概要:
ありとあらゆるところでコンピュータが使用される現代で活躍するエンジニアはコンピュータ自体の動作原理を知っていることが求められる.
基礎ディジタル回路2ではディジタル回路を設計するうえで特に重要な項目を講義する.本授業の目標は集約すると5つのトピック,(1)2進数を用いたデータ表現の方法,(2) 正しいデータを通信で送るための方法,(3) 2値情報を保持する方法,(4) 順序回路を設計する方法,(5) A/D・D/A変換を実現する方法,を習得することである.この知識は電気・電子回路などのハード面だけではなく,プログラミングなどのソフト面を扱う分野とも関連がある.コンピュータを扱う電気電子・情報関係の学生にとって重要度が高く,習得が必須となる内容である.
授業の進め方・方法:
・到達目標 (1)~(4)について,中間試験および期末試験で評価する.
・評価の割合は,中間試験(45%),期末試験(45%),小テスト(10%)とし,50点以上(100点満点)の者を合格とする.不合格者のうち,総合点が45点以上,小テストを全て受けている者は再評価試験を受験できるものとする.追認試験は再評価試験を受けたものを対象とし,特別課題提出を条件に実施する.
注意点:
本授業で使用する教科書は自習がしやすくなるよう,特に重要な内容に限定して記述され,例題や図が豊富に含まれているものを選定した.授業前に予習として内容の確認と重要事項の把握をしておき,授業で知識を獲得し,復習で獲得した知識を定着させるよう複数回復習すると,記憶の定着が良い.学習を楽にするために実践することが望ましい.
論理回路では他にも重要な単元が多くある.ゆえに本授業の知識に多く触れる職業に携わりたいという学生には,本講義および教科書の内容だけでは不足がある.より学習を進めたい学生のために,以下のものを専門書として推薦しておく.
(1) 浜辺 隆二,“論理回路入門(第3版)”,森北出版
(2) 田丸 啓吉,“論理回路の基礎”,工学図書
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
進数 / 基本論理演算 / 標準形 / カルノー図 / 組み合わせ論理回路 |
基礎ディジタル回路1で学習した中で特に重要な単元を復習し,理解を深める.
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2週 |
データの表現(pp. 29-33,小テスト1) |
ASCIIコードによる文字表現,2進化10進法について理解する.
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3週 |
ディジタル回路技術と社会 |
ディジタル回路技術が社会でどのように利用されているのかについて知識を深める。
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4週 |
通信を目的とした誤り検出・訂正コード(pp. 34-38,小テスト2) |
パリティ方式,ハミングコード方式による誤り検出方法について理解する.
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5週 |
記憶回路の概要 / ラッチ(pp. 88-94,小テスト3) |
記憶回路の概要,ラッチの動作について理解する.
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6週 |
フリップフロップ(pp. 95-102,小テスト4)
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フリップフロップの動作について理解する.
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7週 |
2のn乗進カウンタ(pp. 108-114,小テスト5) |
2のn乗進カウンタの設計方法について理解する.
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8週 |
中間試験
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4thQ |
9週 |
A/D・D/A変換回路 |
A/D・D/A回路の仕組みについて学ぶ.
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10週 |
A/D・D/A変換回路 |
A/D・D/A回路の仕組みについて学ぶ.またコンピュータ演習により具体的な動作を体験し,ふるまいを理解する.
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11週 |
ディジタル回路・信号と情報セキュリティ |
ディジタル回路・信号にまつわる情報セキュリティの知識を得る。
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12週 |
A/D・D/A変換回路 |
A/D・D/A回路の仕組みについて学ぶ.
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13週 |
A/D・D/A変換回路 |
A/D・D/A回路の仕組みについて学ぶ.
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14週 |
A/D・D/A変換回路 |
A/D・D/A回路の仕組みについて学ぶ.
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
総論
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これまで学習した内容について理解を深める
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 情報リテラシー | 情報リテラシー | 情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。 | 2 | |
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。 | 2 | |
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。 | 2 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 瞬時値を用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 2 | |
フェーザを用いて、簡単な交流回路の計算ができる。 | 2 | |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
正弦波交流の複素表示を説明し、これを交流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
重ねの理を説明し、直流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
網目電流法や節点電位法を用いて交流回路の計算ができる。 | 2 | |
重ねの理やテブナンの定理等を説明し、これらを交流回路の計算に用いることができる。 | 2 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 2 | |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 2 | |
電力 | 三相交流における電圧・電流(相電圧、線間電圧、線電流)を説明できる。 | 2 | |
電源および負荷のΔ-Y、Y-Δ変換ができる。 | 2 | |
対称三相回路の電圧・電流・電力の計算ができる。 | 2 | |
電力品質の定義およびその維持に必要な手段について知っている。 | 2 | |
電力システムの経済的運用について説明できる。 | 2 | |
電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて説明できる。 | 2 | |
情報系分野 | 計算機工学 | 整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 2 | |
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。 | 2 | |
整数・小数をコンピュータのメモリ上でディジタル表現する方法を説明できる。 | 2 | |
基数が異なる数の間で相互に変換できる。 | 2 | |
基本的な論理演算を行うことができる。 | 2 | |
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。 | 2 | |
論理式の簡単化の概念を説明できる。 | 2 | |
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。 | 2 | |
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。 | 2 | |
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。 | 2 | |
組合せ論理回路を設計することができる。 | 2 | |
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。 | 2 | |
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。 | 2 | |
与えられた順序回路の機能を説明することができる。 | 2 | |
順序回路を設計することができる。 | 2 | |
情報数学・情報理論 | 集合に関する基本的な概念を理解し、集合演算を実行できる。 | 3 | |
集合の間の関係(関数)に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |
ブール代数に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |
論理代数と述語論理に関する基本的な概念を説明できる。 | 3 | |