機械設計法の基礎的事項を理解し、各論においてはそれぞれの機械要素の働きと強度設計法を習得することにより、組み立製品の強度設計への応用・発展する能力を身につけることができる。具体的には
(1) 機械設計に関する基礎事項(はめあい、寸法公差、材料強度、許容応力など)を理解することができる。
(2) 締結要素:ねじ・クラッチを中心とする強度設計法、及び加工法を理解することができる。
(3) 軸・軸受の基本設計としての強度設計、剛性、危険速度、寿命計算法等を理解することができる。
(4) 歯車の基本事項、転位歯車、歯車強度の計算、歯車軸にかかる荷重について理解することができる。
(5) 制動・緩衝要素であるブレーキ、はずみ車、ばねなどの基本設計法とその利用法を理解することができる。
概要:
この講義は本校の教育目標のうち専門分野における「基礎力」を養う科目である。具体的には、各機械要素の使用法と強度計算の基礎知識を理解させ、各設計式の誘導に力点を置く。さらに静荷重、繰返し荷重に対する許容応力の求め方、および破壊の法則に関しての入門を示し、機構設計における運動解析・応力解析の重要性を認識させる。
授業の進め方・方法:
記憶すべき事柄は明確に理解し記憶しておくこと。考えて結論を導き出す事象を理解せず、記憶のみで試験問題に対処しても正解が得られないような出題をする。これが将来の企業における設計業務に役立つ。機能・応力解析等の基本設計と、工法・組立等の生産設計が両立しないと総合的システム設計はできないことを本講義で体得して欲しい。なお、質問については水曜日以外の16:30時~17:30時の間に適時研究室に来訪のこと。
また、次のような自学自習時間を各自設けること。
・授業内容を理解するため、あらかじめ配布したプリントで予習・復習を行う。
・各到達目標毎に課題に対するレポートを作成する。
・定期試験の準備を行う。
注意点:
授業内容を理解するため、あらかじめ配布しているプリントや設計ノート等を用いて予習・復習を行う。これにより、授業中の集中力と理解度が格段に向上する。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
授業のガイダンス、緒論:機械の定義、機械設計の基本、設計手順等。 |
機械の定義、機械設計の基本、設計手順などを理解し、説明できる。
|
2週 |
基礎的強度学、材料の強度と許容応力、安全率、応力集中係数、切り欠き係数。 |
基礎的強度学、許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中などの意味を理解し、説明できる。
|
3週 |
標準化、標準数、主要国家規格、はめあい等。 |
標準化、標準数、主要国家規格、はめあい等を理解し、説明できる。
|
4週 |
締結用機械要素:ねじ⇒ねじの規格、用途、ねじの力学。 |
ねじ(ボルト・ナット)の種類、特徴、用途、規格を理解し、ねじ結合における締付けトルクを計算できる。
|
5週 |
ねじの強度計算等。 |
ボルトに作用する引張応力やせん断応力、接触面圧を計算できる。
|
6週 |
その他締結用要素(ワッシャ、キー、スプライン、セレーション等)の種類と規格の概要、及び一部(キー等)の強度計算等。 |
その他締結用要素(キー等)の種類と規格の概要を理解し、説明できる。
|
7週 |
リベット継手、溶接継手の概要と強度設計。 |
リベット継手や溶接継手の強度計算ができる。
|
8週 |
前期中間試験 |
前期中間試験範囲の到達状況の把握
|
2ndQ |
9週 |
軸と軸継手:軸の各種分類と応力状態に対応する強度計算、破壊の法則。 |
軸の各種分類と用途を理解し、説明できる。
|
10週 |
軸の撓み、ねじり剛性、危険速度の算出法等。 |
軸の強度、変形、危険速度などを計算できる。
|
11週 |
軸継手・クラッチ:形式と使用目的、伝達トルクの計算式。 |
軸継手・クラッチの形式と使用方法、伝達トルクの計算式を理解し、使用できる。
|
12週 |
すべり軸受:粘度、各無次元量。動圧効果(楔効果等)、ストライベック線図による潤滑状態の把握。 |
粘度、各無次元量の理解。動圧効果などを利用したすべり軸受を理解し、説明できる。
|
13週 |
転がり軸受:転がり軸受の構造と規格、軸受寿命の定義、軸・軸受の選定方法。 |
転がり軸受の構造と規格、軸受寿命の定義を理解し、説明できる。
|
14週 |
等価ラジアル荷重、転がり軸受の寿命計算、各種転がり軸受の設計寸法、取り扱い。 |
等価ラジアル荷重、転がり軸受の寿命計算を理解し、計算できる。
|
15週 |
前期末試験 |
前期末試験範囲の到達状況の把握
|
16週 |
前期末までの復習 |
前期末までに習った内容について、自らの課題を認識し修正できる。
