物理化学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理化学
科目番号 0010 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科(物質工学コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 W.J.ムーア著,細矢・湯田坂訳,ムーア基礎物理化学(上)および(下),東京化学同人
担当教員 林 純二郎,西本 真琴

到達目標

化学における基礎知識として,溶液諸性質の熱力学,化学反応速度論の考え方,および量子化学の基礎事項を理解し、化学の基本である化学結合の基礎を理解できる。また、その知識を応用することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
溶液の性質溶液の性質について説明ができ、様々な条件下で計算ができる。溶液の性質について理解し、簡単な計算ができる。溶液の性質に関する簡単な計算が十分にできない。
化学反応速度論化学反応速度論について説明でき、計算ができる。化学反応速度について証明することができる。化学反応速度式を立てることができない。
シュレーディンガー方程式とエネルギーシュレーディンガー方程式とエネルギーについて十分に説明ができる。シュレーディンガー方程式とエネルギーについて説明ができる。シュレーディンガー方程式とエネルギーについて説明ができない。
ボーアのモデルと化学結合ボーアのモデルと化学結合について理解し、十分に説明ができる。ボーアのモデルと化学結合について説明ができる。ボーアのモデルと化学結合について説明ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
3年生での学習内容を基礎にして,溶液の熱力学的性質,化学反応速度,および量子化学の基礎を学習する。
授業の進め方・方法:
前期は,溶液の性質および化学反応速度を学習する。溶液論では,溶液の諸性質を熱力学的立場から学習する。反応速度論では,反応が進行する速さについての定量的取扱いを学習し,速度論的に見た化学反応の特色を学ぶ。
後期は,量子論の基礎として,波動関数,分子エネルギー,光の性質,および分子軌道計算を学習し,化学反応の基本である化学結合の基礎を学習する。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,熱力学の復習,熱力学関数関係,溶液の組成, 部分モル体積 溶液の組成が計算できる。部分モル体積が計算できる。
2週 気液平衡関係, 化学ポテンシャルと蒸気圧 純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。
化学ポテンシャルを理解している。
気液平衡関係が説明できる。
3週 ラウールの法則 ラウールの法則を理解し、説明できる。
(2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。)
4週 ヘンリーの法則 ヘンリーの法則を理解し、説明できる。(2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。)
5週 相律, 束一的性質 相律について理解し、自由度の計算や平衡状態を説明できる。
束一的性質を説明できる。
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。
6週 束一的性質 束一的性質を説明できる。
蒸気圧降下や沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より溶質の分子量を計算できる。
7週 化学反応速度の定義と表現, 反応速度の求め方  反応速度の定義を理解し、反応速度の求め方を説明できる。
反応次数について理解し、計算することができる。
8週 溶液の性質のまとめ 前期第1週目〜第6週目までを理解し、計算ができる。
2ndQ
9週 1次反応速度式・原子核反応と放射線 1次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。
放射線の種類と性質を説明でき、放射性元素の半減期と安定性を説明できる。
10週 原子核反応と放射線 年代測定の例として、C14による時代考証ができる。
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。
11週 2次反応速度式・反応速度の温度依存性 2次反応における反応速度定数の計算(微分式と積分式が相互に変換)ができ、半減期を求めることができる。
反応速度の温度依存性について、アレニウスプロットから説明できる。
12週 逐次反応、可逆反応、併発反応速度式 逐次反応、可逆反応、併発反応等について理解し、説明できる。
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、説明できる。
13週 触媒作用 触媒の性質などを理解し、活性化エネルギーとの関係を説明できる。
14週 遷移状態理論 代表的な触媒反応を説明できる。
遷移状態理論(活性錯合体理論)を説明できる。
15週 反応速度と熱力学関係, まとめ(テスト返却を含む) 前期7週目および9週目〜14週目までを理解し、計算ができる。
16週
後期
3rdQ
1週 ガイダンス 粒子の波動性 古典的波動方程式 粒子の波動性や古典的波動方程式が理解できる。
2週 シュレディンガー方程式と一次元の箱の粒子 シュレディンガー方程式と一次元の箱の粒子が理解できる。
3週 波動関数の性質(1) 波動関数の性質について理解できる。
4週 波動関数の性質(2) 波動関数の性質について説明できる。
5週 1次元並進運動(1)並進の波動関数 並進の波動関数について理解できる。
6週 1次元並進運動(2)エネルギーの量子化 エネルギーの量子化について理解できる。
7週 1次元並進運動(3)共役系の自由電子モデル 共役系の自由電子モデルについて理解できる。
8週 中間試験 (まとめ) 1次元波動方程式を解くことができる。
4thQ
9週 原子スペクトルと Bohrモデル 原子スペクトルと Bohrモデルについて理解できる。
10週 水素原子 水素原子について理解できる。
11週 変分法の原理 水素分子イオン 変分法の原理について理解できる。
12週 水素分子イオン 水素分子イオンについて理解できる。
13週 分子軌道と化学結合 分子軌道と化学結合について理解できる。
14週 LCAO-MO法,ヒュッケル分子軌道計算(1) LCAO-MO法について理解できる。
15週 ヒュッケル分子軌道計算(2),まとめ ヒュッケル分子軌道計算ができる。
ボーアの水素モデルを説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4後1,後2
電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4後6,後7
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前9,前15
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4前9,前15
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4前10,前15
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4前10,前15
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前2,前8
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前3,前4,前5,前6,前8
束一的性質を説明できる。4前5,前6,前8
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4前5,前8
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4前6,前8
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前5,前8
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4前7,前9,前10,前11,前14,前15
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4前9,前10,前11,前15
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4前9,前10,前11,前15
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4前12,前13,前15
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4前12,前13,前14,前15

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力502070
応用能力201030