操作と装置(6) 圧力損失、ハーゲン・ポアズイユの式,ファニングの式に関して理解し,計算ができる。
2ndQ
9週 中間試験 流動に関する内容について理解したことを説明したり,計算できる。(中間試験)
10週 試験答案返却・解答解説
流動操作と装置(7)
試験答案の返却を受けて,解答の解説を聞き,各自の問題点を理解する。
圧力の測定,流量の測定,液位の測定について理解し,計算ができる。
11週 伝熱操作と装置(1) 伝熱の方式(伝導,対流,放射),伝熱係数について理解し計算ができる。温度の測定について知識を得る。
12週 伝熱操作と装置(2) 伝導伝熱(フーリエの法則,熱流量,単一壁)について理解し,計算できる。
13週 伝熱操作と装置(3) 伝導伝熱(多層壁)について理解し,計算ができる。
14週 伝熱操作と装置(4) 総括伝熱抵抗について理解し,計算ができる。
15週 期末試験 伝熱に関する内容を説明したり,計算ができるかを確認する。(中間試験)試験の講評
16週 試験答案返却・解答解説
伝熱操作と装置(5)
試験答案の返却を受けて,解答の解説を聞き,各自の問題点を理解する。
伝導伝熱(伝熱面積が一定でない場合)について理解し,計算ができる。解説を行う。
後期
3rdQ
1週 伝熱操作と装置(6) 熱交換器(構造,熱収支)について理解し,計算ができる。
2週 伝熱操作と装置(7) 熱交換器(構造,熱収支,最小流量,伝熱面積)について理解し,計算ができる。
3週 伝熱操作と装置(7) 放射伝熱について理解し,計算ができる
4週 蒸発操作と装置(2) 蒸発缶伝熱(物質収支、熱収支)について理解し,計算ができる。
5週 蒸発操作と装置(3) 蒸発缶伝熱(熱収支)について理解し,計算ができる。
6週 蒸留操作と装置(1) 蒸留の原理,平衡蒸留,気液平衡関係について理解し,計算ができる。
7週 蒸留操作と装置(2) ラウールの法則,平衡比,相対揮発度,単蒸留について理解し,計算がてきる。
8週 中間試験 後期第1週から第7週までの内容を説明したり,計算ができるかを確認する。(中間試験)
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説
蒸留操作と装置(3)
試験答案の返却を受けて,解答の解説を聞き,各自の問題点を理解する。
フラッシュ蒸留について理解し,計算ができる。
10週 蒸留操作と装置(4) 連続精留塔の構造について理解し,説明ができる。
11週 蒸留操作と装置(5) 連続精留塔について理解し,物質収支の計算ができる。
12週 蒸留操作と装置(6) マッケーブ・シーレの階段作図法について理解し,計算ができる。
13週 蒸留操作と装置(7) 最小理論段数、最小還流比について理解し,計算,説明ができる。
14週 蒸留操作と装置(8) 特殊な蒸留法(減圧蒸留,水蒸気蒸留,共沸蒸留,抽出蒸留)について知識を得て,それを説明できる。
15週 期末試験 蒸留操作に関して,学習内容が理解できているかどうかを確認する。(期末試験)
16週 試験答案返却・解答解説 試験答案の返却を受けて,解答の解説を聞き,各自の問題点を理解する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4前4,前6,前7,前9
流れの物質収支の計算ができる。4前4,前9
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4前5,前6,前8,前9
流体輸送の動力の計算ができる。4前7,前9
蒸留の原理について理解できる。4後7,後10
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4後8,後10,後12
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4後8,後13,後14
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4前2,前3

評価割合

試験課題・小テスト合計
総合評価割合7030100
専門的能力7030100
000