概要:
高度情報化社会では、「電気」は、基盤であり、これを運用できるエンジニアが社会的にも必要である。電気主任技術者試験は、この社会的要求に応えることができるエンジニアにライセンスを与えるための国家試験である。電気工学科では、このうち第3種電気主任技術者(電験3種)の資格を卒業までにできるだけ多くの人にとってもらうことを目標としている。電験3種の試験には,「理論」,「電力」,「機械」,「法規」科目がある。
本科目では、このうち「電力」科目の重要ポイントの内容解説と演習を行う。なお,電験3種の資格には全く興味がないという者は、この授業を選択する必要はない。興味のない者には意味がない。
授業の進め方・方法:
・到達目標(1)と(2)について、中間試験で評価する。(3)(4)(5)について期末試験で評価する。(6)について提出された演習課題レポートで評価する。
・成績は、中間試験40%、期末試験40%、演習課題20%で評価し、50点以上(100点満点)
を合格とする。再評価試験、追認試験は実施する。実施条件はなし。
・出題した演習課題レポートを全て提出した者を成績評価の対象とする。
・欠席した授業の演習課題レポートもすべて提出すること。
*出席要件:3分の2以上の出席
注意点:
(予習) 授業では重要ポイントの解説に留まる。種種の電験3種の参考書で、詳細は各自で自主的な学習をすること。
(授業中)授業中は重点内容の解説をする。資格をとる意欲で授業に取り組んで欲しい。
(復習) 授業の内容をもういちど自分で考えてみる。中間試験、期末試験は演習課題のレベル(過去問題など)を出題する。授業内容の項目終了ごとに演習課題のレポート提出を義務付ける。
*再評価試験・追認試験:有
*教員室:542教員室(5棟4階)
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
発電:水力発電(1)(演習課題1) 水力発電の概要、土木設備
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水力発電の概要、土木設備を理解する
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2週 |
発電:水力発電(2)・火力発電(1)(演習課題2) 揚水発電所、熱力学他、熱サイクルの種類
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揚水発電所、熱力学、熱サイクルの種類を理解する
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3週 |
発電:火力発電(2)(演習課題3) 燃料と燃焼、設備、タービン
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燃料と燃焼、設備、タービンを理解する
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4週 |
発電:原子力発電、特殊発電(演習課題4) 原子エネルギー他 |
原子エネルギー、安全性、核燃料サイクル、ガスタービン発電、新エネルギー発電を理解する
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5週 |
変電所(1)(演習課題5) 変電所の概要
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変電所の概要を理解する
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6週 |
変電所(2)(演習課題6) 設備、短絡電流と短絡容量
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設備、短絡電流と短絡容量を理解する
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7週 |
総合演習(1)(演習課題7) |
第6回までの総合演習問題を行う
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8週 |
中間試験 |
発電、変電所の重点内容を理解できるか試験する
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4thQ |
9週 |
送電線路(1)(演習課題8) 構成、架空送電線、直流送電、線路定数
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構成、架空送電線、直流送電、線路定数を理解する
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10週 |
送電線路(2)(演習課題9) 電気的特性、地中電線路、保護、安定度
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電気的特性、地中電線路、保護、安定度を理解する
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11週 |
配電線路(1)(演習課題10) 配電系統、種類と特性
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配電系統、種類と特性を理解する
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12週 |
配電線路(2)(演習課題11) 管理、保護と保安
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管理、保護と保安を理解する
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13週 |
電気・電子材料(演習課題12) 導電材料、抵抗材料、磁性材料、絶縁材料、半導体材料、特殊材料
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導電材料、抵抗材料、磁性材料、絶縁材料、半導体材料、特殊材料を理解する
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14週 |
総合演習(2)(演習課題13)
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第9回~第13回までの内容の総合演習問題を行う
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15週 |
期期末試験
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送電、配電、電気材料の重点内容を理解できるか試験する
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16週 |
まとめ
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試験の返却回答を行う
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 2 | |
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 2 | |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
電荷と電流、電圧を説明できる。 | 2 | |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 2 | |
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 2 | |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 2 | |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 2 | |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 2 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 2 | |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 2 | |
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。 | 2 | |
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 2 | |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 2 | |
理想変成器を説明できる。 | 2 | |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 2 | |
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。 | 2 | |
電磁気 | 電荷及びクーロンの法則を説明でき、点電荷に働く力等を計算できる。 | 2 | |
電界、電位、電気力線、電束を説明でき、これらを用いた計算ができる。 | 2 | |
ガウスの法則を説明でき、電界の計算に用いることができる。 | 2 | |
導体の性質を説明でき、導体表面の電荷密度や電界などを計算できる。 | 2 | |
誘電体と分極及び電束密度を説明できる。 | 2 | |
静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。 | 2 | |
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。 | 2 | |
静電エネルギーを説明できる。 | 2 | |
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。 | 2 | |
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。 | 2 | |
磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。 | 2 | |
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。 | 2 | |
磁気エネルギーを説明できる。 | 2 | |
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。 | 2 | |
電力 | 三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。 | 2 | |
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。 | 2 | |
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。 | 2 | |
直流機の原理と構造を説明できる。 | 2 | |
誘導機の原理と構造を説明できる。 | 2 | |
同期機の原理と構造を説明できる。 | 2 | |
変圧器の原理、構造、特性を説明でき、その等価回路を説明できる。 | 2 | |
半導体電力変換装置の原理と働きについて説明できる。 | 2 | |
電力システムの構成およびその構成要素について説明できる。 | 2 | |
交流および直流送配電方式について、それぞれの特徴を説明できる。 | 2 | |
高調波障害について理解している。 | 2 | |
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。 | 2 | |
電力システムの経済的運用について説明できる。 | 2 | |
水力発電の原理について理解し、水力発電の主要設備を説明できる。 | 2 | |
火力発電の原理について理解し、火力発電の主要設備を説明できる。 | 2 | |
原子力発電の原理について理解し、原子力発電の主要設備を説明できる。 | 2 | |
その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。 | 2 | |
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。 | 2 | |