水理学3

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 水理学3
科目番号 0023 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 : 1
開設学科 環境・建設工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 環境・都市システム系教科書シリーズ7 水理学 日下部重幸他著,コロナ社参考書:図解 土木講座 水理学の基礎(第二版)吉岡幸男著,技報堂出版
担当教員 荒尾 慎司

到達目標

(1)水環境問題に対する水理学の果たす役割を知る.
(2)環境水理学の基礎となる開水路流れの理論を理解し,常流,射流,跳水,等流などに関する基本的計算問題が解ける.
(3)開水路不等流の理論を理解することにより,水面形状を分類でき,水面形の計算問題が解ける.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
水環境問題に対する水理学の果たす役割を正しく知ることができる.水環境問題に対する水理学の果たす役割を知ることができる.水環境問題に対する水理学の果たす役割を知ることができない.
環境水理学の基礎となる開水路流れの理論を理解し,常流,射流,跳水,等流などに関する基本的計算問題が正しく解ける.環境水理学の基礎となる開水路流れの理論を理解し,常流,射流,跳水,等流などに関する基本的計算問題が解ける.環境水理学の基礎となる開水路流れの理論を理解し,常流,射流,跳水,等流などに関する基本的計算問題が解けない.
開水路不等流の理論を理解することにより,水面形状を分類でき,水面形の計算問題が正しく解ける.開水路不等流の理論を理解することにより,水面形状を分類でき,水面形の計算問題が解ける.開水路不等流の理論を理解することにより,水面形状を分類でき,水面形の計算問題が解けない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 1 説明 閉じる
環境・建設工学科 到達目標 C1 環境・建設工学基礎知識 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年,環境問題の重要性が広く認識され,土木工学の各分野でも環境側面を考慮した理論や解析手法の再構築が進められている.特に,水理学は河川や湖の水質や生態系をめぐる諸問題の物理的基礎となる学問であり,水環境問題に科学的にアプローチする重要な基礎となるものである.また,湖沼や大気環境について広く採用されている環境影響事前評価のための流体力学的予測は,この水理学の知識をベースとした学術分野である.本講義では,管水路に続いて,環境水域の基本となる開水路流れの分野について,流れの性質に関する基礎概念を学ぶ.将来,河川・海岸や大気をめぐる防災計画や環境問題の分野に関係する時の素養としての基礎知識を身に付け,高学年での専門的な工学科目を理解するための知識を身につける.エネルギー保存や運動量保存を応用し,常流,射流,流れの遷移を考える上で重要なポイントを学んでいく.
授業の進め方・方法:
到達目標(1)については中間試験と演習レポートで,(3)については期末試験と演習レポートで評価する.なお、(2)については中間試験+期末試験と演習レポートで評価する.
全体の評点は,中間試験:40%,期末試験:40%,演習レポート:20%とする.
60%以上を合格とする.
再評価試験及び追認試験の実施【有】(実施条件:授業に真摯に取り組んだ者)
注意点:
学修単位科目であり,1回の講義(90分)あたり90分以上の予習復習をしているものとして講義・演習を進める。
本講義は高学年での専門的な工学科目や,将来,環境の分野や公務員系に進む学生にとって,重要な基礎学問となっている.
大学3,4年生に相当するレベルの講義となる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 開水路の基本式
開水路流れを時間的・空間的な視点から分類する.また,開水路にベルヌーイの式を適用して流れの基本式を導いた後,実際の河川のような水路断面の変化する場合へ拡張し,実社会の河川工学との関係を講義する.
開水路流れの基礎方程式を説明できる
2週 開水路の等流とその計算(1)
開水路の長方形断面,台形断面,円形断面に関する径深の計算方法を理解する.
開水路の等流計算ができる.
3週 開水路の等流とその計算(2)
開水路の長方形断面、台形断面、円形断面に関する径深の計算方法を理解する.
開水路の等流計算ができる.
4週 水理学的に最も有利な断面
開水路において、与えられた条件の中で最大流量を得る断面が水理学的に最も有利な断面であることを学ぶ.
水理学的に最も有利な断面の説明ができる.
5週 円形断面水路の水理特性曲線
下水管や水路トンネルなどの円形断面水路における流積、径深、流速、流量などの水理特性曲線を理解する.
円形断面水路の水理特性曲線について説明できる.
6週 開水路流れにおける摩擦損失水頭
開水路の断面変化や橋脚による摩擦損失が水位変化に与える影響について学ぶ.
開水路流れにおける摩擦損失水頭に関する計算ができる.
7週 跳水と共役水深
ダム等を越流してきて常流から射流に移行する流れは運動量方程式から導かれ,射流水深と常流水深とに共役水深の関係があることを学ぶ. 
跳水と共役水深について説明できる.
8週 比エネルギーと限界水深
流量が一定の場合に,単位重量の流体が持つ全エネルギーが最小となる限界水深を学び,常流と射流の二つの流れを理解する.
比エネルギーと限界水深について説明できる.
2ndQ
9週 中間試験
第1回から第8回までの範囲で中間試験を行う。成績に占める中間試験の割合は40%である.
10週 常流と射流 
全エネルギー最小の限界水深における限界流速と,長波の波速との無次元数であるフルード数Fによって常流と射流を分類することを学ぶ.
常流と射流について説明できる.
11週 不等流の水面形の基本式 
水深や流速の変化する不等流について,断面形状や水路勾配・粗度が変化しない一様断面水路を対象に,水面勾配を表わす不等流の基本式を学ぶ.
開水路不等流の基礎方程式について説明できる.
12週 一様断面水路の不等流と水面形状の分類
不等流の水面形状は,水路勾配・水深・等流水深・限界水深の組合せによって種々の性質を持つ.射流となる限界勾配と水深とによる水面形の分類を理解する.
一様断面水路不等流の水面形状について説明でき,.水面形の概略を描くことができる.
13週 勾配変化部の水面形
水路勾配が変化した場合の水面形について,緩勾配から急勾配に変化した場合と,急勾配から緩勾配に変化した場合の水面形について学ぶ.
水路勾配変化部の水面形の概略を描くことができる.
14週 不等流の水面形計算法
実際の河川では断面形や勾配・粗度等が変化するので,水面形の計算には一般に逐次計算法が用いられる.断面を区間分割する逐次計算法について学ぶ.
開水路不等流の水面形を計算できる.
15週 期末試験
第8回から第14回までの範囲で期末テストを行う。成績に占める期末テストの割合は40%である.
16週 試験の返却・解答
試験を返却し,解答を説明する.
誤った問題を正しく理解する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理比エネルギー、フルード数、常流と射流、限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)、跳水現象について、説明できる。3
比エネルギーおよび常流と射流について説明できる。3
限界水深(ベスの定理、ベランジェの定理)について説明できる。3
跳水現象について説明できる。3
開水路流れの基礎方程式について理解している。3
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について理解している。3
開水路の等流(平均流速公式、限界水深、等流水深)について説明できる。3
水理特性曲線と水理学的に有利な断面について理解している。3
開水路不等流の基礎方程式について理解している。3
開水路不等流の基礎方程式について説明できる。2
一様水路における不等流と背水曲線について理解している。3
一様水路における不等流と背水曲線について説明できる。2

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000