電子物性

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子物性
科目番号 0023 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 松澤剛雄 他「電子物性」森北出版
担当教員 角田 直輝

到達目標

1. 結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できる。
2. 量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を様々な応用例に適用できる。結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を限定的に応用例に適用できる。結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づき、半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できない。
評価項目2量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を様々な応用例に適用できる。量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を限定的に応用例に適用できる。量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-4 説明 閉じる
JABEE d1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 高度情報社会の現代において,電子デバイスはコンピュータ,通信端末,自動車,ロボットなどあらゆる電気機器に搭載されており,我々が意識しようとしまいとその機能を享受している.
種々の電子デバイスの高性能化・高機能化のために、絶えず新材料や新構造が開発され、また寸法の微細化が進められている。
このような電子デバイス素子の動作原理の理解や新規デバイスの開発のためには、金属や半導体など固体中の電子の振る舞いを微視的な観点から理解することが重要となる。
 授業内容は大まかに原子の結晶構造からはじまり、電子の波としての性質を理解するための量子力学の基礎を経て、固体のエネルギーバンド理論へ至る。
続いて,半導体,誘電体など電子の振る舞いと深く関連する固体の物性について扱い、最後に量子力学的効果を利用した先端デバイスについて紹介する。
授業の進め方・方法:
授業はスライドと板書を組み合わせて行う。資料は適宜配布する。
まとまった単元の終了後に小テストを行うので、直近の授業の復習をしっかり行ってほしい。

重要な内容については比較的ゆっくりと扱う一方、電子デバイスや電磁気学などの既学習内容についてはさらりと扱う。
毎回の授業のはじめには、現在の学習内容が電子物性の大きな流れの中でどのような位置づけなのかを説明するので、前後の授業内容の繋がりを意識してほしい。

学生への質問の投げかけを積極的に行いながら授業を進める。
授業中に重要事項を口頭ないし板書で強調するので、聞き漏らさないこと。メモを取ること。

定期試験前には対策問題を配布するので、復習に活用すること。
本授業は履修単位であるから、学生が主体的に自習時間を設け、学習を進めることが肝要である。

<質問>
質問は適宜応じるので、気軽に問い合わせること。研究室または電子デバイス実験室に居ることが多い。
e-mail: kakuda@yonagio-k.ac.jp(角田メールアドレス)
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明,電子物性の紹介 電子物性の概要を把握できる
2週 結晶構造I 結晶構造と電子の関係について説明できる
3週 結晶構造II 結晶構造と電子の関係について説明できる
4週 X線回折と結晶構造 X線回折と結晶構造について説明できる
5週 格子振動I 結晶の性質に基づき、格子振動について説明できる
6週 格子振動II 結晶の性質に基づき、格子振動について説明できる
7週 格子振動II 結晶の性質に基づき、格子振動について説明できる
8週 前期中間試験 前期中間試験までの学習内容の到達度を確認できる
2ndQ
9週 固体の熱的性質(比熱理論)I 結晶の性質に基づき、固体の熱的性質について説明できる
10週 固体の熱的性質(比熱理論)II 結晶の性質に基づき、固体の熱的性質について説明できる
11週 古典的電子伝導モデル 古典的電子伝導モデルについて説明できる
12週 量子力学の基礎I:粒子性と波動性,不確定性原理 量子力学の基礎(粒子性と波動性,不確定性原理)について説明できる
13週 量子力学の基礎II:シュレディンガー方程式 量子力学の基礎(シュレディンガー方程式)について説明できる
14週 量子力学の基礎III:井戸型ポテンシャル 量子力学の基礎(井戸型ポテンシャル)について説明できる
15週 量子力学の基礎IV:トンネル効果,水素原子の周りを回る電子の波動関数 量子力学の基礎(トンネル効果,水素原子の周りを回る電子の波動関数)について説明できる
16週 前期期末試験 前期期末試験までの学習内容の到達度を確認できる
後期
3rdQ
1週 固体のエネルギーバンド理論I:金属の自由電子モデル 固体のエネルギーバンド理論(金属の自由電子モデル)について説明できる
2週 固体のエネルギーバンド理論II:金属の電子密度分布 固体のエネルギーバンド理論(金属の電子密度分布)について説明できる
3週 固体のエネルギーバンド理論III:クローニッヒ・ペニーモデル 固体のエネルギーバンド理論(クローニッヒ・ペニーモデル)について説明できる
4週 固体のエネルギーバンド理論IV:結晶中電子の運動 固体のエネルギーバンド理論(結晶中電子の運動)について説明できる
5週 金属・半導体・絶縁体の違い エネルギーバンド理論に基づいて金属・半導体・絶縁体の違いを説明できる
6週 ホール効果・pn接合ダイオード・トランジスタ エネルギーバンド理論に基づいてpn接合ダイオードについて説明できる
7週 後期中間試験 後期中間試験までの学習内容の到達度を確認できる
8週 固体の光学的性質I エネルギーバンド図を用いた固体の光学的性質および光学デバイスについて説明できる
4thQ
9週 固体の光学的性質II エネルギーバンド図を用いた固体の光学的性質および光学デバイスについて説明できる
10週 固体の光学的性質II エネルギーバンド図を用いた固体の光学的性質および光学デバイスについて説明できる
11週 誘電体I 結晶構造に基づいて誘電体を理解し、誘電体デバイスについて説明できる
12週 誘電体II 結晶構造に基づいて誘電体を理解し、誘電体デバイスについて説明できる
13週 固体の量子効果I 固体の量子効果および量子効果を用いた半導体デバイスについて説明できる
14週 固体の量子効果II 固体の量子効果および量子効果を用いた半導体デバイスについて説明できる
15週 授業の総ざらい 電子物性の学習内容を俯瞰し、到達度の低い学習内容を復習できる
16週 学年末試験 学年末試験までの学習内容の到達度を確認できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2,前3,前8,後15
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3後6,後15
原子の構造を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,後11,後12,後15,後16
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前2,前3,前8,後15
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前9,前10,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後4,後5,後7,後15,後16
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前5,前6,前7,前8,前11,前16,後5,後7,後13,後14,後15,後16
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3後5,後6,後7,後8,後9,後10,後13,後14,後15,後16
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3後5,後6,後7,後8,後9,後10,後13,後14,後15,後16
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3後6,後7,後8,後9,後10,後13,後14,後15,後16

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000