流体工学III

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 流体工学III
科目番号 0048 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:学生のための流体力学入門,高尾ほか5名(パワー社)    ターボ機械-入門編―【新改訂版】(日本工業出版)参考書:流体工学および流体機械に関する全ての書籍
担当教員 高尾 学,山根 清美

到達目標

流体力学(1)損失を考慮したベルヌーイの式,ダルシー・ワイスバッハの式を理解し,説明できる。
(2)ニュートンの粘性の法則を理解し,説明できる。
(3)管内の力のつり合い式、および円管内の層流の流速分布を理解し,説明できる。
(4)ハーゲン・ポアズイユの法則を理解し,説明できる。
(5)レイノルズ゙数の意味と用途を理解し,説明できる。
(6)境界層を理解し,説明できる。
(7)円管内の乱流の流速分布を理解し,説明できる。
(8)管路の損失ヘッドと水力勾配線を理解し,説明できる。
流体機械(9)ターボ機械の分類や特徴,作動原理について理解し,説明できる.
(10)ターボ機械の構成要素と内部流れについて理解し,説明できる.
(11)ターボ機械の性能や運転について理解し,説明できる.
(12)代表的なターボ機械の種類や特徴について理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1粘性が流れに及ぼす影響について正しく説明できる。粘性が流れに及ぼす影響について説明できる。粘性が流れに及ぼす影響について説明できない。
評価項目2流体の流速と菅摩擦係数に関する特性式を正しく説明できる。流体の流速と菅摩擦係数に関する特性式をある程度説明できる。流体の流速と菅摩擦係数に関する特性式を説明できない。
評価項目3ターボ機械の構造と性能が正しく説明できるターボ機械の構造と性能がある程度説明できるターボ機械の構造と性能が説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 M1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義は、企業において実務経験、共同研究経験のある教員が流体力学とそれを用いた流体機械に関する講義を行う。「流体力学」の分野では、流体の粘性が流れに影響を及ぼす現象を中心に授業を行う。概ね以下の順序で授業を進行する。(1)粘性の影響は管壁に出る。/(2)粘性は圧力を損失させる。/(3)粘性は、流れの状態(層流と乱流)に影響し,レイノルズ数Reで判断する。/(4)層流の流速分布。/(5)乱流の流速分布。/(6)境界層内の流速分布。
「流体機械」の分野は、工業的に重要であるターボ形流体機械(以下、ターボ機械)の理解に主眼を置いて、ターボ機械の分類、作動原理、性能など、ターボ機械の一般的な知識と理論、運転特性や運転時に発生する諸現象について解説する。また代表的なターボ機械(ターボポンプ、ターボ送風機、水車,風車など)についての概略を解説する。本科目の履修によって、流体力学やターボ機械の基礎知識を理解し、それらに関する演習問題を解くことができる。
授業の進め方・方法:
定期試験:
「流体力学」の範囲は中間試験で,到達目標(1)~(8)を評価する.評価割合40%とする.
「流体機械」の範囲は期末試験で,到達目標(9)~(12)を評価する.評価割合40%とする.
課題など:全ての到達目標を評価する.課題未提出者は欠席と判断する.
「流体力学」の範囲は評価割合10%とする.
「流体機械」の範囲は評価割合10%とする.
合否判定:定期試験と課題の評価により,総合成績が60点以上の受講生を合格とする.
注意点:
流体工学1、2の単位を取得していることを想定して講義します.また,本科目は学修単位科目であり,1回の講義(90分)あたり180分以上の予習復習をしているものとして講義・演習を進めます.
再評価試験:中間試験および期末試験後にそれぞれ実施する.中間試験は、本試験と再評価試験の平均点が60点以上で合格とする.期末試験は再評価試験が70点以上の得点で合格とする.ただし,定期試験と課題の総合成績により,50点以上を獲得しなかった者は再評価試験を受験できない場合がある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体摩擦 1)管内流れでは、粘性により速度境界層が生じ、圧力損失が発生する現象の理解
2)圧力損失についてのレイノルズの実験とレイノルズ数Re
2週 管摩擦損失
損失ヘッドと損失を考慮したベルヌーイの式
3)損失を考慮したベルヌーイの式
4)ダルシー・ワイスバッハによる圧力損失式、損失係数λを求めるムーディ線図
5)ニュートンの粘性の法則
3週 ポアズイユ流れの流速分布 6)円管内のポアズイユ流れの流速分布の導出
4週 ハーゲン・ポアズイユの式、
層流の管摩擦係数λ=64/Re
7)円管内のポアズイユ流れの流量式
8)ハーゲン・ポアズイユの式、
層流の管摩擦係数λ=64/Re
5週 乱流の管摩擦係数λ 9)ムーディ線図および実験式による乱流の管摩擦係数λの求め方
10)非円形管の等価直径deの求め方
11)直線部分以外の管路損失である助走区間、拡大・縮小、曲がり、分岐・合流管の損失係数の求め方を理解する。
6週 管路の流速
水力こう配線とエネルギーこう配線
12)管路の流速の求め方
7週 境界層の厚さ
境界層内の速度分布、境界層のはく離
13)外部流れの境界層厚さの求め方
14)円管内の乱流の流速分布式
  (指数法則、対数法則)
15)剥離現象を理解する。
8週 中間試験
2ndQ
9週 流体のエネルギー利用とターボ機械(1) (13)ターボ機械を作動流体や流れ方向などにより分類できる。
(14)羽根車によるエネルギー変換のしくみを理解する。
10週 流体のエネルギー利用とターボ機械(2) (15)速度三角形を描くことができる。
11週 ターボ機械の構成要素と内部流れ
(16)ターボ機械の構成要素を理解する。
(17)ターボ機械の内部流れを理解する。
12週 ターボ機械の性能と運転 (18)ターボ機械の特性曲線を理解する。
13週 ポンプ、その他の流体機械 (19)ポンプのしくみを理解する。
14週 ポンプ、その他の流体機械
(20)送風機や水車など様々なターボ機械のしくみを理解する。
15週 期末試験
第9回から第14回までの範囲で試験を行う.
16週 まとめ
第15回までの授業について,まとめを行う.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体層流と乱流の違いを説明できる。3
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。3
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。3
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。3
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。3
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。3
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000