河川工学

科目基礎情報

学校 松江工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 河川工学
科目番号 0037 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 環境・建設工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:環境・都市システム系教科書シリーズ6 河川工学 川合茂 他(コロナ社),      参考書:わかりやすい土木講座17 海岸・港湾 合田良實 他(彰国社),必要に応じプリントを配布する.
担当教員 荒尾 慎司

到達目標

(1) 河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できる.
(2) 実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できる.
(3)河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できる.
(4)河川の氾濫や都市型水害の洪水防御対策について説明できる.
(5)河川堤防の重要性を理解し、基本的な構造について説明できる.
(6)波の基本的性質,津波と高潮の特徴について説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について正しく説明できる.河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できる.河川と流域の形状が流出特性に及ぼす影響,流域の水循環について説明できない.
評価項目2実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を正しく説明できる.実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できる.実社会で一般的に利用されている流出解析手法の基本的な考え方について理解し,技術者として現地で問題となる流出現象の解決法を説明できない.
評価項目3河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について正しく説明できる.河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できる.河川を計画する際に必要な計画高水流量の求め方,その基になる水文量(降雨)の算定方法について説明できない.
評価項目4河川における洪水対策や都市型水害の対策について正しく説明できる.河川における洪水対策や都市型水害の対策について説明できる.河川における洪水対策や都市型水害の対策について説明できない.
評価項目5河川堤防などの構造物の重要性を理解し、基本的な構造について正しく説明できる.河川堤防などの構造物の重要性を理解し、基本的な構造について説明できる.河川堤防などの構造物の重要性を理解し、基本的な構造について説明できない.
評価項目6波の基本的性質,津波と高潮の特徴について正しく説明できる.波の基本的性質,津波と高潮の特徴について説明できる.波の基本的性質,津波と高潮の特徴について説明できない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 C1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
河川工学は,流出解析・河川構造物や生物共生のための環境保全と分野が広い.狭義には流域への降雨による河川への流出量を推定し,守るべき流域の財産と確率を考慮した計画高水流量を定め,治水・利水のための河川計画を立案し,河川構造物を計画し築造するための学問である.古代,中国の殷の治水史や我が国の氾濫・治水の歴史に示されるように,かつては困難であった大河川の治水事業を進め,流域の生命・財産に及ぼす洪水災害の防御・軽減に努めてきた.戦後には,治水のほかに水資源としての利水や,水質・生態環境の保全,或いは親水空間そして生物共生と多自然型河づくりとなって社会の要請に応えてきた.本講義では,河川の地形学的,歴史学的側面も含め,流域における水循環と河川流に対する水理学的アプローチの手法および河川計画の進め方について学習する.
授業の進め方・方法:
●本講義は高学年での専門的な工学科目や,将来,環境の分野や公務員系に進む学生にとって,重要な基礎学問となっています.
本講義は大学の3,4年生に相当するレベルの講義となる.
最終成績は,課題=30%,中間試験=30%, 期末試験40%の合計100点で評価する。60点以上を合格とする.
注意点:
再評価試験及び追認試験の実施【有】(実施条件:授業に真摯に取り組んだ者)
●学修単位科目であり,1回の講義(90分)あたり180分以上の予習復習をしているものとして講義・演習を進める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 川と河川工学 
人と川との係わり,治水の歴史および河川法について講義する.
治水の歴史について説明できる.
2週 河川と流域の特性,河川管理と整備   
流域の形状が流出特性に及ぼす性質について定量的表示の方法を講義する。各河川の持つ形状係数により,流出特徴について判断できる力を身に付ける.さらに河川管理と整備について理解する.
河川の分類と流域の特性について説明できる. 河川管理と整備について説明できる.
3週 河川の作用と地形
河川の浸食、運搬、堆積作用について理解する.
河川の浸食、運搬、堆積作用について説明できる.
4週 水循環、降水の特徴
地球上の水循環,わが国の降水の特徴について理解する.
水の循環及びわが国の降水の特徴について説明できる.
5週 流出現象
流域の水循環について,降雨に始まり浸透・流出・蒸発散・雲等から降雨に戻る水文循環について講義する。これら素過程から河川への流出成分を理解する.
降水の流出過程について説明できる.
6週 流出解析
水文量の観測方法と降雨データから流域平均雨量の算定方法を理解する.さらに河川計画に用いられる計画流量を算定する流出解析手法の概要について講義する.ここでは,合理式と単位図法などの線形モデルについて理解する.
水文量の観測方法と降雨データから流域平均雨量の算定方法を説明できる.合理式と単位図法などの線形モデルについて説明でき,これらのモデルを用いた計算ができる.
7週 完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)について理解する. 完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)について説明できる.
8週 前期中間試験
第1回から第7回までの範囲で中間試験を行う.
2ndQ
9週 洪水対策(1)
河川・ダムなどにおける洪水対策について理解する.
河川・ダムなどにおける洪水対策について説明できる.
10週 洪水対策(2)
都市型水害の特徴及び防止軽減対策について理解する.
都市型水害の特徴及び水害防止軽減対策について説明できる..
11週 日本の水資源の現況について理解する. 日本の水資源の現況について説明できる.
12週 河川構造物 
堤防・護岸・水制の種類と構造について理解する.
堤防・護岸・水制の種類と構造について説明できる.
13週 波の基本的性質を理解する. 波の基本的性質について説明できる.
14週 津波と高潮の特徴を理解する. 津波と高潮の特徴について説明できる.
15週 前期期末試験
第9週から第14週までの範囲で期末試験を行う.
16週 答案返却
試験答案を返却し,問題の解説などを行う.
誤った問題を正しき理解する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)を説明できる。3
河川の分類と流域について、説明できる。3
河川の管理と整備について、説明できる。3
水の循環、雨が降る仕組み、我が国の降雨特性について、説明できる。3
水文量の観測方法を説明でき、流域平均雨量を計算できる。3
河道およびダムによる洪水対策を説明できる。3
都市型水害と内水処理の対策について、説明できる。3
日本の水資源の現況について、説明できる。3
河川堤防・護岸・水制の役割について、説明できる。3
津波と高潮の特徴を説明できる。3
波の基本的性質を説明できる。3

評価割合

課題中間・期末合計
総合評価割合3070100
基礎的能力000
専門的能力3070100
分野横断的能力000