物性物理

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物性物理
科目番号 0095 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 総合理工学科(先進科学系) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 藤本晶著「基礎電子工学」 (森北出版),参考書: 市村正也著「高校化学からはじめる半導体」 (オーム社),竹内淳著「高校数学でわかるシュレディンガー方程式」(ブルーバックス講談社),竹内淳著「高校数学でわかる半導体の原理」(ブルーバックス講談社),古川,荻野,浅野共著「電子デバイス工学」 (森北出版)
担当教員 香取 重尊,原田 寛治,中村 重之,山本 綱之

到達目標

学習目的: 量子力学の基礎的な知識の習得にはじまり,電子デバイスに使われる半導体工学について学習すると共に,半導体デバイスの基礎的事項を習得することを目的とする。

到達目標:
1. 簡単な量子力学について説明できる。
2. 量子数とパウリの排他律について説明できる。
3. 半導体のエネルギー帯構造について説明できる。
4. 半導体のキャリアについて説明できる。
5. キャリア密度とフェルミ準位について説明できる。
6. 半導体の電気伝導について説明できる。
7. pn接合とダイオードについて説明できる。

ルーブリック

不可
評価項目1ボーア条件から水素原子の電子の軌道半径と全エネルギーを求められる.粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できる.参考書を利用して、粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できる.粒子と波動の二重性,ボーアの仮説,ド・ブロイ波を説明できない.
評価項目2主量子数,副量子数,磁気量子数を説明でき,軌道の形の違いを説明できる.量子数,パウリの排他律について説明できる. 参考書の図面を利用して、量子数,パウリの排他律について説明できる. 量子数,パウリの排他律を説明できない.
評価項目3半導体のエネルギー帯構造の形成についてメカニズムを説明できる.半導体のエネルギー帯構造について伝導帯,禁制帯,価電子帯の図が描ける.金属,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる.参考書の半導体のエネルギー帯構造の図面を利用して、金属,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できる.半導体のエネルギー帯構造について伝導帯,禁制帯,価電子帯の図が描けない.金属,半導体,絶縁体のエネルギー帯構造の違いを説明できない.
評価項目4キャリア密度の温度特性図が描け,真性領域・出払い領域・不純物領域の説明ができる.自由電子と正孔について説明できる.真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる.不純物準位について説明できる。参考書の自由電子と正孔の図面を利用して、真性半導体と不純物半導体の違いを説明できる.不純物準位について説明できる。自由電子と正孔について説明できない.真性半導体と不純物半導体の違いを説明できない.不純物準位について説明できない。
評価項目5状態密度と分布関数,キャリア密度について式を導き出せる.状態密度と分布関数,キャリア密度について式の意味を説明できる.フェルミ準位について説明できる。参考書中の電子の状態の図を利用して、状態密度と分布関数,キャリア密度、フェルミ準位について説明できる状態密度と分布関数,キャリア密度について式の意味を説明できない.フェルミ準位について説明できない。
評価項目6キャリア連続の式を使うことができる.ドリフト電流と拡散電流を説明できる.キャリアの生成と再結合について説明できる.参考書のドリフト電流と拡散電流の説明図面などを利用して、ドリフト電流と拡散電流、キャリアの生成と再結合について説明できる.ドリフト電流と拡散電流を説明できない.キャリアの生成と再結合について説明できない.
評価項目7ダイオードの整流作用について式を使って定量的に説明できる.pn接合のエネルギー準位図を描ける.ダイオードの整流作用についてエネルギー順位図を用いて定性的に説明できる。参考書のpn接合のエネルギー準位図を利用して、ダイオードの整流作用について定性的に説明できる。pn接合のエネルギー準位図を描けない.ダイオードの整流作用についてエネルギー準位図を用いて定性的に説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では教科書の内容だけでなく,社会で量子力学がどのように利用・応用されているのかについて,教員の実務経験も交えながら解説していく.

