信号処理

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 信号処理
科目番号 0070 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 【教科書】久保田彰・神野健哉・陶山健仁・田口亮「基本からわかる信号処理講義ノート」オーム社 【参考書】濱田望「よくわかる信号処理」オーム社,Hwei P Hsu「マグロウヒル大学演習 信号処理(I),(II)」オーム社,三上直樹「ディジタル信号処理の基礎 はじめて学ぶディジタルフィルタとFFT」CQ出版 他
担当教員 新田 陽一

到達目標

 ディジタル信号処理の基礎知識を理解し,各種の特性解析や簡単な設計法を習得する。
(1) サンプリングの基礎知識を理解し,信号の離散化に伴う諸現象や,連続系との類似点・相違点を説明できる。
(2) 離散フーリエ変換,z変換などの離散系の解析法を理解し,システムの応答や特性解析に応用できる。
(3) FIR・IIRフィルタについて,特徴の説明や,特性解析・設計ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
サンプリングの基礎知識を十分に理解し,信号の離散化に伴う諸現象や,連続系との類似点・相違点を詳しく説明できる。サンプリングの基礎知識を概ね理解し,信号の離散化に伴う諸現象や,連続系との類似点・相違点をひととおり説明できる。サンプリングの基礎知識を理解しておらず,信号の離散化に伴う諸現象や,連続系との類似点・相違点を説明できない。
離散フーリエ変換,z変換などの離散系の解析法を十分に理解し,システムの応答や特性解析に応用できる。離散フーリエ変換,z変換などの離散系の解析法を概ね理解し,基本的なシステムの応答や特性解析に応用できる。離散フーリエ変換,z変換などの離散系の解析法を理解しておらず,基本的なシステムの応答や特性解析に応用できない。
FIR・IIRフィルタについて,詳しい特徴の説明や,特性解析・設計ができる。アナログフィルタ,FIR・IIRフィルタについて,基本的な特徴の説明や,簡単な特性解析・設計ができる。アナログフィルタ,FIR・IIRフィルタについて,基本的な特徴の説明や,簡単な特性解析・設計ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-4 説明 閉じる
JABEE d1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 現在,電気・電子・情報分野に限らず,信号処理は必要不可欠な技術となっている。本科目では,離散系(ディジタル系)特有の現象や特性を理解し,基本的なディジタル信号処理システムの解析・設計が行えるようになることを目標とする。
 この科目は企業で小型精密モータ開発を担当していた教員がその経験を活かし、実務的な例を紹介しながら信号処理の基礎的な考え方について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
 授業は【小テスト:15分】【講義:30分】【質疑応答:5分】【講義:30分】【まとめ:10分】を標準構成とする。
 理解度の確認と理解の促進を目的として,「前回の内容」に関する小テストを実施する。資料用紙1枚の持ち込みを認めるので,要点や必要と思われる事項を整理してくること。
 講義はプリントを配布した上で,プレゼンテーションツールを使って行う。基本的な内容に的を絞るので,自分で教科書や参考書を読むなど,理解の幅を広げてほしい。講義中や質疑応答時間などを利用して積極的に質問し,不明・不安な点を残さないように努めること。
 出欠の記録を兼ねてシャトルカードを用意する。質問事項や感想を記入して,授業内容の理解や授業改善に活用してもらいたい。
 オフィスアワーは具体的な時間帯は設定せず,休憩時間・放課後に研究室(E科棟3F)へ来室すれば,用事のない限りいつでも質問や補講に応じる(いつでもオフィスアワー)。簡単な内容であれば携帯電話等からのメールでも構わない。また,試験情報や講義資料は以下のURLを参照のこと。
 ●参考URL: http://yonago-k-nitta.sub.jp/
 また,次のような自学自習を60時間以上行うこと。
・教科書の前半,第1章〜第3章の連続系に関する部分を読む。
・小テストに備えて授業内容を資料用紙にまとめる。
・授業内容の理解を深めるため,ノート(配布プリント)の記載内容の整理など,復習を行う。
・定期試験の準備を行う。過去の問題はHPにて公開しているので,これを解いてみる。
注意点:
 連続系に関する基礎知識はあるものとして授業を進めるので、フーリエ級数展開、フーリエ変換、ラプラス変換、伝達関数(4年次:応用数学、5年次:制御工学)の内容をよく理解しておくこと。また,必要に応じて教科書の該当部分を読んでおくこと。
 授業の到達目標の達成度,および基礎的な事項の理解度やそれを応用する能力の習得状況をみる。成績は定期試験 (70%),小テスト(20%),課題:資料作成(10%)を基本として評価する。
 定期試験や小テストは正しく解答することが大前提であるが,間違っていても解法の説明があればその内容を勘案して部分点を与える。定期試験の再試は行わないので(小テストが再試代わり),毎回の試験に全力を注ぐこと。
 また,学校の勉強は結果だけが全てではなく,真摯に取り組む姿勢も重要である。授業によく集中し,積極性をもって臨むこと。
 成績は四半期ごとに算出し,それまでの成績の累積平均をその時点の評価とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス,サンプリング1 授業の進め方を理解する。A/D変換の仕組みや離散化の影響,サンプリング定理について説明できる。
2週 サンプリング2 サンプリングについて理解を深め,アップサンプリング,ダウンサンプリング時の特性変化を説明できる。
3週 量子化とA/D・D/A変換 量子化の仕組みと量子化誤差,D/A変換の仕組みを説明できる。
4週 離散時間フーリエ変換:DTFT DTFTの定義・性質を理解し,信号処理で使われる関数について具体的な計算ができる。
5週 離散フーリエ変換:DFT DFTの定義・性質を理解し,具体的な計算ができる。
6週 高速フーリエ変換:FFT FFTの仕組みを理解し,説明ができる。
7週 z変換 z変換の定義・性質を理解し,信号処理で使われる関数について具体的な計算ができる。
8週 後期中間試験 後期第1週〜7週の内容について,種々の問題に対応できる。
4thQ
9週 離散時間システムの時間応答 離散時間たたみ込みについて説明と具体的な計算ができる。電気回路をモデルに微分方程式の差分方程式化ができる。
10週 離散時間システムの周波数応答 差分方程式から離散伝達関数への変換法を理解し,z変換を用いた解析ができる。
11週 離散時間システムの伝達関数 離散時間系の周波数特性について理解し,極配置と安定性について説明できる。
12週 アナログフィルタ フィルタの基礎事項を理解し,バタワース型,チェビシェフ型の特性・特徴が説明できる。
13週 ディジタルフィルタの構成 ディジタルフィルタの考え方・基本特性を理解し,FIR&IIRの特徴を説明できる。
14週 FIR・IIRフィルタの設計 FIR・IIRの構成法を理解し,説明できる。
15週 学年末試験 後期第9週〜14週の内容について,種々の問題に対応できる。
16週 復習など 後期の内容について,自らの課題を認識し修正できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90000010100
基礎的能力4500001055
専門的能力450000045
分野横断的能力0000000