生産工学

科目基礎情報

学校 津山工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 生産工学
科目番号 0162 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合理工学科(先進科学系) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:本位田 光重、皆川 健多郎:生産工学―ものづくりマネジメント工学(機械系教科書シリーズ),コロナ社。参考書:人見勝人:入門編 生産システム工学 第6版、共立出版など
担当教員 小西 大二郎

到達目標

学習目的:社会が抱える課題は複雑化しており,製品にも単なる機能の向上ではなく新たな付加価値が求められている今,社会環境変化に対応するものづくり(プロセス イノベーション)のための製造の管理と科学を考える。本講義を通して,工場生産での設計から製造にいたるプロセスに関する基礎知識を修得する。

到達目標:
1. 生産技術の歴史と生産システム化の意義について説明できる。
2. 生産プロセスを「物の流れ(固有技術)」,「情報の流れ(管理技術)」,「価値の流れ(コスト評価)」の視点からそれぞれ説明できる。
3. 経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析・改善できる。

ルーブリック

不可
評価項目1生産技術の歴史と生産システム化の意義について,管理技術とシステムの視点から説明できる。生産技術の歴史と生産システムを理解し,説明できる。生産技術の歴史と生産システムを理解している。左記に達していない。
評価項目2生産プロセスを「物の流れ(固有技術)」,「情報の流れ(管理技術)」,「価値の流れ(コスト評価)」の視点からそれぞれ説明できる。生産プロセスを理解し,説明できる。生産プロセスを理解している。左記に達していない。
評価項目3 経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析・改善できる。経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を説明でき,ものづくりの手法を科学的に分析できる。経営資源を有効に活用しより効率的にものをつくるための手法を理解できる。左記に達していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般・専門の別:専門

学習の分野:材料・設計と生産

基礎となる学問分野:工学/機械工学/生産工学・加工学

学習教育目標との関連:本科目は総合理工学科学習教育目標「③基盤となる専門性の深化」に相当する科目である。

授業の概要:材料,流体,熱,機械力学などの『縦糸』に分かれた機械工学に,製品開発や産業化の観点から『横糸』を通す生産工学を取り扱う。授業を通してまず,生産システムは,材料から製品へ変換される「物の流れ(固有技術)」と管理のための「情報の流れ(管理技術)」が統合され,「価値の流れ(コスト評価)」として経済的に評価されることを学ぶ。次に,生産活動が生産プロセスのみならず設計,計画,管理のプロセスが複雑に入り組むことで行われていることを理解するとともに,それらの各プロセスについて学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業の方法:パワーポイントや板書を中心に,実験実習で学習した事項との関連に注意しながら授業を進める。また,理解が深まるよう学習の進度にあわせて,演習指導をする。

成績評価方法:2回の定期試験の結果をそれぞれ同等に評価する(70%)。試験には,電卓の持込を許可する。演習プリント(授業時間外の課題を含む)(30%)。前期末段階の成績が60点未満の者には,出席状況や授業態度が良好であれば,事前指示を与えた上で再試験を1回のみ実施する。再試験の結果は,最終成績の上限を60点として,当該定期試験の結果と読み替える。
注意点:
履修上の注意:本科目を選択した者は,学年の課程修了のために履修(欠課時間数が所定授業時間数の3分の1以下)が必須である。また,本科目は「授業時間外の学修を必要とする科目」である。当該授業時間と授業時間外の学修を合わせて,1単位あたり45時間の学修が必要である。授業時間外の学修については,担当教員の指示に従うこと。

履修のアドバイス:時代の変化に伴い,これまでの大量生産,大量消費・廃棄の時代から脱却し,有限の資源をいかに有効に利用し持続可能な社会を築き上げていくかを考えながら学習すること。
 このため事前に行う準備学習として,日刊工業新聞,日本経済新聞などを読み,生産システムに関する国内外の現状と動向を知ることは,本講義の習得に大いに役立つ。

基礎科目:機械システム設計概論など

関連科目:卒業研究など

受講上のアドバイス:演習問題を通して理解を深めるが,毎回の予習・復習が大切である。遅刻は25分までとし,これを越えるときは欠席と見なす。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
履修選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,経営戦略手法としての生産システムと管理[生産の仕組み,生産システムの課題・要素・評価指標,生産活動の変遷,大量生産の発生と発展,QCD,生産システムの構成,プロダクト アウト,マーケット イン]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ロット,ロット生産,在庫,段取り替え,スループット,ロットサイズ,バーチャート(ガントチャート),規模の経済(性),速度の経済(性),範囲に経済(性) 〕(〔項目〕に示した用語を調査し,大ロット生産と小ロット生産との違いを考える。)
生産技術の歴史と生産システム化の意義について,管理技術とシステムの視点から説明できる。
企業活動には品質,コスト,効率,納期などの視点が重要であることを認識している。
生産システムをその構成要素や部分に分解し,それらの要素の間にどのような関連があるかを吟味できる。
社会環境の変化に対して,生産システム全体がどのように順応しようとしているかが説明できる。

