概要:
数値シミュレーションは、理論、実験に次ぐ第3の科学と考えられている。近年、コンピュータの急速な発展により、その技術は飛躍的に進歩し、新しい知見や成果を生み出している。建設分野でもその技術を構造物の設計や環境評価に取り入れられ、さらに、3次元モデルの活用が進む中で、さらなる進化を遂げ始めている。シミュレーションとは、模擬実験を行うことです。数値シミュレーションというのは、対象とする現象を表現する数値モデルを利用して、計算機上で模擬実験をすることです。あくまでモデルですから対象とする現象を正しく模擬しているかどうか検証する必要があります。一旦、検証が済めば、条件をいろいろ変えてどのようなことが起こりそうか検討することができます。このような性質から、数値シミュレーションが特に威力を発揮するのは、実験に莫大な費用が掛かるような場合、実験に大きな危険を伴うような場合、実験条件に合うような環境を作り出すことが困難な場合などであり、建設分野では、その利用が期待されています。本講義では、数値シムレーションの基礎的な考え方を学び、流体解析や構造解析を用いて解析の基礎技術や解析モデルの評価方法について学ぶ。
授業の進め方・方法:
到達目標の(1)について定期試験で評価を行う。また、到達目標(2)と(3)については、課題レポートにより評価を行う。
成績は「試験=40%,課題レポート60%の割合」で評価し、60%以上を合格とする。
注意点:
講義では、数値解析に関する基礎的な解説を行いますが、授業だけでは理論の習得やモデルの作成、解析結果の検討などの技術的な習得が難しいため、放課後や空き時間を利用し、理論や解析技術の習得に努めてください。
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
数値シミュレーションとは 解析手法とモデル化 / コンピュータの特徴 / 近年の解析技術とその動向 |
|
2週 |
流体解析1 流れの基礎式(流れの性質と力と運動の関係) |
|
3週 |
流体解析2 流れの基礎式(流れにおけるエネルギーの保存) |
|
4週 |
流体解析3 モデルの作成と離散化(空間の離散化、時間の離散化)、解析条件 |
|
5週 |
流体解析4 流体の解析演習(3次元モデリングの活用) |
|
6週 |
流体解析5 流体の解析演習(3次元モデリングの活用) |
|
7週 |
流体解析4 流体の解析演習(流体の基礎現象の解析) |
|
8週 |
流体の解析5 流体の解析演習(ビル風の演習) |
|
4thQ |
9週 |
構造解析1 構造解析の基礎式(力と変位、応力とひずみ、解析モデル) |
|
10週 |
構造解析2 構造解析の基礎式(トラスによるマトリックス法) |
|
11週 |
構造解析3 構造解析の基礎式(梁-柱モデル、有限要素法) |
|
12週 |
構造解析4 構造解析の基礎式(座屈解析と振動解析) |
|
13週 |
構造解析5 構造解析の基礎式(耐震解析) |
|
14週 |
構造解析6 構造解析演習 |
|
15週 |
期末試験 第1回~第14回の範囲
|
|
16週 |
試験の返却とまとめ 試験の返却と解説,学んだことのまとめ
|
|
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | |
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。 | 4 | |
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。 | 4 | |
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。 | 4 | |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 4 | |
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。 | 4 | |
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。 | 4 | |
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。 | 4 | |
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。 | 4 | |
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。 | 4 | |
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。 | 4 | |
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。 | 3 | |
橋の構成、分類について、説明できる。 | 3 | |
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。 | 3 | |
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。 | 3 | |
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。 | 3 | |
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。 | 3 | |
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。 | 3 | |
水理 | 完全流体の運動方程式(Eulerの運動方程式)を説明できる。 | 4 | |
連続の式を説明できる。 | 4 | |
ベルヌーイの定理を説明でき、これを応用(ベンチュリーメータなど)した 計算ができる。 | 4 | |
運動量保存則を説明でき、これを応用した計算ができる。 | 4 | |
層流と乱流について、説明できる。 | 4 | |
流体摩擦(レイノルズ応力、混合距離)を説明できる。 | 4 | |