河川工学

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 河川工学
科目番号 0014 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 : 1
開設学科 環境・建設工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:環境・都市システム系教科書シリーズ6 河川工学 川合茂 他(コロナ社),      参考書:わかりやすい土木講座17 海岸・港湾 合田良實 他(彰国社),必要に応じプリントを配布する.
担当教員 荒尾 慎司

到達目標

(1) 河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できる.
(2) 実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できる.
(3)河川および地表面における流れの基礎式を学ぶとともに,住民が避難するときの資料となる洪水ハザードマップについて理解する.
(4)河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できる.
(5)河川堤防の重要性を理解し、基本的な構造について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について正しく説明できる.河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できる.河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できない.
実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を正しく説明できる.実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できる.実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できない.
河川および地表面における流れの基礎式を学ぶとともに,住民が避難するときの資料となる洪水ハザードマップについて正しく理解できる.河川および地表面における流れの基礎式を学ぶとともに,住民が避難するときの資料となる洪水ハザードマップについて理解できる.河川および地表面における流れの基礎式を学ぶとともに,住民が避難するときの資料となる洪水ハザードマップについて理解できない.
河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について正しく説明できる.河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できる.河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できない.
河川堤防の重要性を理解し、基本的な構造について正しく説明できる.河川堤防の重要性を理解し、基本的な構造について説明できる.河川堤防の重要性を理解し、基本的な構造について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 4 説明 閉じる
環境・建設工学科 到達目標 C1 環境・建設工学基礎知識 説明 閉じる

教育方法等

概要:
河川工学は,流出解析・河川構造物や生物共生のための環境保全と分野が広い.狭義には流域への降雨による河川への流出量を推定し,守るべき流域の財産と確率を考慮した計画高水流量を定め,治水・利水のための河川計画を立案し,河川構造物を計画し築造するための学問である.古代,中国の殷の治水史や我が国の氾濫・治水の歴史に示されるように,かつては困難であった大河川の治水事業を進め,流域の生命・財産に及ぼす洪水災害の防御・軽減に努めてきた.戦後には,治水のほかに水資源としての利水や,水質・生態環境の保全,或いは親水空間そして生物共生と多自然型河づくりとなって社会の要請に応えてきた.本講義では,河川の地形学的,歴史学的側面も含め,流域における水循環と河川流に対する水理学的アプローチの手法および河川計画の進め方について学習する.
授業の進め方・方法:
成績は,中間と期末それぞれの試験(各100点満点)と随時実施する演習で評価し,(中間試験得点*0.45+期末試験得点*0.4)+演習点(15点満点)によって評点を決定する.
60点以上を合格とする.
再評価試験及び追認試験の実施【有】(実施条件:授業に真摯に取り組んだ者)
注意点:
●学修単位科目であり,1回の講義(90分)あたり90分以上の予習復習をしているものとして講義・演習を進める。
●本講義は高学年での専門的な工学科目や,将来,環境の分野や公務員系に進む学生にとって,重要な基礎学問となっています.
本講義は大学の3,4年生に相当するレベルの講義となる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 川と河川工学 
人と川との係わり,治水の歴史および河川法について講義する.
治水の歴史について説明できる.
2週 河川と流域の特性   
流域の形状が流出特性に及ぼす性質について定量的表示の方法を講義する。各河川の持つ形状係数により,流出特徴について判断できる力を身に付ける.
河川の分類と流域の特性について説明できる.
3週 河川の作用と地形
河川の浸食、運搬、堆積作用について理解する.
河川の浸食、運搬、堆積作用について説明できる.
4週 水循環、降水の特徴
地球上の水循環,わが国の降水の特徴について理解する.
水の循環及びわが国の降水の特徴について説明できる.
5週 流出現象
流域の水循環について,降雨に始まり浸透・流出・蒸発散・雲等から降雨に戻る水文循環について講義する。これら素過程から河川への流出成分を理解する.
降水の流出過程について説明できる.
6週 流出解析(1)
降雨データから河川計画に用いられる計画流量を算定する流出解析手法の概要について講義する.ここでは,合理式と単位図法などの線形モデルについて理解する.
合理式と単位図法などの線形モデルについて説明でき,これらのモデルを用いた計算ができる.
7週 流出解析(2)
流出解析手法として貯留関数法やタンクモデルなどの非線形モデルについて,その基本的な考え方および解析手法を学ぶ.
貯留関数法やタンクモデルなどの非線形モデルについて説明でき,これらのモデルを用いた計算ができる.
8週 前期中間試験
第1回から第7回までの範囲で中間試験を行う.
4thQ
9週 河川の水理学、洪水ハザードマップ
一次元開水路流れとして河川流の分類(等流,不等流及び不定流)について学び,地表面の洪水氾濫解析に基づいて作成された洪水ハザードマップの活用方法について学ぶ.
河川流の分類について説明できる. また,洪水ハザードマップの活用方法について説明できる.
10週 河川計画
計画する確率年の降雨について計画高水流量を求める方法を講義する.この流量に対応する計画高水位に余裕高を加え,治水の堤防高が定まることを理解する.
計画する確率年の降雨について計画高水流量を求める方法を説明できる.
11週 水文統計
治水や利水計画のために,降雨の発生確率,例えば再現期間100年の治水計画に対する水文量(降雨)を求める方法を身に付ける.(関連科目:解析学)
生起確率年に相当する水文量(降雨)を求める方法を説明できる.
12週 洪水対策(1)
河川における洪水対策について学ぶ.
河川における洪水対策について説明できる.
13週 洪水対策(2)
都市型水害の特徴及び防止軽減対策について学ぶ.
都市型水害の特徴及び水害防止軽減対策について説明できる.
14週 河川構造物 
堤防の種類と構造について理解する.
堤防の種類と構造について説明できる.
15週 前期期末試験
第9週から第14週までの範囲で期末試験を行う.
16週 答案返却
試験答案を返却し,問題の解説などを行う.
誤った問題を正しき理解する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理文明社会と河川の利用について理解している。2
河川の管理と整備について説明できる。3
河川の分類と流域について、説明できる。3
河川における流れ作用と河道形状について理解している。3
水の循環、雨が降る仕組み、我が国の降雨特性について、説明できる。3
流出過程、流況曲線について理解している。3
水文量の観測方法を説明でき、流域平均雨量を計算できる。2
流出解析法について理解している。3
水文量の統計的性質について理解している。2
水害の特性とその変遷について理解している。1
河道計画の策定について理解している。3
河道およびダムによる洪水対策を説明できる。3
都市型水害と内水処理の対策について、説明できる。3
河川における生態系の保全と復元について理解している。1
河川堤防・護岸・水制の役割について、説明できる。3
感潮河川について理解している。2

評価割合

試験演習合計
総合評価割合8515100
基礎的能力000
専門的能力8515100
分野横断的能力000