移動速度論

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 移動速度論
科目番号 0099 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 新版 移動論:小林清次、飯田嘉宏、朝倉書店
担当教員 三浦 宏之

到達目標

化学装置内で起こる移動現象は基本的には運動量移動、熱移動、拡散等の物質移動からなる。これら三つの移動現象は互いの類似性と関連が深いので一緒に取り扱うと理解しやすい。この三者に共通する考え方を理解し、演習問題を通じて、実際の化学装置に応用できる能力を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
運動量移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない
熱移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない
物質移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学装置内で起こる複雑な移動現象は基本的には運動量移動、熱移動、拡散等の物質移動からなる。これら三つの移動現象は互いの類似性と関連が深いので一緒に取り扱うと理解しやすい。そこで本講義ではこの三者に共通する基礎理論を理解し、実際の化学装置に応用できる基礎的な知識を学習する。
授業の進め方・方法:
事前学習
指定した教科書の次回の授業範囲を事前に読んでおくこと。
事後学習
復習し、導出された式の理解を深めること。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1. 移動論の基本的事項 (1) 移動速度論の概要 (2) 移動現象の一次元微分方程式 化学装置内で起こる移動現象は、運動量移動のニュートンの粘性の法則、熱移動のフーリエの法則及び物質移動のフィックの法則に基づいており、これら三者が類似していること及びこれらの法則の一次元微分方程式の導出方法を理解できる。
2週 1. 移動論の基本的事項 (3) 単位と換算 (4) 演習問題 SI単位(国際単位)は主に長さ[m]、質量[kg]、時間[s]、熱力学温度[K]、物質量[mol]を基本単位として組み立てられた単位系であることを理解でき、力[N]、圧力[Pa]、熱量[J]、仕事率[W]、粘度[Pa・s]、熱伝導度[W/(m・K)]等の単位をSI単位で組み立てることができる。
3週 2. 運動量移動論 (1) 層流と乱流 (2) 流体の連続の式 流体の流れには層流と乱流及び遷移域があることが理解でき、流れの判断基準(層流/遷移域/乱流)となるレイノルズ数を求めることができる。
また、混合ガスの粘度推算方法、流体の連続の式の導出方法について理解できる。
4週 2. 運動量移動論 (3) 粘性流体の運動方程式 (4) ベルヌーイの式 慣性力=作用力の関係から、粘性流体の運動方程式(ナビエ・ストークスの式)の導出を理解できると共に、ベルヌーイの式への展開も理解できる。
また、ベルヌーイの式を用い、ピトー管による流速算出式への展開を説明できる。
5週 2. 運動量移動論 (5) 層流の速度分布と摩擦損失 (6) 演習問題 円管内の層流の流れからハーゲン-ポアズイユの式の導出を理解できる。
また、レイノルズ数の算出及び層流/乱流の判断及びベルヌーイの式を活用し流体の流速を求めることができる。
6週 2. 運動量移動論 (7) 乱流の速度分布と摩擦損失 (8) 充填層内の流れと摩擦損失 円管内の乱流の流れからファニングの式の導出を理解できる。
また、充填層内の流れの圧力損失について理解できる。
7週 2. 運動量移動論 (9) 演習問題 円管内の層流・乱流及び充填層内の圧力損失を求めることができる。
また、液体移送ポンプの所要動力を求めることができる。
8週 後期中間試験 試験問題に解答できる。
4thQ
9週 3. 熱移動論 (1) 熱移動の基本的事項 熱移動(相変化を除く)には、伝導、対流及び放射(輻射)があることを説明できる。
また、熱伝達率を用いた固体表面と流体間の熱移動(熱の授受)を理解できる。
10週 3. 熱移動論 (2) 熱伝導の基礎方程式 (3) 定常熱伝導 熱移動の基礎方程式を基にした固体内(平板及び円筒)の熱伝導の解析方法並びに通過熱流束及び熱通過率の算出方法を理解できる。
11週 3. 熱移動論 (4) 対流熱伝達 (5) 演習問題 流体の流れと熱移動の基礎方程式を基に誘導した円管内の強制対流熱伝達を理解できる。
熱伝達及び対流熱伝達の各関係式を活用し、移動熱量、熱伝導率、熱伝達率、流体温度等を求めることができる。
12週 4. 物質移動論 (1) 拡散方程式の復習 (2) 物質拡散流束と絶対物質流束 物質の拡散現象と物質移動との関係及びフィックの拡散法則並びに二成分系気体及び液体の拡散係数の推算方法を理解できる。
また、物質拡散流束と絶対物質流束の関係及びボンベ類におけるガス透過流束及びガス漏洩量の算出方法を理解できる。
13週 4. 物質移動論 (3) 物質移動の基礎方程式 (4) 薄膜を通しての拡散 物質移動の基礎方程式を基に誘導した薄膜を通しての物質拡散方程式の導出を理解でき、応用例であるプラスチック薄膜における物質拡散流束及びガス透過量の算出方法を理解できる。
14週 4. 物質移動論 (5)2成分気体中の定常拡散 (6) 演習問題 2成分気体中の等モル拡散及び一方拡散の拡散量を求める式の導出を理解できる。
また、薄膜を透しての拡散流速/拡散量を求めることができる。
15週 後期期末試験 試験問題に解答できる。
16週 期末試験答案返却・解説
相平衡と相界面を通しての物質移動
後期期末試験の正答が理解できる。
気液平衡の法則が理解できる。
相界面を通しての物質移動について、総括物質移動係数の考え方の理解ができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中間試験期末試験演習レポート合計
総合評価割合403030100
基礎的能力20151550
専門的能力20151550