一般・専門の別: 一般

学習の分野: 専門: 電気・電子

基礎となる学問分野: 工学/工学基礎

学習教育目標との関連: 本科目は総合理工学科の学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」のための科目である。

技術者教育プログラムとの関連: 本科目が主体とする学習・教育到達目標は「(A)技術に関する基礎知識の深化,A-1:工学に関する基礎知識として,自然科学の幅広い分野の知識を修得し,説明できること」であるが,付随的には「A-2」にも関与する。

授業の概要:
この授業では,半導体の電子の振る舞いに関係した物性論を取り扱う。
半導体中の電子や正孔の振る舞いをエネルギーに着目して説明し,半導体素子であるダイオードやトランジスタなどの動作原理の理解に必要な基礎知識を養う。
授業の進め方・方法:
授業の方法:
プロジェクタによるスライドの投影を中心に進めていく。
図示によって具体的に解説を行う。
適宜演習を行い,内容理解度をチェックしながら進めていく。

成績評価方法:
2回の定期試験の結果を同等に評価する (70 %)。
課題と小テスト結果を評価する (30 %)。
再試験は原則実施しない。
理解度が不十分であると判断された者には別途課題等を課す場合もある。
定期試験を実施せず,課題と小テストの結果のみで評価する場合もある。
注意点:
履修上の注意: 本科目は必履修科目であり,学年の課程修了のために、本科目履修 (欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。

履修のアドバイス:
普段我々は意識することは少ないが,量子力学は我々の社会に深く関わっている学問である。
本科目の事前準備として,量子力学が我々の生活にどのように利用・応用されているのかについて,TV・新聞・Web等の情報源を利用して調べておくこと.
本科目はトランジスタやLED,太陽電池など半導体デバイスの動作原理を理解するための基礎となる重要な科目である。
聞きなれない新しい考え方が多いかもしれないが,分からないところは積極的に質問すること.

基礎科目: 電子回路Ⅰ(3年),物理Ⅰ,Ⅱ(1, 2),化学Ⅰ,Ⅱ(2, 3)

関連科目: 電子工学(4年),電気電子材料(5),電子回路Ⅱ(4),電子デバイス(専2),応用物理Ⅰ,Ⅱ(4,5),量子科学(5)

受講上のアドバイス:
授業開始時に出欠を取り,その際に不在の者は遅刻とする。
遅刻3回で欠課1回とする。

量子力学という学問について興味を持つことを本科目における最重要目標とする。
分からない箇所はそのままにしないで教員の部屋まで積極的に聞きに来ること.
復習を十分にすること。
レポートは必ず提出すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必履修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,古典力学(ニュートン力学)の復習 それぞれ以下の内容について理解する
2週 量子力学の発見 (粒子と波動,ド・ブロイ波) 粒子と波動の二重性、ド・ブロイ波
3週 原子中の電子 (ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律) ボーアのモデル,量子数,パウリの排他律
4週 固体のエネルギー帯
(エネルギー準位,エネルギー帯)
エネルギー準位,エネルギー帯
5週 固体のエネルギー帯
(真性半導体と外因性半導体)
真性半導体と外因性半導体
6週 固体のエネルギー帯
(ドナとアクセプタ)
ドナとアクセプタ
7週 (前期中間試験)
8週 前期中間試験の返却と解答解説
2ndQ
9週 キャリア密度と電気伝導率
(キャリア密度,フェルミ準位)
キャリア密度,フェルミ準位
10週 キャリア密度と電気伝導率
(状態密度,分布関数)
状態密度,分布関数
11週 半導体の電気伝導
(ドリフト電流,拡散電流)
ドリフト電流,拡散電流
12週 半導体の電気伝導
(キャリアの生成と再結合,連続の方程式)
キャリアの生成と再結合,連続の方程式
13週 pn接合とダイオード
(pn接合と電位障壁)
pn接合と電位障壁
14週 pn接合とダイオード
(整流作用,接合容量)
整流作用,接合容量
15週 (前期期末試験)
16週 前期期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価自己評価課題小テスト合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000