2週 「物の流れ」:工場計画に関する基本知識-生産プロセス1[生産プロセスの分類,レイアウトによる分類,ABC分析]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔製品アーキテクチャ,モジュラー,マスカスタマゼーション,サプライチェーン(マネジメント),リコール〕(〔項目〕に示した用語を調査し,モジュール生産方式の利点と課題を考える。),〔P-Q分析(ABC分析)〕
(〔項目〕に示した用語を調査し,ロスのない工場レイアウト設計を考える1。)
生産プロセスを理解し,説明できる。
生産形態について説明できる。
設備レイアウトの意義と必要性について説明できる。
データから,生産品種を 3 グループ (A, B, C) に分類することができる。

3週 「物の流れ」:セル生産システム-生産プロセス2[生産セル,組立セル]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ディジタルエンジニアリング(CAD/CAM, CAEなど)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,生産性向上のための生産活動の自動化について考える1。),〔FA,システム インテグレーション,CIM〕(〔項目〕に示した用語を調査し,生産性向上のための生産活動の自動化について考える2。)
生産プロセスにおけるNC工作機械・ロボットの役割,人間の役割について説明できる。


4週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス1[製品戦略,製品設計,図面]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔製品・部品の標準化・単純化,価値分析(VA: Value Analysis),グループテクノロジー(GT), P-Q分析(ABC分析),固定費と変動費〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションの視点から、開発・設計部門や生産技術部門が中心にする製品別のコストダウン・アプローチについて考える。)
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。
新製品の開発手順と生産の流れについて説明できる。
製品設計,生産設計について説明できる。

5週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス2[工程,技術的順序,作業レベル,工程設計,作業設計,標準時間]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔優劣分岐点〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える1-生産設備の選定ができる。)
要求に適合したシステム,構成要素,工程等の設計に取り組むことができる。
工程設計を理解し,説明できる。
作業設計を理解し,説明できる。
6週 「情報の流れ」:技術情報-設計プロセス3[生産システム設計,体系的レイアウト計画:SLP]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔マテリアル ハンドリング〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える2。-ムダの少ない工程設計が提案できる。)
工場の生産設備の配置の計画,設計ができる。
物流の動線計画ができる。

7週 「情報の流れ」:組立システム設計-設計プロセス4[組立システム設計,ラインバランシング]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔ボトルネックの解消による生産性向上、目標サイクルタイムの同期化による省人〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コストリダクションを考えた設計について考える3-ラインバランシングの簡単な問題を解く。)
工場の生産ライン(作業員の配置)の計画,設計ができる。
ラインバランシングの簡単な問題を解くことができる。
8週 (前期中間試験)
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解答解説,「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス1[生産計画,需要予測]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項)::〔線形近似、直線回帰、最小二(自)乗法〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする1-Excelによりグラフを描き線形近似する。)
生産計画について説明できる。
問題に対して,的確に予測をすることができる。
10週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス2[生産計画の主要機能,総合生産計画(APP),最適化とは,数理計画法]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔数理計画法(線形計画法,シンプレックス法)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする2-Excelソルバーによる線形計画法(シンプレックス法)の解法)
生産管理の日程計画について基本的な説明ができる。
線形計画法に基づき生産計画を最適化できる。
11週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス3[生産手配,基準生産計画(MPS)(資材所要量計画(MRP),能力所要量計画(CRP))]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔初等整数論の中の小さくない数と大きくない数: max(a,b), min(a,b)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,関数max(a,b), min(a,b)を使いこなす。)
資材,能力と負荷(工数)の各計画の手法を説明できる。
12週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス4[小日程計画,日程計画問題,スケジューリング,順序付け(差立て)規則,フローショップスケジューリング手法 ]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔初等整数論の中の小さくない数と大きくない数: max(a,b), min(a,b)〕(〔項目〕に示した用語を調査し,ジョンソン法の最適性を検証する。)
小日程計画について基本的な説明ができる。
フローショップススケジューリングについて説明できる。
13週 「情報の流れ」:計画情報―計画プロセス5[ジョブショップスケジューリング手法]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):〔横棒積み上げグラフ〕(〔項目〕に示した用語を調査し,コンピュータを実際に活用できるようにする3- Excelでバーチャート(ガントチャート)を作成する。)
ジョブショップスケジューリングについて説明できる。
14週 「情報の流れ」:管理情報-管理プロセス1[管理と生産管理,在庫問題,ABC分析、在庫モデル、定量発注モデル,定期発注モデル,s-S モデル,2 ビンモデル]

授業時間外の学習内容〔項目〕(指示事項):
生産管理に含まれる機能を理解し説明できる。
どの状況でどちらの発注方式が使われるかを知っている。
在庫管理の計算ができる。

15週 (前期末試験)
16週 前期末試験の返却と解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力0000000
専門的能力70300000100
分野横断的能力0000000