日本語表現法

科目基礎情報

学校 米子工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 日本語表現法
科目番号 0030 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 なし(配布プリントのみ)
担当教員 辻本 桜介

到達目標

1.日本語の単語について、明治~現代における使用実態を調査し、変化の状況をも克明に捉えた上で、現代での一般的な使用実態を知り、実生活に生かすことができる。
2.日本語の単語に関して突き止めた事実について、他者に向けて、問題意識から説き起こし、調査の過程の妥当性を説明できる。
3.日本語に関する議論を他の者と行い、より望ましい結論を得られる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
日本語の単語について疑問を持ったとき、幅広く明治期~現代に至る使用実態を調査し、変化の状況をも克明に捉えた上で、現代での一般的な使用実態を知り、実生活に生かすことができる。日本語の単語について疑問を持ったとき、辞書を引くだけでなく、実例を確認して使用実態を知り、それを実生活に用いることができる。日本語の単語について疑問を持ったとき、せいぜい手持ちの電子辞書を引く程度のことしかできず、根拠の無い語源説や、誤った俗説などに踊らされてしまう。
日本語の単語に関して突き止めた事実について、問題意識から説き起こし、調査の過程を説明し、分析と考察の結果を明確に示すことができる。日本語の単語に関して突き止めた事実を、概ね他者に分かるように説明できる。日本語の単語に関して何らか突き止めた事実があったとしても、それを不分明な形ないしは曖昧な形でしか提示することができず、結果、聞き手を困惑させ、いたずらに時間を浪費してしまう。
日本語に関して他の者と充実した議論を行う中で、自分一人では決して到達しえなかった新たな捉え方に達している。日本語に関する疑問点を他の者と共有して話し合い、一応の結論と言えそうなものを得ることができる。日本語に関する疑問点があっても、他者とそれを共有できず、噛み合わない話し合いに終始するか、そもそも話し合いというべきものに発展させることすらできずにいる。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 A-2 説明 閉じる
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教育方法等

