生物工学実験Ⅰ

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物工学実験Ⅰ
科目番号 0017 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 物質工学科(生物工学コース) 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 8
教科書/教材 プリント配布
担当教員 楠部 真崇,岸本 昇,野村 英作,土井 正光,綱島 克彦,林 純二郎,米光 裕,河地 貴利,スティアマルガ デフィン,西本 真琴,森田 誠一

到達目標

1. 実験器具,装置を正しく用いて,目的物質の合成,分離,同定や必要とされるデータの測定ができる。
2. 実験により得られた結果をレポートにまとめることができる。
3. 役割を分担し共同で実験ができる。
4. 現在の研究成果に基づき新しい実験を提案できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
生物工学系実験:アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アドバイスを受けながらアミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができる。アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの分離や定量ができない。
物質工学合成系実験:有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。アドバイスを受けながら有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができる。有機化合物,無機化合物の合成操作と化合物の同定ができない。
物質工学物性系実験:物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,アドバイスを受けながらそれらの基本的測定ができる。物質の基礎化学および化学工学的性質を理解するとともに,基本的測定ができない。
物質工学応用実験:研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えをほぼ理解できる。研究の基礎的項目および研究への心構えを理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
<COC>
アミノ酸,タンパク質,遺伝子などの生体物質を中心に生物工学分野の実験器具,装置の取り扱いや実験操作を応用も含めて行うまた,物質工学(物性,合成)系の基礎実験と生物機能を理解する上で必要となるそれらの生物工学的実験も行う。さらに,生物工学系の種々の応用実験における実験方法,データ解析法の実習も行う。
授業の進め方・方法:
3班に分かれ3分野(物性系,合成系,生物工学系)の実験を7週(56時間)毎にローテーションする。後半9週は応用実験を行う。
[評価方法の詳細]
1. ①実験レポ-ト(生物工学系:60%,合成系:70%,物性系:80%,応用実験:50%),および②実験取組(実験ノート、実験操作等) (生物工学系:40%,合成系:30%,物性系:20%,応用実験:50%)で評価する。
2. 上記4分野の評価の平均を最終成績とする。
注意点:
事前学習:各回の実験内容について実験書を熟読し,実験実施に必要な事項を調査し,ノートにまとめる。
事後学習:実験内容をレポートにまとめ,期限までに提出する。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物工学系実験(1),生体分子の構造
の合成
アミノ酸、単糖、脂肪酸のCPK模型を作製し、個々の構造と物性の相関について説明できる。
2週 生物工学系実験(2),アミノ酸とタンパク質の分離と定量 ヘモグロビンとバリン誘導体のカラムクロマトグラフィーによる分離と定量ができる。
3週 生物工学系実験(3),微生物のスクリーニングと純粋培養 環境中から微生物を単離し、純粋培養することができる。
4週 生物工学系実験(4),遺伝子DNAの抽出 培養した微生物からDNAを抽出することができる。
5週 生物工学系実験(5),遺伝子増幅とアガロースゲル電気泳動 抽出したDNAとプライマーを用いて、アガロースゲル電気泳動でPCR反応結果を確認することができる。
6週 生物工学系実験(6),酵素の分離と活性 酵素(リゾチーム)の電気泳動や液体クロマトグラフィーの操作そしてNMRによる構造解析ができる。
7週 生物工学系実験(7),遺伝子系統解析 遺伝子配列を決定し、相同性検索をすることができる。
8週 合成系実験(1),ゾル-ゲル法による酸化チタンの合成 ゾル-ゲル法によって酸化チタンを合成できる。
2ndQ
9週 合成系実験(2),色素増感型太陽電池の作成 作成した酸化チタンを用いて色素増感型太陽電池を作成し,発電特性を評価できる。
10週 合成系実験(3),色素増感型太陽電池の改良 色素増感型太陽電池の改良ができる。
11週 合成系実験(4),エステルの合成 フィッシャーエステル合成法でエステルを合成できる。液-液抽出と蒸留により生成物を単離できる。
12週 合成系実験(5),アゾ色素の合成 ジアゾ化とカップリングによりアゾ色素を合成できる。
13週 合成系実験(6),β-カロテンの単離 ニンジンからβ-カロテンを抽出し,カラムクロマトグラフィーにより精製できる。
14週 合成系実験(7),カフェインの単離 紅茶葉からカフェインを抽出し,昇華により精製できる。NMR, IRスペクトルにより構造を帰属できる。
15週 物性系実験(1),原子吸光分析 原子吸光法の原理を理解し、絶対検量線法および標準添加法による金属イオン濃度の定量ができる。
16週
後期
3rdQ
1週 物性系実験(2),酵素反応速度 単一基質酵素反応について反応条件を決定できる。ミカエリス-メンテンの式に基づき、反応初速度と基質濃度からラインウィーバー-バークプロットを用いて、ミカエリス定数および最大反応速度を求めることができる。
2週 物性系実験(3),気液平衡 平衡蒸留操作を行い、温度組成線図、x-y線図を作成できる。二相間の平衡、理想溶液およびラウールの法則を説明できる。
3週 物性系実験(4),伝熱係数 二重管熱交換器の総括伝熱係数を求めることができる。境膜理論を理解し、伝熱係数に影響をあたえる因子を説明できる。
4週 物性系実験(5),管路の圧損失 レイノルズ数と流れの状態の関係を説明できる。円管における圧力損失を測定し、管摩擦係数とレイノルズ数の関係を説明できる。
5週 物性系実験(6),イオンクロマトグラフィー イオンクロマトグラフィーの原理を説明できる。検量線の作成し、陰イオンの定量ができる。また、理論段数や分離度の計算ができる。
6週 物性系実験(7),物性系実験のまとめ 指定された実験テーマについて、プレゼン資料を作成して発表でき、討論できる。
7週 物質工学応用実験(1),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
8週 物質工学応用実験(2),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
4thQ
9週 物質工学応用実験(3),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
10週 物質工学応用実験(4),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
11週 物質工学応用実験(5),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
12週 物質工学応用実験(6),卒業研究発表会の聴講 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
13週 物質工学応用実験(7),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
14週 物質工学応用実験(8),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
15週 物質工学応用実験(9),応用実験における操作,データ解析法 研究の基礎的項目および研究への心構えを理解できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学についての基礎的原理や現象を、実験を通じて理解できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14
物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
専門的能力分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4
収率の計算ができる。4
分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。4
物理化学実験分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。4
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。4
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。4
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4
生物工学実験適切な方法や溶媒を用いて、生物試料から目的の生体物質を抽出し、ろ過や遠心分離等の簡単な精製ができる。4
クロマトグラフィー法または電気泳動法によって生体物質を分離することができる。4

評価割合

実験レポート実験取り組み合計
総合評価割合6535100
基礎的能力6535100
専門的能力000
分野横断的能力000