分子生物学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 分子生物学
科目番号 0062 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 総合理工学科(先進科学系) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:Essential細胞生物学(南江堂)、「細胞生物学」と共通
担当教員 柴田 典人

到達目標

学習目的:生命活動の中心をなすDNA,RNA,タンパク質,細胞膜などの物質の分子としての化学的特性を学ぶ。また、セントラルドグマや物質輸送を例に様々な分子が生体機能を担っていることを理解する。

到達目標
◎1. DNA,RNA,タンパク質,細胞膜の化学的特性を理解する
2. セントラルドグマについて理解している
3. 遺伝子とゲノムについて理解している
◎4. 細胞における膜のはたらきについて理解している
◎印がついているものは,分野横断的能力の到達目標です。

ルーブリック

不可
評価項目1DNA,RNA,タンパク質,細胞膜の化学的特性を具体的な生命現象をを含めて説明できるDNA,RNA,タンパク質,細胞膜の化学的特性を説明できるDNA,RNA,タンパク質,細胞膜の化学的特性を理解している左記に達していない。
評価項目2セントラルドグマについて理解し,その例外も含めて説明できるセントラルドグマについて説明できるセントラルドグマについて理解している左記に達していない。
評価項目3遺伝子とゲノムの相違点について理解し,遺伝子を用いた実験についても説明できる遺伝子とゲノムの相違点について理解し,説明できる遺伝子とゲノムについて理解している左記に達していない。
評価項目4細胞における膜の構造・はたらきについて理解し,膜を介した生命反応について説明できる細胞における膜のはたらきについて説明できる細胞における膜のはたらきについて理解している左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:化学・生物

基礎となる学問分野:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野

学習教育目標との関連:本科目は学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

授業の概要:20世紀後半の分子生物学の進歩によって, 遺伝子, 分子, 細胞レベルで生命現象を捉えられるように生物学が発展してきた。本講義では, 分子生物学について概説し、生物・生命現象を分子レベルで理解していく。
授業の進め方・方法:
授業の方法:教科書に沿って, 図・表などの資料をプロジェクターにより投影, あるいは板書により解説しながら要点を解説する。適時, 授業内容に即した演習を行い, 復習と自主学習を促す。


成績評価方法:
4回の定期試験の得点をそれぞれ同等に評価(70%)し,各定期試験までの小テスト,演習、課題などをこれに加味(30%)して、その都度評価する。学年成績は全結果の単純平均とする。試験には教科書の持ち込みを許可しない。
再試験はおこなわない。出席状況や授業態度が良好であれば,事前指示を与えた上で再試験の代わりに課題を課す。この場合60点を最高点として最終成績に加える。
注意点:
履修上の注意:本科目は必修科目のため3学年の課程修了には履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修のアドバイス:分子生物学の知識について丸暗記するのではなく, 生命現象の仕組みを理解して身につけて欲しい。授業ファイルを事前にアップしておくので、授業までに確認し、教科書の該当範囲を読んでおくこと。

基礎科目:生物(1年), 化学Ⅰ(2),化学Ⅱ(3), 先進科学実験実習I(2), 一般生物学(2)

関連科目: 応用生物学(4), 発生生物学(4), 生物学実験(4), 生化学(4), 細胞生物学(4), 生命情報学(5)

受講上のアドバイス:レポート課題は期限を厳守すること。遅刻は授業の時間の半分を経過した時点で欠席として扱う。講義やそれに関連したことで疑問があれば,積極的に質問し,理解を深めて欲しい。事前に授業ファイルをダウンロードして、該当範囲を教科書で予習しておくこと。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス, DNAと染色体 本科目において習得する内容を理解する
2週 DNAの化学的な特性 化学物質としてのDNAについて構成分子、構造、特徴を理解する
3週 染色体を構成するタンパク質と染色体の意義 染色体を構成する分子群と染色体の特徴について理解する
4週 DNAの複製メカニズムI DNA複製の仕組みについて、その責任分子群の働きを理解する
5週 DNAの複製メカニズムII DNA複製の仕組みについて、岡崎フラグメントのできる理由とともに理解する
6週 DNAの修復メカニズム DNA修復のメカニズムと意義について理解する
7週 DNAの組換えのメカニズム DNAの組み替えの仕組みについて理解する
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間験の答案返却と試験解説
10週 DNAからタンパク質へ
遺伝情報としてのゲノム
DNAの塩基配列がどのようにタンパク質をコードしているのか理解する
11週 DNAからタンパク質へ
遺伝子からRNAを転写するメカニズム
DNAの転写の機構について理解する
12週 DNAからタンパク質へ
RNAからタンパク質への翻訳の分子メカニズム
タンパク質への翻訳のメカニズムを理解する
13週 遺伝子発現の調節
原核生物の転写調節機構
原核生物の遺伝子発現調節機構について理解する
14週 遺伝子発現の調節
真核生物の転写調節機構
真核生物の遺伝子発現調節機構について理解する
15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の答案返却と試験解説
後期
3rdQ
1週 遺伝子とゲノムの進化
ゲノム進化における生殖細胞の役割と点変異
有性生殖と点変異について理解する
2週 遺伝子とゲノムの進化
遺伝子、ゲノムの重複によるゲノム進化
進化の過程で遺伝子重複などによって新規遺伝子が生み出されるメカニズムを理解する
3週 遺伝子とゲノムの進化
遺伝子の水平伝播や遺伝子機能の進化
進化の過程で遺伝子重複などによって新規遺伝子が生み出されるメカニズムを理解する
4週 遺伝子とゲノムの進化
転移因子の移動のメカニズムとレトロウイルス
トランスポゾン とウィルスに関して理解する
5週 現在の組換えDNA技術
DNAクローニングに関して理解する
6週 現在の組換えDNA技術 PCRの原理とDNAクローニングでの利用方法を理解する
7週 現在の組換えDNA技術 遺伝子機能阻害,遺伝子組み換え生物の作出について理解する
8週 (後期中間試験)
4thQ
9週 後期中間試験の答案返却と試験解説
10週 膜の構造(教科書p.363-386)
両親媒精物質と脂質二重層
生体膜を構成する両親媒精物質と脂質二重層について理解する
11週 膜の構造(教科書p.363-386)
膜の合成過程と修飾
リン脂質の移動,糖脂質、膜タンパク質について理解する
12週 膜輸送(教科書p.387-424)
小胞体、ゴルジ体からの小胞輸送
輸送体とその機能について理解する
13週 膜輸送(教科書p.387-424)
チャネルと輸送体による静止膜電位
イオンチャネルと膜電位について理解し、それらによって静止膜電位が生まれることを理解する
14週 膜輸送(教科書p.387-424)
チャネルと輸送体による脱分極と再分極
イオンチャネルと膜電位によって、細胞で脱分極と再分極が起こることを理解する
15週 (後期末試験)
16週 後期末試験の答案返却と試験解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。3
細胞周期について説明できる。3
分化について説明できる。3
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。4
生物化学タンパク質、核酸、多糖がそれぞれモノマーによって構成されていることを説明できる。4
生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4
多糖の例を説明できる。3
脂質の機能を複数あげることができる。3
トリアシルグリセロールの構造を説明できる。脂肪酸の構造を説明できる。3
リン脂質が作るミセル、脂質二重層について説明でき、生体膜の化学的性質を説明できる。3
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。3
タンパク質の高次構造について説明できる。3
ヌクレオチドの構造を説明できる。4
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4
DNAの半保存的複製を説明できる。4
RNAの種類と働きを列記できる。4
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000