機械材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 機械材料学Ⅰ
科目番号 0047 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 宮川大海,吉葉正行「金属材料通論-鉄鋼・非鉄・新材料」朝倉書店
担当教員 上原 一剛

到達目標

機械材料としての金属材料を扱うための下記の各基礎事項を習得できる.
(1) 合金を扱うための基礎としての状態図の読みとり方
(2) 材料強度特性を取り扱う上での基礎としての材料試験法
(3) 鉄鋼材料の基礎-製銑・製鋼法,炭素鋼の徐冷組織
(4) 鉄鋼材料の熱処理法-連続冷却変態曲線,焼なまし,焼ならし,焼入れ,焼もどし

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属材料の結晶構造(体心立方,面心立法,最密六方)を理解し,正しい語句を使用して詳細に説明できる.金属材料の結晶構造(体心立方,面心立法,最密六方)を理解し,説明できる.金属材料の結晶構造(体心立方,面心立法,最密六方)を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目2金属材料の機械的性質を検査する目的や検査方法を理解し,十分に説明できる.金属材料の機械的性質を検査する目的や検査方法を理解し,説明できる.金属材料の機械的性質を検査する目的や検査方法を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目3純金属および合金の融解と凝固過程を理解した上で状態図を理解し,全率固溶体型および共晶型,包晶型状態図が詳細に説明できる.純金属および合金の融解と凝固過程を理解した上で状態図を理解し,説明できる.純金属および合金の融解と凝固過程を理解した上で状態図を理解していない.あるいは説明できない.
評価項目4鉄鋼材料の状態図と組織および熱処理(焼入れ,焼もどし,焼なまし,焼ならし)を理解し,正しい語句を使用して詳細に説明できる.鉄鋼材料の状態図と組織および熱処理(焼入れ,焼もどし,焼なまし,焼ならし)を理解し,説明できる.鉄鋼材料の状態図と組織および熱処理(焼入れ,焼もどし,焼なまし,焼ならし)を理解していない.あるいは説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械を構成する部品の材料は多種多様にわたっている.そのことは,部品により要求される性質が異なり,それを満たす最適な材料が選定,あるいは各種処理により最適な性質に変更されて用いられているからである.この科目では,機械材料としてもっとも基本的な金属系材料を対象とし,そして主にその強度特性を決定している要因について学習し,部品の材料選定および,処理法選定の方針を獲得するための基礎的事項を取り扱う.
授業の進め方・方法:
講義中心に授業を進める.教科書で取り扱っていない,あるいは取り扱いが不十分な箇所については,自作の補助教材を配布する.適宜,演習課題を課す.
注意点:
平素の授業への集中がもっとも重要と考えられるため,学生を指名して質問を行うのでよく注意しておくこと.また記述的な授業内容が中心となるため,担当教員が強調して解説する箇所は試験において出題される確率が高いものと考えてよい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業のガイダンス-機械における材料について 機械材料学がどのような学問なのか,またその必要性・目的を主要材料(鋼,アルミニウム,複合材料等)を基にして理解できること.
2週 純金属の組織、純金属の結晶構造-体心立方格子 体心立方格子の配位数、格子定数、原子充填率を理解することができる。
3週 純金属の結晶構造-面心立方および最密六方格子 面心立方および最密六方格子の配位数、格子定数、原子充填率を理解することができる。
4週 金属の変態-純FeにおけるA3変態と熱膨張曲線 純FeにおけるA3変態と熱膨張曲線を理解することができる。
5週 合金の相-固溶体と金属間化合物相 固溶体と金属間化合物相について理解することができる。
6週 二元合金状態図の成り立ち、合金の組成の換算法および例題演習 二元合金状態図の成り立ち、合金の組成の換算法を理解することができる。
7週 てこの法則 状態図のてこの関係を理解することができる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 全率固溶体型状態図の成り立ち 全率固溶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
10週 例題演習 全率固溶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
11週 共晶型状態図の成り立ち 共晶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
12週 例題演習 共晶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
13週 包晶型状態図の成り立ち 包晶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
14週 例題演習 包晶型状態図の作成履歴を学習し,濃度,質量比等が理解できること.また,質量比や成分等の質量計算もできること.
15週 複雑な状態図の見方 複雑な状態図を理解することかできる.
16週 前期期末試験
後期
3rdQ
1週 製銑・製鋼法の基礎 製銑・製鋼法を理解することができる.
2週 炭素鋼の徐冷組織 炭素鋼の徐冷組織について理解することができる.
3週 徐冷組織と状態図との対応 炭素鋼の徐冷組織と状態図との対応させることがきる.
4週 材料試験について-試験の意義と分類について 材料試験の意義と分類について理解することができる.
5週 引張試験・硬さ試験 引張試験・硬さ試験について理解することができる.
6週 金属の疲労について 金属の疲労について理解することができる.
7週 例題演習
8週 後期中間試験
4thQ
9週 共析鋼の連続冷却変態曲線の成り立ちについて 共析鋼の連続冷却変態曲線の成り立ちについて理解することができる.
10週 熱膨張曲線-冷却途中の変態点測定法について 熱膨張曲線の冷却途中の変態点測定法について理解することができる.
11週 焼なましと焼ならし 焼なましと焼ならしについて理解することができる.
12週 焼入れ-マルテンサイトについて 焼入れのマルテンサイト変態について理解することができる.
13週 焼入れ-残留オーステナイトについて 焼入れの残留オーステナイトについて理解することができる.
14週 焼入れ-焼割れを防ぐ方法と熱処理応力について
焼き戻し
焼割れを防ぐ方法と熱処理応力について理解することができる.
15週 定期試験
16週 全体の振り返り

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。1前1,前8
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。1前1,後4,後5,後7,後8
硬さの表し方および硬さ試験の原理を説明できる。1後4,後5,後7,後8
金属と合金の結晶構造を説明できる。1前2,前3,前8
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。1前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
合金の状態図の見方を説明できる。1前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
鉄鋼の製法を説明できる。1後1,後8
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。1後2,後3,後8,後9,後10
焼きなましの目的と操作を説明できる。1後11
焼きならしの目的と操作を説明できる。1後11
焼入れの目的と操作を説明できる。1後12,後13,後14
焼戻しの目的と操作を説明できる。1後15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合85000150100
基礎的能力0000000
専門的能力85000150100
分野横断的能力0000000