移動速度論

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 移動速度論
科目番号 0037 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科(物質工学コース) 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 新版 移動論:小林清次、飯田嘉宏、朝倉書店
担当教員 吉本 康久

到達目標

化学装置内で起こる移動現象は基本的には運動量移動速度、熱移動速度、物質移動速度からなる三つの類似移動速度として取扱うことができる。この三者に共通する考え方を理解し、演習問題を通じて、実際の化学装置に応用できる能力を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
運動量移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない
熱移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない
物質移動速度理解し、説明できるある程度理解し、説明できる理解できない

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
化学装置内で起こる複雑な移動現象は基本的には運動量移動速度、熱移動速度、物資移動速度からなる三つの類似移動速度として取扱うことができる。そこで本講義ではこの三者に共通する基礎理論を理解し、実際の化学装置に応用できる基礎的な知識を学習する。
授業の進め方・方法:
事前学習
指定した教科書の次回の授業範囲を事前に読んでおくこと。
事後学習
復習し、導出された式の理解を深めること。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 1.移動論の基本的事項(1)移動速度論の概要 (2)移動現象の一次元微分方程式 化学装置内で起こる移動現象は、運動量移動のニュートンの粘性の法則、熱移動のフーリエの法則及び物質移動のフィックの法則に基づいており、これら三者が類似していること及びこれらの法則の一次元微分方程式の導出方法を理解できる。
2週 1.移動論の基本的事項(3)単位と換算 (4)演習問題 SI単位(国際単位)は主に長さ[m]、質量[kg]、時間[s]、熱力学温度[K]、物質量[mol]を基本単位として組み立てられた単位系であることを理解でき、力[N]、圧力[Pa]、熱量[J]、仕事率[W]、粘度[Pa・s]、熱伝導度[W/(m・K)]等の単位をSI単位で組み立てることができる。
3週 2.運動量移動論(1)層流と乱流 (2)流体の連続の式 流体の流れには層流と乱流及び遷移域があることが理解でき、流れの判断基準(層流/遷移域/乱流)となるレイノルズ数を求めることができる。
また、混合ガスの粘度推算方法、流体の連続の式の導出方法について理解できる。
4週 2.運動量移動論(3)粘性流体の運動方程式 (4)ベルヌーイの式 慣性力=作用力の関係から、粘性流体の運動方程式(ナビエ・ストークスの式)の導出を理解できると共に、ベルヌーイの式への展開も理解できる。
また、ベルヌーイの式を用い、ピトー管による流速算出式への展開を説明できる。
5週 2.運動量移動論(5)演習問題 (6)層流の速度分布と摩擦損失 円管内の層流の流れからハーゲン-ポアズイユの式の導出を理解できる。
また、レイノルズ数の算出及び層流/乱流の判断及びベルヌーイの式を活用し流体の流速を求めることができる。
6週 2.運動量移動論(7)乱流の速度分布と摩擦損失 (8)充填層内の流れと摩擦損失 円管内の乱流の流れからファニングの式の導出を理解できる。
また、充填層内の流れの圧力損失について理解できる。
7週 2.運動量移動論(9)演習問題 円管内の層流・乱流及び充填層内の圧力損失を求めることができる。
また、液体移送ポンプの所要動力を求めることができる。
8週 3.熱移動論 (1)熱移動の基本的事項 熱移動(相変化を除く)には、伝導、対流及び放射(輻射)があることを説明できる。
また、熱伝達率を用いた固体表面と流体間の熱移動(熱の授受)を理解できる。
4thQ
9週 3.熱移動論 (2)熱伝導の基礎方程式 (3)定常熱伝導 熱移動の基礎方程式を基にした固体内(平板及び円筒)の熱伝導の解析方法並びに通過熱流束及び熱通過率の算出方法を理解できる。
10週 3.熱移動論 (4)対流熱伝達 流体の流れと熱移動の基礎方程式を基に誘導した円管内の強制対流熱伝達を理解できる。
11週 3.熱移動論 (5)演習問題、 熱伝達及び対流熱伝達の各関係式を活用し、移動熱量、熱伝導率、熱伝達率、流体温度等 を求めることができる。
12週 4.物質移動論(1)拡散方程式の復習 (2)物質拡散流束と絶対物質流束 物質の拡散現象と物質移動との関係及びフィックの拡散法則並びに二成分系気体及び液体の拡散係数の推算方法を理解できる。
また、物質拡散流束と絶対物質流束の関係及びボンベ類におけるガス透過流束及びガス漏洩量の算出方法を理解できる。
13週 4.物質移動論(3)物質移動の基礎方程式 (4)薄膜を通しての拡散 物質移動の基礎方程式を基に誘導した薄膜を通しての物質拡散方程式の導出を理解でき、応用例であるプラスチック薄膜における物質拡散流束及びガス透過量の算出方法を理解できる。
14週 4.物質移動論 (5)2成分気体中の定常拡散 (6)演習問題 2成分気体中の等モル拡散及び一方拡散の拡散量を求める式の導出を理解できる。
また、薄膜を透しての拡散流速/拡散量を求めることができる。
15週 4.物質移動論(7)熱・物質の同時移動現象  (8)演習問題 熱・物質の同時移動現象の解析方法及び代表例である液粒の蒸発について理解できる。
また、2成分気体中の等モル拡散及び一方拡散の拡散量を求めることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題・レポート合計
総合評価割合7030100
基礎的能力351550
専門的能力351550