物性物理

科目基礎情報

学校 和歌山工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物性物理
科目番号 0028 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 メカトロニクス工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 参考書:「電子物性工学 (電子通信大学講座 (6))」,青木 昌治著,コロナ社、「量子論 (基礎物理学選書)」,小出 昭一郎著,裳華房、「熱力学・統計力学」,原島 鮮著,培風館、「プラズマ工学の基礎」,赤崎 正則他著,産業図書、および配布プリント
担当教員 直井 弘之

到達目標

1.ミクロな視点とマクロな視点から物質の性質を考察することができる。
2.物質の特性を理解するための視点として、統計力学の基本的な考え方を理解し、それらを用いて平均エネルギーなどのマクロな物理諸量を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
物質の性質について、ミクロな視点とマクロな視点からの理解度講義で扱った範囲の物質の性質について、ミクロな視点とマクロな視点から説明できている。講義で扱った範囲の物質の性質について、限定的な視点から説明できている。物質の性質を説明する際に、視点を定めることができず、説明も全くできていない。
統計力学の手法を用いたマクロな物理量についての計算力講義で扱った範囲の統計力学の手法を用いてマクロな物理量を正確に計算できている。講義で扱った範囲の統計力学の手法を用いてマクロな物理量を限定的に計算できている。統計力学の手法を用いたマクロな物理量の計算が全くできていない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
特異な物理概念や統計的手法を含めた、「物質」を取り扱うための物理学的視点について学習し、物性物理の立場から、「物質」の性質について理解・考察する能力を養う。
授業の進め方・方法:
講義とともに原則、授業毎に課題を実施する。適宜プリントで補足しながら説明する。講義は英語で行う。
注意点:
本科目は学修単位であり、授業の進み方が速いことから、下記に注意すること。また、講義は英語で行うことにも注意すること。
事前学習:  本シラバス全体によく目を通した上で参考書等を用いて予習することにより、授業範囲の中の専門用語の意味およびその範囲の内容の概要を説明できるようにしておくこと。また、各専門用語の英語表現も予習しておくこと。
事後学習: 毎授業後に復習することにより、学習した内容を正しく理解し、期末試験に備えていくこと。原則、授業毎に理解を深めるための課題を出すので、次の授業の開始時に提出すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション  物性物理の視点 物質の性質について、ミクロな視点とマクロな視点を区別できる。
2週 ミクロの世界1 (不確定性) 不確定性原理を定性的に説明できる。
3週 ミクロの世界2 (量子井戸) 量子井戸の中では、電子(正孔)のエネルギーが離散的になることを定性的に説明できる。
4週 ミクロの世界3 (トンネル効果) トンネル効果が起こる機構を定性的に説明できる。
5週 分子間力と気体・液体・固体 物質の三態間の状態変化について、分子間力とエネルギーの観点から説明できる。
6週 分布関数(Ⅰ) 分布関数の概念 固体中の自由電子や、気体・液体中の分子はすべて平均化された物理量を有しているわけではなく、実際はおのおのが異なった物理量を有しており、それらを統計的に扱う手法が分布関数であることを定性的に説明できる。
7週 分布関数(Ⅱ) マクスウェル-ボルツマンのエネルギー・速度分布則を用いたマクロ物理量の計算
マクスウェル-ボルツマンのエネルギー分布あるいは速度分布を用いて、古典理想気体について、種々のマクロな物理量について計算できる。
8週 量子統計・古典統計 マクスウェル-ボルツマン統計、フェルミ-ディラック統計、ボーズ-アインシュタイン統計を区別し、それぞれの統計に従う粒子を説明できる。
2ndQ
9週 実在気体の状態方程式 理想気体と実在気体を区別し、実在気体の状態方程式のいくつかについて、その概要を説明できる。
10週 固体物性1 (金属・絶縁体・半導体の導電率) ミクロの構成要素である電子の属性から導電率等の巨視的な物理量を説明できる。
11週 固体物性2 (原子の結合と金属・絶縁体・半導体、エネルギーバンド図) 金属・絶縁体・半導体ができる機構の概要を原子の結合論を用いて説明し、これらのエネルギーバンド図を描くことができる。
12週 固体物性3 (半導体の基本物性とその制御法) ドーピングによるキャリア濃度の制御法および半導体混晶によるバンドギャップエネルギーの制御法を説明できる。
13週 プラズマの基礎1(直流プラズマ) 気体プラズマ状態について、その概要を説明できる。直流印加電圧による気体プラズマの生成法を説明できる。
14週 プラズマの基礎2(RFプラズマ) 交流印加電圧による気体プラズマの生成法を説明できる。
15週 プラズマの基礎3(その他のプラズマ) 特殊なものを含めて個々のプラズマについて概観し、プラズマについての見聞を拡げる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合5050100
基礎的能力000
専門的能力5050100