反応工学

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 反応工学
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科(物質工学コース) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「反応工学」:草壁克己・増田隆夫,三共出版 / 「改訂版反応工学」: 橋本健治,培風館
担当教員 竹口 昌之

到達目標

①化学的基礎知識に基づき反応速度を表現し,計算することができる。(C)
②素過程の組合せから総括反応機構および速度を表現し,計算できる。(C)
③基本的な反応器について,変換率と時間との関係等の設計計算ができる。(C)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1化学的基礎知識に基づき反応速度を表現し,十分計算することができる。化学的基礎知識に基づき反応速度を表現し,計算することができる。化学的基礎知識に基づき反応速度を表現し,満足に計算することができない。
評価項目2素過程の組合せから総括反応機構および速度を表現し,十分に計算できる。素過程の組合せから総括反応機構および速度を表現し,計算できる。素過程の組合せから総括反応機構および速度を満足に表現したり,計算したりできない。
評価項目3基本的な反応器について,変換率と時間との関係等の設計計算が十分できる。基本的な反応器について,変換率と時間との関係等の設計計算ができる。基本的な反応器について,変換率と時間との関係等の設計計算が満足にできない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
熱力学計算を含む化学量論および反応速度についての理解を深め,反応機構,反応速度,および基本的反応器の設計について学習する。
化学工業のプロセスは複雑で,原料の調製工程,反応工程,および,生成物の分離・精製工程から成り立っていることが多い。反応工学は,合理的で経済的な反応プロセスの選定と設計および操作に関する工学である。各種化学反応における最適反応条件を決定し,それに適した反応装置を設計することが目的の一つである。このためには,対象となる反応を速度論的に解析することが必要である。
この授業では,物質工学科における反応工学として,化学反応の速度論的取り扱いを中心に学習する。反応速度論の基礎,反応速度決定法,反応機構について学習し,基本的な反応条件の設計計算が行えるようになることが目標である。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業が中心となる。具体的な問題演習を行う。必要に応じて小テストを実施し、各自の理解度を把握してもらう。

主な学習内容(学習事項)
(1)反応工学の基礎(第1回~第2回)
 実際のプロセスで用いられる工業的反応について学習し,基本的な反応器(バッチ式,連続式,連続回分式)の特徴や用途を理解する。様々な化学反応について学習し,その違いを理解する。

(2)反応速度式(第3回~第6回)
速度論から見た微視的取り扱いとして,総括反応速度を素反応速度を用いて計算する方法を学習し,反応次数についても理解する。定常状態近似および律速段階近似の考え方を理解し,実際の計算ができるように練習する。反応速度の温度依存性を表すアレニウス式は,化学で出てくる最重要な関係式の1つであるので,もう一度復習して整理する。

(3)反応器設計の基礎式(第7回~第8回,第10回~第11回)
化学量論計算では,変換率を用いて反応の進行度を表す。モル分率,分圧など,基礎事項については予め復習しておく必要がある。また,平衡状態での変換率を計算するため,平衡組成計算を復習するので,ここで熱力学的基本関係の復習も受講前にしておく必要がある。
上記の基礎事項を押さえたうえで,化学プロセスで多用される回分反応器,連続槽型反応器,および,管型反応器の設計に関する基礎式を学習する。

(4)反応の速度解析(第12回~第13回)
単一反応について,静止法および流通法に分けて反応速度および速度定数の決定法を学習する。静止法ではグラフを使った微分法と積分法を学び,流通法では積分法を中心に学習する。
また,並列反応および逐次反応に関する反応速度および速度定数の決定法についても学習する。

(5)気固反応(第14回~第15回)
 工業的に重要な反応の多くは,2相以上が反応に関与する不均一反応である。不均一反応として,気体と固体粒子間の反応(気固反応)について学習する。また,未反応核モデルを学習する。
注意点:
事前学習
 指定した教科書(可能であれば参考書も)の該当部分を事前に読んでおくこと。
事後学習
教科書、参考書、ノートにより、講義時に学修した内容を復習しておくこと。課題を与えられた場合には、期限までにレポートを提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 ガイダンス
工業的反応,反応器について、理解し説明できる。
2週 化学反応の分類と反応速度 単一反応,複合反応,不均一反応,等について、理解し説明できる。
3週 反応速度式(1) 反応速度定数と反応次数について理解し、計算したり説明できる。
4週 反応速度式(2) 定常状態近似について理解し、計算したり説明できる。
5週 反応速度式(3) 律速段階近似について理解し、計算したり説明できる。
6週 反応速度式(4) 反応速度の温度依存性,アレニウス式について理解し、計算したり説明できる。
7週 反応器設計の基礎式(1) 量論関係,反応率,モル分率,分圧について理解し、計算したり説明できる。
8週 中間試験 中間試験
2ndQ
9週 反応器設計の基礎式(2) 回分反応器について理解し、計算したり説明できる。
10週 反応器設計の基礎式(3) 管型反応器について理解し、計算したり説明できる。
11週 反応器設計の基礎式(4) 連続槽型反応器について理解し、計算したり説明できる。
12週 反応の速度解析 積分法,微分法について理解し、計算したり説明できる。
13週 反応器の設計(1) 回分反応器と管型反応器について理解し、計算したり説明できる。
14週 反応器の設計(2) 化学反応に適した反応器を提案できる。
15週 試験解説,気固反応 気固反応,未反応核モデルについて理解し、計算したり説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4

評価割合

試験課題・小テスト相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力0000000
専門的能力60400000100
分野横断的能力0000000