応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0093 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 高専の応用物理(小暮陽三編,森北出版)
担当教員 川邊 博,竹内 彰継

到達目標

 前期の講義においては、
(1) 熱力学の第1法則に関する計算ができて、エントロピーの熱力学的な意味を説明できること
(2) 光の粒子性と電子の波動性の意味を説明できて、シュレディンガー方程式の最も簡単な問題を解くことができること
を目標とする。
 後期の実験の目標は以下のとおりである。
(1)有効桁の概念を理解することができる。
(2)誤差の伝播公式を理解し、測定誤差の評価をすることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
熱力学熱力学の第1法則に関する計算ができて、エントロピーの熱力学的な意味を説明できる熱力学の第1法則やエントロピーに関する基本的な計算ができる熱力学の第1法則やエントロピーに関する基本的な計算ができない
粒子性と波動性光の粒子性と電子の波動性の意味を説明できて、シュレディンガー方程式の最も簡単な問題について計算し説明することができる光の粒子性と電子の波動性に関する基本的な計算や、シュレディンガー方程式の最も簡単な計算ができる波動性に関する基本的な計算や、シュレディンガー方程式の最も簡単な計算ができない
有効桁数有効桁を理解している有効桁をだいたい理解している有効桁が理解できていない
測定誤差測定誤差を評価できる測定誤差をだいたい評価できる測定誤差が評価できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-1 説明 閉じる
JABEE c 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 前期は3年の応用物理に引き続きの講義をする。前半は熱力学で、気体の状態変化と熱力学の第1法則、第2法則からエントロピーまでを、後半は古典力学の限界から量子力学の構築までを扱う。
 後期は実験を行う。製造業では測定誤差の理解が重要であるが、高専ではそれを学ぶ機会が少なかった。そこで物理実験を題材として誤差論を学び、測定誤差の評価法を習得する。なお、応用数学I(確率統計)で学習した区間推定の知識を用いて測定誤差の評価を行う。すなわち応用数学Iは理論編、応用物理実験は実践編といった相補的な関係になっている。
 この科目を通して本校教育目標における『基礎力』と『応用力』を養成する。 
授業の進め方・方法:
 前期の講義は用意したプリントをもとに進める。毎週月曜日16時30分から17時30分までの間は質問受付のため川邊研究室(または物理実験室)に待機する。
 後期の実験ではレポートの採点基準を公開するので、それを参考にすること。なお、毎週木曜日の16時30分から17時30分をオフィスアワーとするので、竹内研究室まで質問に来ること。
注意点:
前期は定期試験(100%)で評価する。後期の実験はレポートの得点(72%)、試験の得点(20%)、演習の得点(8%)の合計で評価する。
最終的には両者を加算平均する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期のガイダンス、状態方程式、気体の分子運動 気体の内部エネルギーを分子運動論から理解できる。
2週 熱力学の第1法則、気体の比熱 気体の内部エネルギーとモル比熱の関係を理解できる。
3週 気体のいろいろな状態変化 気体が外部にする仕事の計算ができる。
4週 理想気体の断熱過程 断熱過程において、仕事の計算ができる。
5週 カルノー・サイクル カルノー・サイクルについて理解できて、熱効率の計算ができる。
6週 熱力学の第2法則 熱力学の第2法則と不可逆過程について理解できる。
7週 エントロピー エントロピーが状態量であることを理解し、簡単な計算ができる。
8週 前期中間試験 熱力学に関する問題を解くことができる。
2ndQ
9週 光の粒子性 光電効果と光子を理解できる。
10週 相対論的力学 相対論的エネルギーと運動エネルギーの関係を理解できる。
11週 光子の運動量・コンプトン効果 光子のエネルギーや運動量の保存則の式を書くことができる。
12週 原子の構造 ボーアの量子条件から、水素原子中の電子のエネルギーを計算できる。
13週 シュレディンガー方程式 光と物質波の波動方程式を書くことができる。
14週 箱の中の粒子 シュレディンガー方程式を用いた計算ができる。
15週 前期末試験 量子論に関する問題を解くことができる。
16週 復習 学習内容を確認する。
後期
3rdQ
1週 実験のガイダンス、誤差論 測定誤差の計算ができる。
2週 誤差論の講義 有効桁数が理解できる。
3週 目測系列の実験 測定誤差の計算ができる。
4週 講義 報告書が書ける。
5週 レーザーを用いたヤングの実験 光の干渉が理解できる。
6週 ヤング率の測定 ヤング率の測定ができる。
7週 講義 報告書が書ける。
8週 後期中間試験 有効数字を考慮しながら測定誤差が計算できる。
4thQ
9週 ニュートンリングの実験 レンズの曲率半径が測定できる。
10週 ケーター振り子による重力加速度の測定 ケーター振り子により重力加速度が測定できる。
11週 分光計による屈折率の測定 屈折率が測定できる。
12週 剛性率の測定 剛性率の測定ができる。
13週 β線の吸収実験 放射線を扱う場合の注意点を理解している。
14週 講義 実験結果をプレゼン発表できる。
15週 学年末試験 有効数字を考慮しながら測定誤差が評価できる。
16週 学年末までの復習 学年末までに習った内容について、自らの課題を認識し、修正できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3後10,後12
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3後10,後12
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後12
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前2,前8
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前1,前8
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前2,前8
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前3,前4,前8
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前2,前5,前8
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前6,前7,前8
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前5,前8
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後5
横波と縦波の違いについて説明できる。3後5
波の重ね合わせの原理について説明できる。3後5,後9
波の独立性について説明できる。3後5,後9
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3後5,後9
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3後9
ホイヘンスの原理について説明できる。3後5
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3後5,後9,後11
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3後1,後2
安全を確保して、実験を行うことができる。3後1,後2,後13
実験報告書を決められた形式で作成できる。3後1,後2,後4,後7,後14
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3後1,後2,後3,後4,後7,後14
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後6,後12
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後5,後11
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後5,後9,後11
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力0000000
専門的能力60000400100
分野横断的能力0000000