電気回路I

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電気回路I
科目番号 0022 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 【教科書】臼田昭司「例題で学ぶ はじめての電気回路」技術評論社 【参考書】鍛治幸悦・岡田新之介「新編電気工学講座7 電気回路(1)」コロナ社 他
担当教員 新田 陽一

到達目標

 電気回路の基本法則と諸定理を理解し,交流回路の簡単な計算法を習得する。
(1) オームの法則,キルヒホッフの法則を理解し,それを応用した回路計算ができる。
(2) 重ね合わせの理,テブナンの定理などの諸定理を理解し,それを応用した回路計算ができる。
(3) 三角関数と微積分によるRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算ができる。
(4) 複素数(フェーザ)を使ったRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算,図解ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
オームの法則,キルヒホッフの法則をよく理解しており,応用的な回路の計算ができる。オームの法則,キルヒホッフの法則を概ね理解しており,基本的な回路の計算ができる。オームの法則,キルヒホッフの法則を理解しておらず,基本的な回路の計算ができない。
重ね合わせの理,テブナンの定理などの諸定理をよく理解しており,応用的な回路の計算ができる。重ね合わせの理,テブナンの定理などの諸定理を概ね理解しており,基本的な回路の計算ができる。重ね合わせの理,テブナンの定理などの諸定理を理解しておらず,基本的な回路の計算ができない。
三角関数と微積分による応用的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算ができる。三角関数と微積分による基本的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算ができる。三角関数と微積分による基本的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算ができない。
複素数(フェーザ)を使った応用的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算,図解ができる。複素数(フェーザ)を使った基本的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算,図解ができる。複素数(フェーザ)を使った基本的なRLC交流回路の電圧,電流,電力の計算,図解ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 電気回路は電磁気学とともに電気工学の最も基本となる科目であり,高学年における種々の専門科目の基礎となる。本講では,まず直流回路において回路の基本的な解析法や諸定理を学ぶ。そして数学の進捗状況にあわせて,三角関数や微積分の計算が必用となる交流回路へと発展させ,交流回路特有の現象とその解析法について学ぶ。
 この科目は企業で小型精密モータ開発を担当していた教員がその経験を活かし、実務的な例を紹介しながら電気回路の基礎的な考え方について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
 授業は【小テスト:15分】【講義:30分】【質疑応答:5分】【講義:30分】【まとめ:10分】を標準構成とする。
 理解度の確認と理解の促進を目的として,「前回の内容」に関する小テストを実施する。資料用紙1枚の持ち込みを認めるので,要点や必要と思われる事項を整理してくること。
 講義はプリントを配布した上で,プレゼンテーションツールを使って行う。基本的な内容に的を絞るので,自分で教科書や参考書を読むなど,理解の幅を広げてほしい。講義中や質疑応答時間などを利用して積極的に質問し,不明・不安な点を残さないように努めること。
 出欠の記録を兼ねてシャトルカードを用意する。質問事項や感想を記入して,授業内容の理解や授業改善に活用してもらいたい。
 オフィスアワーは具体的な時間帯は設定せず,休憩時間・放課後に研究室(E科棟3F)へ来室すれば,用事のない限りいつでも質問や補講に応じる(いつでもオフィスアワー)。簡単な内容であればTeamsのチャットでも構わない。また,試験情報や講義資料もTeamsを参照のこと。
注意点:
 授業の到達目標の達成度,および基礎的な事項の理解度やそれを応用する能力の習得状況をみる。成績は定期試験 (70%),小テスト(30%)を基本として評価する。
 定期試験や小テストは正しく解答することが大前提であるが,間違っていても解法の説明があればその内容を勘案して部分点を与える。定期試験の再試は行わないので(小テストが再試代わり),毎回の試験に全力を注ぐこと。
 また,学校の勉強は結果だけが全てではなく,真摯に取り組む姿勢も重要である。授業によく集中し,積極性をもって臨むこと。
 成績は四半期ごとに算出し,それまでの成績の累積平均をその時点の評価とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンス,電気回路概説 授業の進め方を理解し,電気回路の基礎事項(電荷・電圧・電流・各種素子など)や直流と交流の違いについて説明できる。
2週 オームの法則と直列回路 オームの法則を理解し,電圧・電流・抵抗の計算ができる。直列回路の特徴と合成抵抗を理解し,分圧比の計算ができる。
3週 並列回路 並列回路の特徴を理解し,分流比の計算ができる。直並列回路,並直列回路の計算ができる。
4週 キルヒホッフの第1法則 キルヒホッフの第1法則,および節点電位を理解し,枝電流法(節点解析法)による回路計算ができる。
5週 キルヒホッフの第2法則 キルヒホッフの第2法則を理解し,網目電流法(閉路解析法)による回路計算ができる。
6週 重ね合わせの定理 重ね合わせの定理を理解し,これに従った回路計算ができる。また,電圧源と電流源を理解し,混在回路の計算ができる。