|
後期 |
3rdQ |
1週 |
歯車:歯車の種類と2軸の位置関係、標準歯車の各種寸法、モジュール等。 |
歯車の種類と2軸の位置関係、標準歯車の各種寸法、モジュール等を理解し、説明できる。
|
2週 |
円筒歯車:標準歯車の切り下げ現象、かみ合い率。 |
切り下げ現象、かみ合い率等を理解し、スムーズに回転する歯車の設計原理を理解し説明できる。
|
3週 |
標準歯車のすべり率、転位歯車の成り立ちとその利用方法。 |
標準歯車と転位歯車との違いや、その利用方法を理解し、説明できる。
|
4週 |
転位歯車の転位と圧力角の関係、かみ合い方程式、転位限界と尖り限界。 |
転位歯車の転位と圧力角の関係、転位限界と尖り限界を理解し、説明できる。
|
5週 |
標準歯車の強度計算(ルイス・ヘルツの強度式)、歯車軸にかかる荷重。 |
標準歯車の強度算出式(ルイス・ヘルツの強度式)を使用し計算できる。
|
6週 |
はすば歯車の特徴、かみ合い率、寸法と強度計算、切り下げ現象等。 |
はすば歯車の特徴、かみ合い率、寸法と切り下げ現象を理解することができる。
|
7週 |
傘歯車の特徴、寸法とウオーム伝動歯車の寸法と特徴等。 |
傘歯車の特徴・寸法とウオーム伝動歯車の特徴・寸法を理解することができる。
|
8週 |
後期中間試験 |
後期中間試験範囲の到達状況の把握
|
4thQ |
9週 |
ブレーキ:制動装置の総論、および制動トルクの計算方法。 |
制動装置の総論、および各論を理解し、説明できる。
|
10週 |
ブレーキ:制動装置の各論、各種ブレーキの構造と制動トルクの計算式。 |
各種ブレーキの構造と制動トルクの計算方法を理解し、使用できる。
|
11週 |
はずみ車⇒トルク曲線に対する慣性モーメントの計算法、寸法計算等。 |
はずみ車のトルク曲線に対する慣性モーメントの計算法を理解し、使用できる。
|
12週 |
ばね総論:各種ばねの形状、特性と用途、線形ばねと非線形ばね。 |
各種ばねの特徴・形状、特性と用途、および線形ばねと非線形ばねを理解し、説明できる。
|
13週 |
ばね各論1:密巻き円筒ばね:コイルばねの応力、たわみの計算式。荷重-たわみ図と使用範囲。 |
密巻き円筒ばね:コイルばねの応力、たわみの計算式を理解し、使用できる。
|
14週 |
ばね各論2:捻りコイルばね、重ね板ばねの応力、たわみの計算式。トーションバー等。 |
捻りコイルばね、重ね板ばねの応力、たわみの計算式を理解し、使用できる。
|
15週 |
学年末試験 |
学年末試験範囲の到達状況の把握
|
16週 |
学年末までの復習 |
学年末までに習った内容について、自らの課題を認識し修正できる。
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 機械設計 | 標準規格の意義を説明できる。 | 3 | 前3 |
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。 | 3 | 前2 |
標準規格を機械設計に適用できる。 | 3 | 前3 |
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。 | 3 | 前4 |
ボルト・ナット結合における締め付けトルクを計算できる。 | 3 | 前4,前5 |
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。 | 3 | 前5 |
軸の種類と用途を理解し、適用できる。 | 3 | 前9 |
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。 | 3 | 前9,前10 |
キーの強度を計算できる。 | 3 | 前6 |
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。 | 3 | 前11 |
滑り軸受の構造と種類を説明できる。 | 3 | 前12 |
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。 | 3 | 前13,前14 |
歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表し方を説明できる。 | 3 | 後1 |
すべり率、歯の切下げ、かみあい率を説明できる。 | 3 | 後2,後3 |
標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。 | 3 | 後3,後4 |
標準平歯車について、歯の曲げ強さおよび歯面強さを計算できる。 | 3 | 後5 |
歯車列の速度伝達比を計算できる。 | 3 | 後1,後7 |