概要:
受講者は、日本語の単語を1つ以上取り上げ、検索プログラムを用いてその実例調査を行ない、どのような使い方の語であるかを分析し報告する。調査対象とする資料は、明治~現代の諸資料である。これにより、『広辞苑』等の記述を無批判に“正しい”と考えることが完全な誤りであることや、語の意味や用法が時間の流れとともに変化を遂げていて当然であることなどを、認識する。
この科目で授業担当者が求めるのは、次の2点である。
①【言語生活に役立つ実用的な技術を身につける】自らの日本語の望ましい姿がいかなるものかを知るには、『広辞苑』をめくるだけでは明らかに不十分である。クイズ番組のまやかしの語源紹介などはむしろ害にさえなりうる。必要なのは、日本人の実生活で用いられた日本語の実態を調べることであり、そうして突き止めた事実こそが実用するに値する。受講者の全員がそれをできるようになること。
②【高等教育機関の課程を修了した人間としての矜持を持つ】人間そのものについての科学的研究を学び実践するのは、高等教育機関に所属する者のみに許された崇高な営為であり、そうした自己省察をするのは人間のみである。これを経験した事実そのものが、人間としての誇りになる。逆に言えば、人文科学を知らない者は人間としての誇りを他に求めるしかないのだが、そのために、例えば、単に特定の文化を愛でるだけならば、それはただ快楽を求める行為に他ならない。これでは、人間以外の動物の、原始的な本能と本質的な相違は無いだろう。人文科学はそういった単なる快楽とは異なり、自身の思考を自ら批判的に見直したり、限界まで思考を深めたりといった、苦しさを伴うものである。受講者の全員が、そうした過程によってのみ得られる、人間としての誇りを得ること。
授業の進め方・方法:
初回・第2回・第3回(・足りなければ第4回)は、明治~現代の日本語の用例調査と分析の方法を、実践例とともに紹介する。第4回からは、予め割り振った順序で、受講者が一人ひとり研究発表を行なう。発表時間は質疑応答を含めて25分程度とする。研究内容としては、日本語の何らかの単語を取り上げ、明治~現代における使用実態を調査・分析すること以外には特に指定しない。江戸時代以前の日本語についても調べたい場合は、個別に相談に応じる。発表にはパワーポイントを用いることとし、それを印刷したものを出席者に配布する。そのため、発表日より何日か前の日に、発表用データを提出してもらう(印刷と配布は授業担当者が行う)。発表者は、出席者や授業担当者との質疑応答を踏まえ、改善すべき点を改善したものをレポートとしてまとめ、授業最終日までに提出することとする。出席者には、毎時、評価シートを配布し、発表者を詳細に評価してもらう。
従って、授業時間以外に次のような自主学習・活動を60時間以上行なうことが必要となる。
・初回から数回に分けて授業で説明する日本語の調査方法の理解
・日本語の使用実態の調査と分析、及び発表資料の作成
・レポートの作成
・試験等の準備
注意点:
グループ発表ではなく、個人での研究発表である。この点は人文系の流儀かもしれないが、研究・発表の全ての過程を自己責任で行なう経験は、貴重なものとなるはずである。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス/発表順序割り振り 日本語の単語の実例を調査することの実用性・必要性を知る。
2週 現代日本語の研究方法の紹介 国語辞典や先行研究を探る手続きと、現代語の各種の資料を用いた用例調査の手法を知る。
3週 近代日本語(明治~終戦頃)の研究方法の紹介 明治期~終戦頃の日本語(近代語)を研究するための資料の扱い方を知る。
4週 調査方法の説明 コーパスの使用方法や、電子テキストの集め方、用例検索のしかたを知る。
5週 確認テスト 近現代の日本語の使用状況を調べる方法や、その意義を総合的に理解している。
6週 受講者による発表① 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
7週 受講者による発表② 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
8週 受講者による発表③ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
2ndQ
9週 受講者による発表④ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
10週 受講者による発表⑤ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
11週 受講者による発表⑥ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
12週 受講者による発表⑦ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
13週 受講者による発表⑧ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
14週 受講者による発表⑨ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
15週 受講者による発表⑩ 用例調査・分析・結論の過程を実践し、それを他の者に伝え意見を請う段階に達している。
16週 試験(予備日) 近現代の日本語の使用状況を調べる方法や、その意義を総合的に理解している。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語論理的な文章(論説や評論)の構成や展開を的確にとらえ、要約できる。4
論理的な文章(論説や評論)に表された考えに対して、その論拠の妥当性の判断を踏まえて自分の意見を述べることができる。4
文学的な文章(小説や随筆)に描かれた人物やものの見方を表現に即して読み取り、自分の意見を述べることができる。4
常用漢字の音訓を正しく使える。主な常用漢字が書ける。4
類義語・対義語を思考や表現に活用できる。4前1,前16
社会生活で使われている故事成語・慣用句の意味や内容を説明できる。4前16
専門の分野に関する用語を思考や表現に活用できる。4前1,前2,前3,前16
実用的な文章(手紙・メール)を、相手や目的に応じた体裁や語句を用いて作成できる。4
報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。4前2,前3,前16
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。4前2,前3,前16
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。4前2,前3,前16
作成した報告・論文の内容および自分の思いや考えを、的確に口頭発表することができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
課題に応じ、根拠に基づいて議論できる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
相手の立場や考えを尊重しつつ、議論を通して集団としての思いや考えをまとめることができる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
新たな発想や他者の視点の理解に努め、自分の思いや考えを整理するための手法を実践できる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。5前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。5前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。5前2,前3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者の意見を聞き合意形成することができる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
合意形成のために会話を成立させることができる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。5前2,前3,前16
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。5前2,前3,前16
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。5前2,前3,前16
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。5前2,前3,前16
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。5前2,前3,前16
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。5前2,前3,前16
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる5前2,前3,前16
複数の情報を整理・構造化できる。5前2,前3,前16
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。5前2,前3,前16
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。5前2,前3,前16
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。5前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
事実をもとに論理や考察を展開できる。5前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。5前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験発表(レポート)相互評価態度ポートフォリオ小テスト合計
総合評価割合2050200010100
基礎的能力0101000020
専門的能力20300001060
分野横断的能力0101000020