電子物性

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 電子物性
科目番号 0079 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 竹内淳「高校数学でわかる半導体の原理」講談社、参考:松澤剛雄 他「電子物性」森北出版
担当教員 角田 直輝

到達目標

1. エネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できる
2. 量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できる
3. 電子制御工学における電子物性の位置づけを確認し、科目を学ぶ意義・重要性を説明できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を様々な応用例に適用できる。結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を限定的に応用例に適用できる。結晶構造の観点でのエネルギーバンド理論の基礎に基づき、半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できない。
評価項目2量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を様々な応用例に適用できる。量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を限定的に応用例に適用できる。量子力学の基礎に基づいて半導体デバイスにおける電子物性を説明でき、知識を応用例に適用できない。
評価項目3電子制御工学における電子物性の位置づけを確認し、科目を学ぶ意義・重要性を十分説明できる電子制御工学における電子物性の位置づけを確認し、科目を学ぶ意義・重要性をある程度説明できる電子制御工学における電子物性の位置づけを確認できない、かつ科目を学ぶ意義・重要性を説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-4 説明 閉じる
JABEE d1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 高度情報社会の現代において、電子デバイスはコンピュータ、通信端末、自動車、ロボットなどあらゆる電気機器に搭載されており、我々が意識しようとしまいとその機能を享受している。
種々の電子デバイスの高性能化・高機能化のために、絶えず新材料や新構造が開発され、また寸法の微細化が進められている。
このような電子デバイス素子の動作原理の理解や新規デバイスの開発のためには、金属や半導体など固体中の電子の振る舞いを微視的な観点から理解することが重要となる。
 授業内容は原子の結晶構造からはじまり、電子の波としての性質を理解するための量子力学の基礎を経て、固体のエネルギーバンド理論へ至る。
続いて,半導体,誘電体など電子の振る舞いと深く関連する固体の物性について扱い、最後に量子力学的効果を利用した先端デバイスについて紹介する。
授業では、上記の授業内容を大まかに理解する。
授業の進め方・方法:
授業はスライドと板書を組み合わせて行う。資料は適宜配布する。

定期試験前には対策問題を配布するので、復習に活用すること。
本授業は学修単位であるから、学生が主体的に自習時間を設けて学習を進めることが肝要である。

 また,次のような自学自習を60時間以上行うこと。
 ・授業内容を理解するため、予め配布したプリントや教科書で予習する
 ・授業内容の理解を深めるため、復習を行う
 ・課題を与えるので、レポートを作成する
 ・定期試験の準備を行う

質問は適宜応じるので、気軽に問い合わせること。研究室または電子デバイス実験室に居ることが多い。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、結晶、エネルギーバンド、電子のエネルギー、キャリア(1) 授業の到達目標について確認できる。また、結晶、エネルギーバンド、電子のエネルギー、キャリアについて説明できる
2週 結晶、エネルギーバンド、電子のエネルギー、キャリア(2) 結晶、エネルギーバンド、電子のエネルギー、キャリアについて説明できる
3週 キャリア密度、電子の状態密度、フェルミ・ディラック分布関数(1) キャリア密度、電子の状態密度、フェルミ・ディラック分布関数について説明できる
4週 キャリア密度、電子の状態密度、フェルミ・ディラック分布関数(1) キャリア密度、電子の状態密度、フェルミ・ディラック分布関数について説明できる
5週 真性半導体と外因性(不純物)半導体 真性半導体と外因性(不純物)半導体について説明できる
6週 半導体の電気伝導-ドリフト電流と拡散電流、連続の式、ホール効果 半導体の電気伝導-ドリフト電流と拡散電流、連続の式、ホール効果について説明できる
7週 中間試験 中間試験までの学習内容の到達度を確認できる
8週 試験返却・講評・復習、pn接合とショットキー接触(接合)(1) 学習内容の到達度を確認できる。また、pn接合とショットキー接触(接合)について説明できる
4thQ
9週 pn接合とショットキー接触(接合)(2) pn接合とショットキー接触(接合)について説明できる
10週 トランジスタの歴史、バイポーラトランジスタの構造、増幅原理(1) トランジスタの歴史、バイポーラトランジスタの構造、増幅原理について説明できる
11週 トランジスタの歴史、バイポーラトランジスタの構造、バイポーラトランジスタの増幅原理(2) トランジスタの歴史、バイポーラトランジスタの構造、バイポーラトランジスタの増幅原理について説明できる
12週 MOS構造、MOSFETの増幅原理 MOS構造、MOSFETの増幅原理について説明できる
13週 光デバイス(発光デバイス・受光デバイス・レーザー)とナノテクノロジー(1) 光デバイス(発光デバイス・受光デバイス・レーザー)とナノテクノロジーについて説明できる
14週 光デバイス(発光デバイス・受光デバイス・レーザー)とナノテクノロジー(1) 光デバイス(発光デバイス・受光デバイス・レーザー)とナノテクノロジーについて説明できる
15週 期末試験 期末試験までの学習内容の到達度を確認できる
16週 試験返却・講評・復習 学習内容の到達度を確認できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2,前3,前8,後2,後3,後8,後16
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3後2,後3,後6,後8,後16
原子の構造を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,後2,後3,後8,後16
パウリの排他律を理解し、原子の電子配置を説明できる。3前2,前3,前8,後2,後3,後8,後16
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。3前9,前10,前12,前13,前14,前15,前16,後2,後3,後4,後5,後8,後16
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前5,前6,前7,前8,前11,前16,後7,後8,後16
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3後6,後8,後9,後10,後16
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3後2,後3,後8,後9,後10,後16
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3後9,後10,後16
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。3
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000