概要:
制御技術は物作りのための基本技術である.この制御に関する体系的な学問である制御工学は,いまや機械系・電機系・化学系・情報系など幅広い分野における基礎的学問として欠かせないものとなってきている.この科目は企業で生産技術に関する制御システムを担当していた教員が,その経験を活かし,古典制御全般について講義形式で授業を行うものある.本講ではシステムの伝達関数表現による古典制御理論に基づいて,ブロック線図から始め,最終的には簡単なシステムの制御系が設計できること目指している.
授業の進め方・方法:
座学中心で取り進めるが,理論の理解とあわせて工学的な応用が重要であるので,授業の4分の1程度は演習にあてる.しかし,授業のみでは十分な理解ができないこともあり,適宜課題レポート(自己学習)を行う.伝達関数に基づく古典制御理論は電気回路の交流理論が基礎となっている.複素数,正弦波の複素表現,複素計算法を十分復習しておくこと.また,昼休憩あるいは放課後であればいつでも質問を受け付けるので,質問のある学生は進んで松本研究室まで来てほしい.
また,次のような自学自習を60時間以上行うこと.
・授業内容を理解するため,予め配布したプリントや教科書で予習する.
・授業内容の理解を深めるため,復習を行う.
・課題を与えるので,レポートを作成する.
・定期試験の準備を行う.
注意点:
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス,システムの構成,信号の流れの表し方 |
システムの構成,信号の流れの表し方について説明できる.
|
2週 |
ブロック線図と等価変換,フィードバックの効果 |
ブロック線図と等価変換,フィードバックの効果説明できる.
|
3週 |
複素数の表現・複素数の加減乗除算,微分方程式と機械系と電気系の等価性 |
複素数の表現・複素数の加減乗除算について説明ができ,実際に演算ができる.微分方程式と機械系と電気系の等価性について説明できる.
|
4週 |
たたみ込み積分とシステムの応答,フーリエ変換とラプラス変換 ラプラス変換の諸定理(1) |
たたみ込み積分とシステムの応答について説明できる.フーリエ変換とラプラス変換について説明できる.ラプラス変換の諸定理について説明でき,実際に演算することができる.
|
5週 |
ラプラス変換の諸定理(2) 部分分数展開によるラプラス逆変換(1) |
ラプラス変換の諸定理について説明でき,実際に演算することができる. 部分分数展開によるラプラス逆変換について説明でき,実際に演算することができる.
|
6週 |
部分分数展開によるラプラス逆変換(2) 正弦波の複素表現と周波数応答,周波数伝達関数と交流回路の複素計算法(1) |
部分分数展開によるラプラス逆変換について説明でき,実際に演算することができる. 正弦波の複素表現と周波数応答について説明できる. 周波数伝達関数と交流回路の複素計算法について説明できる.
|
7週 |
正弦波の複素表現と周波数応答,周波数伝達関数と交流回路の複素計算法(2) 伝達関数(伝達関数の導出、伝達関数とブロック線図) |
正弦波の複素表現と周波数応答について説明できる. 周波数伝達関数と交流回路の複素計算法について説明できる. 伝達関数(伝達関数の導出、伝達関数とブロック線図)について説明できる.
|
8週 |
前期中間試験 |
1週から7週までの内容を再度確認し,その内容について説明できる.
|
2ndQ |
9週 |
基本伝達関数の性質(1) |
基本伝達関数の性質について説明できる.
|
10週 |
基本伝達関数の性質(2) 安定性,特性方程式(1) |
基本伝達関数の性質について説明できる. 安定性,特性方程式について説明できる.
|
11週 |
安定性,特性方程式(2) フルビッツの安定判別法(1) |
安定性,特性方程式について説明できる. フルビッツの安定判別法について説明できる.
|
12週 |
フルビッツの安定判別法(2) ナイキストの安定判別法(1) |
フルビッツの安定判別法について説明できる. ナイキストの安定判別法について説明できる.
|
13週 |
ナイキストの安定判別法(2) 安定余裕.速応性と定常特性(1) |
ナイキストの安定判別法について説明できる. 安定余裕について説明できる.システムの速応性と定常特性似ついて説明できる.
|
14週 |
速応性と定常特性(2) 定常偏差と制御系の型 |
定常偏差と制御系の型について説明できる. 速応性と定常特性について説明できる.
|
15週 |
前期期末試験 |
9週から14週までの内容を再度確認し,その内容について説明でき,実際に演算できる.
|
16週 |
復習 |
9週から14週までの内容を再度確認し,その内容について説明でき,実際に演算できる.
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 計測制御 | 自動制御の定義と種類を説明できる。 | 2 | 前1,前2,前8,前15,前16 |
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。 | 2 | 前1,前2,前8,前15,前16 |
基本的な関数のラプラス変換と逆ラプラス変換を求めることができる。 | 2 | 前4,前5,前6,前8,前14,前15,前16 |
ラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて微分方程式を解くことができる。 | 2 | 前4,前5,前6,前8,前14,前15,前16 |
伝達関数を説明できる。 | 2 | 前9,前10,前15,前16,後1,後2,後3,後8 |
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。 | 2 | 前2,前8,前9,前10,前15,前16,後1,後8 |
制御系の過渡特性について説明できる。 | 2 | 前2,前8,前10,前11,前14,前15,前16,後2,後3,後8,後12 |
制御系の定常特性について説明できる。 | 2 | 前2,前8,前14,前15,前16,後2,後3,後8,後12,後13 |
制御系の周波数特性について説明できる。 | 2 | 前3,前13,前14,前15,前16,後2,後3,後4,後8 |
安定判別法を用いて制御系の安定・不安定を判別できる。 | 2 | 前11,前12,前13,前14,前16,後5,後6,後7,後8,後9,後10 |