到達目標
1.化学結合と固体の結晶構造を理解できる。
2.セラミックスの製法を理解することによって無機材料プロセスを理解できる。
3.各種のセラミックス材料の特性と用途について理解できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 格子エネルギーと化学結合との関連を理解できる。 | 代表的な結晶系を理解できる。 | 化学結合と結晶との関連が理解できない。 |
評価項目2 | セラミックスの合成法を比較し、それらのメリットデメリットを理解でき、応用についても理解できる。 | 典型的なセラミックスの合成法を理解できる。 | 酸化物セラミックスの簡単な合成反応を理解できない。 |
評価項目3 | 半導体性、誘電性、磁性、熱特性や機械的特性が発現するための要件を化学構造の観点から説明できる。 | バンド構造と電気伝導性、イオン伝導性や誘電性の発現のメカニズムが理解できる。 | バンド構造を理解できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
無機材料化学の講義では、2、3年生の無機化学の講義で学んだ事柄の応用として、ファインセラミックスの材料化学をとりあげます。種々のセラミックス材料の構造を学びながら、材料の製法および物性を学習します。セラミックスの材料化学では、固体の結晶構造とそのエネルギーバンド構造を理解することが重要です。さらに、トランジスタ、太陽電池、光触媒、コンデンサ、燃料電池、二次電池、センサ、磁性体、蛍光体、レーザ、光ファイバなど、セラミックスが関わる産業上の重要な応用事例についても学習します。なお、担当教員は企業において電子材料の研究開発および実用化に携わった経験を有しており、その経験を活かして無機機能材料の要求特性と応用性について解説します。
授業の進め方・方法:
固体化学の導入として、各種の結合により構成される固体の結晶構造の種類について学習する。
原料から材料にする技術(すなわち製法)について学習する。特に材料の高純度化技術、単結晶作成技術、微粒子作成技術および各種結晶の特徴、物性について学習する。
固体のエネルギーバンド構造を理解し、固体中での電子の動きについて学習する。絶縁体、半導体、良導体(金属)の違いを、エネルギーバンド構造から説明できるようにする。半導体の応用として、トランジスタ、太陽電池、光触媒の概要について学習する。また、アモルファス半導体の構造や特性についても学習する。
固体中でのイオン伝導のメカニズム、イオン伝導体の種類、構造およびその応用(燃料電池固体電解質、二次電池正極活物質、化学センサ)について学習する。
固体の誘電性および磁性の発生のメカニズム、誘電体および磁性体の種類と特性を学ぶ。また、誘電性と磁性との関連性についても学習する。
固体表面の構造や特徴(吸着現象など)について学習する。また、表面吸着現象を利用した半導体ガスセンサーや、特異な表面性質を有する超微粒子についても学習する。さらに、固体材料の熱的および機械的性質について学習する。
定期試験(60%)、小テスト・演習・課題レポート等(40%)を基準として評価する。
注意点:
指定した教科書および演習書の該当部分を事前に読んで予習しておいてください。必要に応じて、参考書を調査してください。教科書、参考書、授業ノートにより学習した内容を復習してください。必要に応じて、参考書を調査してください。適時、小テストを行ったりレポート課題を出すことがあるので、十分に復習をして準備をしておいてください。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
年間の授業計画と、内容の概略説明 |
無機材料化学の概要を知る。
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2週 |
化学結合論と固体の構造:格子,結晶の充填,格子エネルギー |
ミラー指数、ブラべ格子、結晶構造の基本、格子エネルギーの概念を理解する。
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3週 |
化学結合論と固体の構造:各種結晶の構造,特徴と事例 |
各結晶構造の事例と特徴を学ぶ。
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4週 |
無機材料プロセス:セラミックスの製法(液相法) |
液相法の典型例としてゾルゲル法を理解する。
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5週 |
無機材料プロセス:セラミックスの製法(固相法,気相法) |
固相法、気相法を学び、液相法との相違点も理解する。
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6週 |
無機材料プロセス:相律,非晶質,多結晶体 |
非晶質や多結晶体を学び、結晶との違いを理解する。
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7週 |
固体中の電子伝導:フェルミ準位,エネルギーバンド構造 |
固体のバンド構造を学び、フェルミ準位との関連も理解する。
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8週 |
固体中の電子伝導:不純物半導体,半導体の応用 |
不純物の挙動を理解し、p型/n型半導体の違いを理解する。半導体の応用についても学ぶ。
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2ndQ |
9週 |
中間試験 |
中間試験
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10週 |
固体中のイオン伝導:拡散機構,電気伝導率,輸率、活性化エネルギー,イオン伝導体の応用 |
固体中のイオン伝導の考え方を学ぶ。拡散のメカニズムについても学ぶ。イオン伝導における活性化エネルギーの考え方を理解する。イオン伝導体の応用についても学ぶ。
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11週 |
固体の誘電性:誘電性,誘電率、誘電体の種類,圧電性,焦電性 |
誘電体の基礎と誘電性発現のメカニズム、誘電体の種類と応用について理解する。
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12週 |
固体の磁性:磁性,磁化率,磁性体の種類 |
磁性体の基礎と磁性発現のメカニズムについて理解する。磁性体の種類と応用についても学ぶ。
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13週 |
固体表面の機能:固体表面の構造,吸着現象,超微粒子 |
固体表面の機能と、典型的な応用例や材料を学ぶ。
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14週 |
固体の熱的・機械的特性:融点,熱伝導率,弾性変形,塑性変形 |
固体の熱特性や機械的特性の概要を学ぶ。
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15週 |
期末試験 |
期末試験
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16週 |
試験答案返却・解答解説 |
試験答案返却・解答解説
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 無機化学 | イオン結合と共有結合について説明できる。 | 4 | |
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比など基本的な計算ができる。 | 4 | |
評価割合
| 試験 | 課題等 | 合計 |
総合評価割合 | 60 | 40 | 100 |
総合的理解 | 60 | 40 | 100 |