7週 総合演習:直流回路解析 前期第1週〜第6週の内容について,総合的な問題を解くことができる。
8週 前期中間試験 前期第1週〜7週の内容について,種々の問題に対応できる。
2ndQ
9週 テブナンの定理とノルトンの定理 テブナンの定理とノルトンの定理を理解し,回路の等価電源への変換と,定理を利用した計算ができる。
10週 相反の定理と補償の定理 相反の定理と補償の定理を理解し,定理を応用した回路の計算ができる。
11週 正弦波交流 正弦波交流の成り立ちを理解し,各種パラメータ(振幅,周期,初期位相など)の読み取りや波形の描画ができる。
12週 電気回路で使う微分積分 微分と積分の概念と電気回路での必要性を理解し,簡単な関数の演算ができる。定積分のやり方を理解し,波形の面積計算ができる。
13週 R回路と平均値・実効値・電力 正弦波起電力に対するR回路の特徴を理解し,瞬時電力の計算ができる。平均値・実効値の概念を理解し,その計算ができる。
14週 L回路と無効電力 正弦波起電力に対するL回路の特徴を理解する。リアクタンスと無効電力を理解し,これらの計算ができる。
15週 前期期末試験 前期第9週〜14週の内容について,種々の問題に対応できる。
16週 復習など 前期の内容について,自らの課題を認識し修正できる。
後期
3rdQ
1週 C回路 正弦波起電力に対するC回路の特徴と無効電力を理解し,各種の計算ができる。
2週 RL直列回路 正弦波起電力に対するRL直列回路の特徴と単振動の合成を理解し,電流・電力やインピーダンスの計算ができる。
3週 RC直列回路 正弦波起電力に対するRC直列回路の特徴と力率・皮相電力を理解し,これらの計算ができる。
4週 RLC直列回路 正弦波起電力に対するRLC直列回路の特徴を理解し,インピーダンスの変化について説明・計算ができる。
5週 複素数の計算 複素数の概念と2つの表示方法(直交座標,極座標)を理解し,相互変換と四則演算ができる。
6週 フェーザを用いる解析 正弦波交流の瞬時値とフェーザの関係を理解し,相互変換とフェーザによる回路計算ができる。
7週 総合演習:フェーザによる回路解析 複素インピーダンスを理解し,フェーザによる各種の回路計算ができる。
8週 後期中間試験 後期第1週〜7週の内容について,種々の問題に対応できる。
4thQ
9週 フェーザ図 フェーザ図について理解し,電圧・電流の関係を描くことができる。
10週 アドミタンス アドミタンスを理解し,各種パラメータ(レジスタンス,リアクタンスなど)との関係を説明できる。また,その値を計算できる。
11週 交流回路における直列接続 フェーザを利用して,分圧比など,交流直列回路の計算ができる。
12週 交流回路における並列接続 フェーザを利用して,分流比など,交流直列回路の計算ができる。
13週 ブリッジ回路 交流ブリッジの平衡条件を導出し,平衡時のフェーザ図を描くことができる。
14週 複素電力 複素電力の考え方を理解し,皮相電力・有効電力・無効電力の計算ができる。
15週 学年末試験 後期第9週〜14週の内容について,種々の問題に対応できる。
16週 復習など 後期の内容について,自らの課題を認識し修正できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。3前1,前7
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。3前2,前3,前7
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。3前4,前5,前7
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。3前2,前3,前7
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。3前4,前5,前7
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。3前2,前7
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。3前11,前15
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。3前13,前15
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3後6,後7
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。3前13,前14,後1,後2,後3,後4
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。3前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。3後6,後7,後9
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。3後10,後15
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。3後15
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。3後11,後12,後15
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。3後2,後3,後4,後14,後15
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。3前6,前7
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3前5,前7
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3前4,前7
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3前9

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000