電子回路1

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 電子回路1
科目番号 0029 科目区分 専門 / 必履修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気情報工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高木茂高、鈴木憲次 監修「電子回路概論」(実教出版)
担当教員 北田 貴弘

到達目標

(1)半導体の物性を理解し、ダイオードやトランジスタなどの能動素子の動作原理とその応用例を示すことができる。
(2)トランジスタの基本増幅回路、バイアス回路、小信号等価回路等を理解し、小信号増幅回路の設計ができる。
(3)負帰還増幅回路、差動増幅回路、演算増幅回路(オペアンプ)の動作原理を理解し、それらの使い方を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ダイオードやトランジスタなどの能動素子の動作原理と様々な応用例を示すことができる。ダイオードやトランジスタなどの能動素子の動作原理といくつかの応用例を示すことができる。ダイオードやトランジスタなどの能動素子の動作原理を応用例を示すことができない。
評価項目2トランジスタを使った応用的な小信号増幅回路の設計ができる。トランジスタを使った基本的な小信号増幅回路の設計ができる。トランジスタを使った小信号増幅回路の設計ができない。
評価項目3負帰還増幅回路、差動増幅回路、演算増幅回路(オペアンプ)の応用的な使い方を説明できる。負帰還増幅回路、差動増幅回路、演算増幅回路(オペアンプ)の基本的な使い方を説明できる。負帰還増幅回路、差動増幅回路、演算増幅回路(オペアンプ)の使い方を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 E3 説明 閉じる
電気情報工学科教育目標 E3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
基礎的な電気回路を修得した4年生を対象に、トランジスタ、演算増幅器(オペアンプ)を使った電子回路の基礎から応用までを「電子回路1」と「電子回路2」を通じて学びます。電子回路の基礎をしっかりと学ぶと同時に、各種発展形に繋がる応用能力、問題解決能力を育むことを目的としています。「電子回路1」では、半導体の物性、ダイオードやトランジスタなどの能動素子の原理、増幅回路の基礎と応用を中心に、内容をある程度に絞ってしっかりと理解できることを目指して丁寧に講義します。各回の内容を深く理解できるように、授業の後半では毎回演習課題に取り組んでもらいます。
授業の進め方・方法:
授業は基本的に教科書の内容に沿って進めますので、授業時には必ず教科書を持参してください。
到達目標(1)と(2)は中間試験と期末試験で、到達目標(3)は期末試験で評価します。また、毎回の授業で行う演習課題の提出も評点に加えます。
中間試験(100点満点)、期末試験(100点満点)の得点と、毎回の演習課題の得点(計50点満点)の合計点(250点満点)に2/5を乗じた点数を評点(100点満点)とし、評点が60点以上を合格とします。
注意点:
出席要件:3分の2以上の出席が必須です。
再評価試験・追認試験:基本的に実施しませんが、特別な事由がある等の場合によっては実施します。
自主学習:各週3時間程度を目安に授業の予習と復習を行ってください。
WBT利用:次回の講義で配布する資料と演習課題の標準解答をWBTにアップロードします。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子回路を学ぶための基礎 電子回路を構成する能動素子と受動素子を説明でき、正弦波交流信号の瞬時値と実効値を表記できる。
2週 半導体に関する基礎知識(p型、n型、空乏層、pn接合等) 能動素子に用いられる半導体の性質と元素を述べることができ、基礎的な用語(真性半導体、不純物半導体、p型、n型、pn接合と空乏層等)を説明することができる。
3週 ダイオード(pn接合ダイオード、基本動作、その他のダイオード等) pn接合ダイオードの整流作用と基本ダイオード回路の動作点を説明でき、その他のダイオードについて動作原理と特徴を示すことができる。
4週 バイポーラトランジスタ(基本構造、基本動作、静特性等) npn型及びpnp型のバイポーラトランジスタの基本構造、基本動作、静特性、最大定格等を説明することができる。
5週 FETとその他の半導体素子(接合型FET、MOSFET、サイリスタ等) 接合型FET及びMOSFETの基本構造、基本動作、静特性を説明でき、サイリスタ等のその他いくつかの半導体素子の特徴を示すことができる。
6週 増幅回路の基礎とトランジスタ増幅回路 トランジスタによる増幅の原理を説明でき、基本増幅回路を記述することができる。
7週 トランジスタのhパラメータと小信号等価回路 トランジスタの特性曲線と交流信号に対するhパラメータの関係を示すことができ、hパラメータを使って小信号の交流分に対する等価回路を記述できる。
8週 トランジスタのバイアス回路と小信号増幅回路 増幅回路の動作点を決定するバイアス回路の種類、特徴、安定度を説明でき、基本的な小信号増幅回路の構成を示すことができる。
2ndQ
9週 トランジスタによる小信号増幅回路の設計 トランジスタを使った小信号増幅回路について、与えられた動作条件を満たすように素子パラメータを決定して回路設計することができる。
10週 中間試験 到達目標(1)、(2)の達成度を試験する。
11週 負帰還増幅回路(原理、エミッタフォロワ等) 負帰還増幅回路の原理と特徴が説明でき、エミッタフォロワ、多段増幅回路への応用を示すことができる。
12週 差動増幅回路と演算増幅器(OPアンプ)の基礎 差動増幅回路と演算増幅器(OPアンプ)の原理、特徴とその基本的な使い方(正相増幅回路、逆相増幅回路)を説明できる。
13週 演算増幅器の各種応用 演算増幅器の応用として、電圧ホロワ、電流電圧変換、加算回路、比較回路、微分・積分回路を説明できる。
14週 電力増幅回路 大信号を扱う電力増幅回路として、A級シングル増幅回路とB級プッシュプル電力増幅回路の動作原理やその特性を説明できる。
15週 期末試験 到達目標(1)、(2)、(3)の達成度を試験する。
16週 試験の解説とまとめ 試験の返却を行い、標準解答の解説と授業全体のまとめを行う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子回路ダイオードの特徴を説明できる。3
バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる。3
FETの特徴と等価回路を説明できる。3
利得、周波数帯域、入力・出力インピーダンス等の増幅回路の基礎事項を説明できる。3
トランジスタ増幅器のバイアス供給方法を説明できる。3
演算増幅器の特性を説明できる。3
演算増幅器を用いた基本的な回路の動作を説明できる。3
発振回路の特性、動作原理を説明できる。3
変調・復調回路の特性、動作原理を説明できる。3

評価割合

中間試験期末試験演習課題合計
総合評価割合404020100
基礎的能力0000
専門的能力404020100
分野横断的能力0000