概要:
この講義は本校の教育目標のうち「技術者としての基礎力」を養う科目である.流体力学は,物理学の一分野であり,流体運動(流れ)を理論的に解析する学問である.
自然界には流れによる現象が多く存在するが,一般に複雑である.その現象を数学の知識(解析学)を用いて解析し,工学に適用できる力を付ける.
授業の進め方・方法:
流れを解析するには数学の知識が不可欠であり,そのため,数学の知識を十分復習する必要がある.どうしても理論的な取り扱いが多くなるため,自然界によく見られる現象と関連づけ,どんな場所に適用されているか教える.なお,毎週月曜日の17時00分~18時00分をオフィスアワーとするので,質問などがある学生は早水研究室に来ること.
また,次のような自学自習を45時間以上行うこと.
・授業内容を理解するため,予め配布したプリントや教科書で予習する.
・授業内容の理解を深めるため,復習を行う.
・与えられた課題を行う.
・定期試験の準備を行う.
注意点:
授業での到達目標が達成され,流体力学に関する基礎的な理解と簡単な応用力の習得度で評価する.成績の評価における総合評価割合は,定期試験80%,課題20%とする.なお,原則として再試験は行わない.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,流体の定義と学問,流体のモデル化,ラグランジュ法とオイラー法 |
流体の定義と学問,流体のモデル化,ラグランジュ法とオイラー法を理解し,説明できる.
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2週 |
質量保存の法則(連続の式) |
連続の式を理解し,流体の諸問題に適用できる.
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3週 |
流体粒子の加速度,オイラーの運動方程式 |
流体粒子の加速度,オイラーの運動方程式を理解し,説明できる.
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4週 |
エネルギー保存の法則(ベルヌーイの式) |
ベルヌーイの式を理解し,流体の諸問題に適用できる.
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5週 |
流線と流れ関数(完全流体の流れ) |
流線と流れ関数を理解し,説明できる.
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6週 |
流体粒子の変形と回転(完全流体の流れ) |
流体粒子の変形と回転を理解し,説明できる.
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7週 |
渦度と循環(完全流体の流れ) |
渦度と循環を理解し,説明できる.
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8週 |
前期中間までの復習(前期中間試験) |
前期中間までに習った内容を理解する.
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2ndQ |
9週 |
渦なし流れと速度ポテンシャル(完全流体の流れ) |
渦なし流れと速度ポテンシャルを理解し,説明できる.
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10週 |
流れ関数と速度ポテンシャル(完全流体の流れ) |
流れ関数と速度ポテンシャルの関係を理解し,説明できる.
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11週 |
複素速度ポテンシャル(完全流体の流れ) |
複素速度ポテンシャルを理解し,説明できる.
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12週 |
簡単な二次元渦なし流れの例(完全流体の流れ) |
二次元渦なし流れを理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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13週 |
同上(完全流体の流れ) |
二次元渦なし流れを理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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14週 |
円柱まわりの流れ(完全流体の流れ) |
円柱まわりの完全流体の流れを理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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15週 |
前期末試験 |
前期末までに習った内容を理解する.
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16週 |
前期末までの復習 |
前期末までに習った内容について,自らの課題を認識し修正できる.
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後期 |
3rdQ |
1週 |
境界層,はく離(粘性流体の流れ) |
境界層,はく離を理解し,説明できる.
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2週 |
同上(粘性流体の流れ) |
境界層,はく離を理解し,説明できる.
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3週 |
層流境界層内の速度分布(粘性流体の流れ) |
層流境界層内の速度分布を理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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4週 |
乱流境界層内の速度分布(粘性流体の流れ) |
乱流境界層内の速度分布を理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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5週 |
抗力と揚力(粘性流体の流れ) |
抗力と揚力を理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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6週 |
揚力と翼(粘性流体の流れ) |
揚力と翼を理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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7週 |
カルマン渦による物体の振動(粘性流体の流れ) |
カルマン渦による物体の振動を理解し,それらに関する問題を解くことができる.
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8週 |
後期中間までの復習(後期中間試験) |
後期中間までに習った内容を理解する.
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4thQ |
9週 |
粘性流体の運動方程式(ナビエ・ストークス方程式) |
粘性流体の運動方程式を理解し,説明できる.
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10週 |
同上 |
粘性流体の運動方程式を理解し,説明できる.
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11週 |
粘性流体の境界条件 |
粘性流体の境界条件を理解し,説明できる.
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12週 |
レイノルズの相似則 |
レイノルズの相似則を理解し,説明できる.
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13週 |
粘性流体方程式の厳密解(クエット・ポアズイユ流れ) |
粘性流体方程式を理解し,クエット・ポアズイユ流れに関する問題を解くことができる.
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14週 |
同上(ハーゲン・ポアズイユ流れ) |
粘性流体方程式を理解し,ハーゲン・ポアズイユ流れに関する問題を解くことができる.
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15週 |
学年末試験 |
学年末までに習った内容を理解する.
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16週 |
学年末までの復習 |
学年末までに習った内容について,自らの課題を認識し修正できる.
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 3 | 前1,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11 |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 3 | 前1,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11 |
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 3 | 前1,前8 |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 3 | 前1,前8 |
パスカルの原理を説明できる。 | 3 | 前1,前8 |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 3 | 前4,前8 |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 3 | 前8 |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 3 | 前1,前8 |
定常流と非定常流の違いを説明できる。 | 3 | 前1,前8,前14 |
流線と流管の定義を説明できる。 | 3 | 前1,前5,前8 |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 3 | 前2,前8 |
オイラーの運動方程式を説明できる。 | 3 | 前3,前8 |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 3 | 前4,前8 |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 3 | 前4,前8 |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 3 | 後3,後4,後8 |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 3 | 後3,後4,後8 |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 3 | 後3,後4,後8 |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 3 | 後4,後8 |
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。 | 3 | 前14,前15,前16,後2,後7,後8 |
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。 | 3 | 前14,前15,前16,後5,後8 |
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。 | 3 | 前14,前15,前16,後5,後6,後8 |