化学工学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学工学
科目番号 0100 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『物質工学入門シリーズ 基礎からわかる化学工学』(石井宏幸・成瀬一郎・衣笠巧・金澤亮一 著,森北出版)
担当教員 森田 誠一

到達目標

化学工業界(石油化学,食品製造,医薬品製造など)で用いられている各種化学装置の設計および運転に必要な単位操作に関する基礎理論を学習し,計算能力を習得するために以下の到達目標を設定します。
1. 当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができる。
2. 当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。
3. 基礎的な単位操作の知識を用いて、装置に関する計算および説明ができる。
化学工学で修得した知識は,石油化学,食品,医薬品製造を始め様々な製造業での製造職,生産技術職の業務で役立ちます。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
対象となる単位操作(ガス吸収,液液抽出,吸着,調湿,乾燥,粉粒体,固液分離)の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができる。当該単位操作の基礎的理論・事項を図および式などを用いて説明することができる。図および式などが与えられれば、当該単位操作の基礎理論・事項を説明することができる。当該単位操作の基礎理論・事項を説明することができない。
対象となる単位操作(ガス吸収,液液抽出,吸着,調湿,乾燥,粉粒体,固液分離)における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。適当な誘導があれば、当該単位操作における基礎的な計算ができ,基本的な問題を解くことができる。当該単位操作における基礎的な計算ができない。
対象となる単位操作(ガス吸収,液液抽出,吸着,調湿,乾燥,粉粒体,固液分離)の基礎的な知識を用いて、装置に関する計算および説明ができる。単位操作の基礎的な知識を用いて、装置に関する計算および説明ができる。適当な誘導があれば、装置に関する計算および説明ができる。装置に関する計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学工学は,化学工業における各種装置・機器・計測器などの設備,物質やエネルギー収支などに関する知識や技術,単位操作の理解のために,学習しなければならない学問分野です。工学の発展に伴って,化学工業のみならず,あらゆる産業において化学工学的な手法が使われており,その重要性が増しています。化学工業界で用いられている各種化学装置の設計および運転に必要な単位操作に関する基礎理論を学習し,計算能力を習得します。
授業の進め方・方法:
本講義では化学工学で学ぶべき単位操作の内,○を付した単位操作について学習します。

化学工学で学ぶべき単位操作
 目的 ・・・・・ 単位操作名
物体の位置を移動させる・・・・・流体輸送(気体,液体),固体輸送・粉体輸送
熱を移動させる・・・・熱移動(伝熱),加熱・冷却
固体を処理する・・・・○粉砕,○ふるい分け,○混合,○造粒(粉粒体操作)
固体と液体を分ける・・・・○濾過,○沈降(固液分離),○乾燥  
固体と液体を混ぜる・・・・攪拌,混錬
固体と気体を分ける・・・・○集塵(濾過,沈降,洗浄)
固体と気体を混ぜる・・・・流動化
気体・液体または固体の中のある成分を取り出す・・・・蒸発,晶析,○吸収,○抽出,○吸着,蒸留,○調湿

事前学習
指定した教科書(可能であれば参考書も)の該当部分を読んでおいて下さい。
事後学習
教科書、参考書、ノートを使って、講義時に学修した内容を復習してください(次回の授業時に小テストを行うことがあります)。
課題が与えられた場合には、期限までにレポートを提出してください。
注意点:
例題を繰り返し学習し,理論を確認しながら,自力で練習問題を解いてください。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 はじめに 4年生の学習事項を復習し,5年生での学習事項との関連を理解する。
2週 ガス吸収操作と装置(1) ガス吸収の概念を学び,ヘンリーの法則など吸収平衡を理解する。
3週 ガス吸収操作と装置(2) ガス吸収における二重境膜説を理解する。
4週 ガス吸収操作と装置(3) 境膜説に基づきガス吸収速度の計算ができる。
5週 ガス吸収操作と装置(4) ガス吸収操作の基礎理論に基づき、ガス吸収塔の高さを計算できる。
6週 液液抽出操作と装置(1) 液液抽出の概念を理解する。三角座標の使い方を習得する。
7週 液液抽出操作と装置(2) 液液3成分平衡を学び、てこの原理を理解する。
8週 液液抽出操作と装置(3) 単抽出操作の計算ができる。
2ndQ
9週 中間試験
10週 試験答案返却・解答解説,液液抽出操作と装置(4) 中間試験に正答できる。
単抽出操作の計算ができる。
11週 液液抽出操作と装置(5) 多回抽出操作の計算ができ、総括回収率を計算できる。
12週 液液抽出操作と装置(6) 向流多段抽出装置の段数を計算できる。
13週 吸着操作と装置(1) 吸着平衡、イオン交換平衡について理解する。
14週 吸着操作と装置(2) 回分吸着操作の概念を理解し、その計算ができる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 期末試験に正答できる。
後期
3rdQ
1週 調湿操作と装置(1) 湿度の定義を理解する。
2週 調湿操作と装置(2) 湿度図表の読み方を習得する。
断熱冷却の理論を理解し、その計算ができる。
3週 調湿操作と装置(3) 湿球温度、乾球温度から湿度を計算できる。
4週 乾燥操作と装置(1) 種々の含水率を計算できる。
5週 乾燥操作と装置(2) 乾燥操作の概念を理解する。
恒率乾燥速度、減率乾燥速度を計算できる。
6週 乾燥操作と装置(3) 乾燥装置における乾燥時間の計算ができる。
7週 粉粒体操作と装置(1) 粒子径の定義を理解する。粒子の形状係数を計算できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 試験答案返却・解答解説,粉粒体操作と装置(2) 中間試験に正答できる。
粉粒体に粒度分布があることを理解し、種々の粒度分布の表し方を学習する。篩い分け法を学び、粒度分布から平均径などの計算ができる。
10週 粉粒体操作と装置(3) 篩い分け法を学び、粒度分布から平均径などの計算ができる。
11週 粉粒体操作と装置(4) 沈降法の原理を理解し、沈降速度、ストークス径などを計算できる。
12週 粉粒体操作と装置(5) 粉砕操作の概念を理解する。
13週 固液分離操作と装置(1) ろ過などの固液分離操作の概念を理解する。
14週 固液分離操作と装置(2) 定圧ろ過速度とろ過時間を計算により算出できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却・解答解説 期末試験に正答できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4前6,前7,前8,前10,前11,前12
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4前13,前14

評価割合

試験演習・課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力351550
専門的能力351550